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  1. 東京都議会 1998-12-11
    1998-12-11 平成10年都市・環境委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時十分開議 ◯小林委員長 ただいまから都市・環境委員会を開会いたします。  初めに、請願の取り下げについて申し上げます。  お手元配布の請願中、第五一号の二につきましては、議長より取り下げを許可した旨、通知がありましたので、ご了承を願います。  次に、意見書について申し上げます。  委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。  お諮りいたします。  本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯小林委員長 異議なしと認め、そのように決定させていただきます。      ━━━━━━━━━━ ◯小林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境保全局関係の付託議案の審査後、都市計画局及び清掃局の順で報告事項の聴取を行いたいと思います。  それでは、これより環境保全局関係に入ります。  初めに、付託議案の審査を行います。  第二百四十一号議案及び第二百四十二号議案を一括して議題といたします。  本案につきましては、既に説明を聴取しております。  これより質疑を行います。  発言をお願いします。 ◯森田委員 私は、この定例会で出ている環境影響評価条例の改正について何点かお伺いをします。  一つは、法改正を受けての条例改正ということですが、今、環境行政というのは非常に重要な役割を担っているわけですが、この法改正、条例改正によって環境行政がどのように進展していくのか、まずその辺について伺いたいと思います。
    ◯長谷川環境影響評価担当部長 今回の条例改正における主要なものとしては、環境影響評価調査計画書に係る手続の導入がございますが、これにより、実際のアセスメントの調査等に入る前に住民等の意見をお聞きすることになるため、より住民等の意見を反映できることになります。また、これまでの条例の運用実績を踏まえまして、手続全体の簡素効率化を図るため、より有効なアセスメントの実現に役立つと思います。さらに、法対象事業につきましても、条例対象事業と同等な住民参加を図ることとなっております。  これらのことから、今回の条例改正は、法の制定もあわせてですけれども、環境影響の未然防止が一層図られ、ひいては環境行政にとって大きな進展になると考えます。 ◯森田委員 環境の中でも、地球環境というような観点も非常に重要なことなんです。環境影響評価というのは、ある地域、限られたところに対する環境の影響評価をするわけですけれども、地球環境という視点から環境影響評価制度を活用することはできないのか。今回、特に、条例改正あるいは法律によって、今までは東京都が全部やっていた環境影響評価を一部国がやるということになったわけですから、そういう点からいっても、もっと大きな意味で環境影響評価を活用することはできないのかなと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 環境影響評価制度を活用して地球温暖化対策等の推進に寄与することは、これからの環境行政にとって大変重要なことと認識しております。このため、今回の条例改正におきましても、法と同様に、環境影響評価の項目として、具体的には施行規則において、温室効果ガスや廃棄物を評価項目として入れる予定となっております。これによりまして事業者によるエネルギー使用量廃棄物発生量の削減の程度等を評価していきたい、このように考えております。 ◯森田委員 今回の条例改正──環境影響評価というのは、僕も少し勉強させていただいたんですが、なかなかわかりにくいんですが、環境影響評価の中で、評価項目、これは条例でいうと十条ですが、公害の防止、生活環境、自然環境、歴史的環境、人と自然との豊かな触れ合い、こういう言葉が出ております。旧の条例ではもっと具体的に、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭、日照阻害とか、詳しく出ているんですが、今回の条例で調査項目が減ったりすることではないんですね。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 ただいま申し上げましたように、新しい条例で、地球温暖化防止のために、温室効果ガスあるいは廃棄物等をつけ加えることになりました。このため、従来と同じように条例で各項目を列挙しますと、文面的に非常に長くなります。そのため、第十条では、公害の防止、生活環境、自然環境、歴史的環境、人と自然との豊かな触れ合い、環境への負荷等という形で、先ほど先生ご指摘の項目をまとめる形で述べております。  具体的な項目につきましては、施行規則の中に列挙するような形にしたいと思っています。今先生ご指摘の十六項目に、我々の考えとしては、三項目ばかり追加する形で施行規則に挙げるようになっておりますので、数が減るということはございません。 ◯森田委員 環境問題は、非常に重要な課題になっていることはそのとおりなんですが、いろいろ調査あるいは科学が進歩していくに従って、環境に悪影響を及ぼす物質というのがだんだんふえてきているわけですね。最近非常に話題になっている環境ホルモン、こういうものについて、一つは、新しいものが出るたびに影響評価の調査項目に加えていけるシステムになっているのか。もう一つ、環境ホルモンのようなものは既に調査項目の一つに入っているのかどうか。もし入っていないとすれば、今後どういう取り組みをされていくのか、これについて伺います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 今、環境ホルモンのうち、その一種でございますダイオキシン類につきましては、環境庁が大気環境指針を定めたところから、平成十年三月に技術指針を改定して、大気汚染の予測、評価の対象項目としたところでございます。  今先生ご指摘のほかの環境ホルモンにつきましても、評価の指標が定まったら、技術指針を改定することによりまして、順次予測、評価の対象項目としていくことを考えております。 ◯森田委員 それと、影響評価のフローチャートをもらったんですが、旧のフローチャートと今回の改正による新しいフローチャートを見ますと、旧の条例ではなかった項目が入ってきまして、その中に結構時間がかかるのではないかというような項目も入ってきているんですが、環境影響評価というのは、スタートしたときから最終の報告書が出るまで大体どのくらいかかっているんでしょう。それと、今回の条例改正で時間的に短くなるものなのか、長くなるものなのか、この辺はどうなんでしょう。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 これまでの手続、いわゆる環境影響評価書案を出して評価書を作成するまでにつきましては、平均三百四十日かかっております。今回、新しく調査計画書に係る手続が増しましたので、その分日数はかかるわけですけれども、本当に事務的に要する日数だけで見ますと、約九十日かかるようになります。  一方、現行の環境影響評価書案の審査関係につきましては、簡素効率化を図りましたので、私ども事務局の試算としては、約七十日くらい日数的に減るというように考えております。  あと、現行の環境影響評価書案の審議会の審議の内容の一部が調査計画書の方に回りますので、私どもとしては、日数がなるべくふえないように効率的な運営を心がけていきたい、このように考えております。 ◯森田委員 もう一度確認なんですけれども、事業が環境影響評価対象となった場合に、環境影響評価の対象になったときから、その事業者に開発許可が出るというか、環境影響評価が終わるまで、これが三百四十日ですか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 今述べましたのは、評価書案が出されて、いわゆる許認可等が行われるまでの日数でございます。実際の事業者の場合は、その前に大気環境とか水質環境、そういう調査等をやりますので、例えば大気環境の場合は一年間を通してはかるという形が原則になっておりますので、我々の環境影響評価書案に係る手続は三百四十日ですけれども、その前に環境影響評価書案を作成する調査等に約一年から一年半かかる、こんなような実態でございます。 ◯森田委員 そうすると、ある環境影響評価にかかわった地域あるいはビルなりを建てる場合に、事業者が建てようと思ってから着工できるまでに二年半くらいかかるというふうに見ていいんですか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 案件等事例によって異なりますけれども、物によっては、調査を含めて二年から二年半かかるというふうに見て結構だと思います。 ◯森田委員 現在、東京都が行っている環境影響評価というのは何件くらいあるんでしょう。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 実績としては、先ほどいいましたように、ことしの三月末で百七十五件ですけれども、現在審査中の評価書案につきましては十件でございます。 ◯森田委員 そうすると、それだけ長い時間かけて環境影響評価をする、それは必要なことだからやらなくちゃいけないんですが、今抱えている十件について、ここで条例が変わった場合には、新条例によって行うのか、あるいは旧条例で行うのか、それはどっちなんでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 現在審査中の評価書案につきましては、新しい条例ができましたら、新しい条例に読みかえ規定を設けますので、例えば今評価書案を審査している最中でしたら、新しく導入する調査計画書に戻ってやる必要はなくて、読みかえ規定で、今までどおり、旧条例と同じようにできるようになります。 ◯森田委員 これは最近僕のところに送られてきた見解書の概要というやつなんですが、正直いって、余り見えないんですよね。このフローチャートを見ると、そういう書類を三種類つくるんですか。評価書案、見解書、評価書、こういうのをつくるのはいいんですけれども、もっと簡易にならないのかなと思うんです。これなんかは結構薄い方ですけれども、中にはこんな厚いやつが送られてきて、僕らはもらってもどう扱っていいかわからない。そのまま捨てられることもあるんですけれども、こういうものをもっと工夫をして、概要みたいな形で出して──関係者及び興味を持っている方は、これは非常に大事なものかもしれないので、そういう人については要望に応じて差し上げるとか、あるいはどこか場所を決めたら、そこで十分閲覧できるというような形にした方がいいんじゃないか。  もう一つは、詳しい分については、私、この前も取り上げましたけれども、保全局もインターネットにホームページを持つということも答弁してくれましたけれども、そういう中に公開する。情報公開では、今、インターネットがだれでもが閲覧できる形だと思いますし、そういう工夫をしていった方がいいのではないかと思うんですが、この辺はいかがですか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 ご指摘のとおり、現在におきましては、特に、評価書案、見解書、評価書を公示するとき、概要版を公報別冊として登載することとしておりますが、改正条例案では、簡略化の視点から、これを見直すこととしております。この見直しにより、都民の方々にも理解しやすいものとなるとともに、これらにかかる印刷期間が短くなり、手続の効率化が図れるものと考えております。  また、簡略化された公示内容を電子媒体により広く情報提供していくことも検討してまいりたい、このように考えております。 ◯森田委員 確かに、環境影響評価というのは非常に大事なものであると思いますから、都民が知りたい場合には、もちろんすべて公開するというのが大原則だと思います。そういう中で、概要のようなもので済むものは、私は、それでいいんじゃないか、また、インターネット等で公開するのでいいのではないかというふうに思っています。  いずれにしろ、環境影響評価、今回勉強させてもらいましたけれども、すごく大事なものであるわけですが、ある部分では非常にわかりにくいというような感じを受けました。そんなので、これからより効率的に、また都民サービスに欠けないような形でぜひやっていただきたいというふうに要望して、質問を終わります。 ◯池田委員 今回の東京都環境影響評価条例の一部改正は、国の環境影響評価法の法制化、この公布に伴って行われるというものであり、これまで産業界や事業官庁などのアセス制度化反対の強い圧力で、国会提出が見送られてきた、こういう歴史がありました。先進国の中で唯一法制度を持っていないのは日本で、国際的にも法制化が強く求められてきたという経過があるわけですけれども、我が党は、国会での審議を通じて、より積極的な法制化の立場から、第一には、環境保全の理念と住民参加の位置づけを明確にすること、第二には、第二種事業の判定手続において知事が意見を述べるときに、知事は公聴会を開催することができるようにすること、第三には、戦略的アセスメントの実施と公正な第三者機関の設置を講じること、第四には、地方公共団体が地域の実情を踏まえた条例をつくって、地方公共団体の独自性をより生かした制度が実施できるようにすること、こういう立場からの修正案を提案をしてきたところです。  そこで、私は幾つかの問題について質問してまいりたいと思います。  第一に、国のアセス法と東京都のアセス条例との関係ですが、私は、当然東京都としても、地域の実情を踏まえた独自性が担保されるべきだというふうに思います。環境影響評価法に関して、知事要望を国に提出しているわけでありますが、どのような内容であったのか、法にどう反映されたのか、そして国の対応についてまず伺いたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 環境影響評価制度の法制化に当たりましては、都においても、平成九年二月に環境庁長官に要望をしております。  その要旨は、法律の対象事業について条例の手続が適用できなくなると、都の条例に定める見解書の作成や、第三者機関である審議会による調査、審議などのより充実した条例の手続を実施することができなくなることから、地方分権の時代にふさわしい制度となるように求めたものであります。  制定された法におきましては、この趣旨が生かされ、事業者による住民意見等に対する見解書の作成が義務づけられたことや、知事意見を形成するために、公聴会の開催や環境影響評価審議会の意見を聞くことを条例で規定することが可能になりました。  このようなことから、法対象事業につきましても、条例対象事業のような住民参加が図られることになったと考えております。 ◯池田委員 今までは、いわゆる閣議アセスの対象事業についても、東京都の環境影響評価条例を適用してアセスメントを行ってきたわけです。来年六月から法が全面施行されるということになると、法対象事業に都の条例の適用ができなくなる、こういうことにもなりかねないわけですね。  今までの事例から見ると、どのくらいの事業が法対象の事業になるのでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 平成十年三月末現在で見ますと、先ほど述べましたように、都の条例でアセス手続を実施している事業は百七十五事業ありますけれども、そのうち、法対象事業に相当するものは二十七事業です。 ◯池田委員 今の答弁にありますように、この事例から見ると、今後約一五%くらいの事業が法対象事業になっていくというふうに思われます。  法対象事業になると、都民の意見などが反映されない、都民参加が後退するのではないか、私はこういうふうに懸念を持つわけですけれども、法律では、法対象事業について、法律の規定に反しない範囲でしか条例で手続は定めることができない、こういうふうになっているわけです。法対象事業条例対象事業と比べた場合に、手続上の相違が生じてくることははっきりしているわけです。この改正案で、法対象の事業に対しても、条例対象事業と同じような、今までと同じような手続をとらせるべきだと思うんですが、そういう点でどうなんでしょうか。東京都としての考え方を示していただきたい。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 今回の条例改正におきまして、法と条例の手続上の違いをできるだけなくすように努めましたけれども、法に反しない限りでしかつくれませんので、例えば方法書に対する都民等の意見に係る事業者の見解等は、義務づけではなく任意規定にするなど、若干の相違も生じております。  これらの点に関しましては、事業者に条例の趣旨を説明し、条例対象事業と同じ手続をとらせるよう、協力方を強く要請してまいりたいと考えております。 ◯池田委員 このことは、重要な一つの問題点なんですね。私は、東京都の条例でも、ちゃんと国対象事業でも今までと同じようなことがやれるように、行政的にしっかりとした立場に立ってもらいたい。また、そうしないと、法制度が施行された後、東京都の環境行政は後退することになる。私は、こういうことが絶対にないように、そういう点で強く指摘をしておきたいと思います。  次に、条文をずっと読んでみますと、条例改正では規則にゆだねているところが非常に多いんですね。その主な事項と内容について、どういうことなのか、説明をしていただきたいと思うのです。  そして、たくさん規則で定めるというふうになっていますから、主なものを説明していただきたいと思うのです。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 規則におきましては、環境影響評価の項目や対象事業の要件を定めるとともに、調査計画書等の構成基準、公示の内容、説明会の届け出書、公聴会の運営などといったことを規定することになっております。  例として申し上げますと、例えば対象事業の要件に関していえば、環境影響評価審議会の答申に基づき、新たに更新事業を対象とすることや、計画路線の一部区間の道路につきましては、一キロメートル未満についても対象とすることなどを検討してまいりたいと考えております。 ◯池田委員 今のお話の中で、例えば更新事業が対象になるということになると、清掃工場なんかの建てかえだとか、こういうことについても対象になっていくということで理解していいんでしょうね。  それでは、これから幾つかの個別の問題について伺いたいと思いますが、スコーピング手続で、第二節の十六条、都民、そして区市町村の長の意見提出の段階の都民の意見書の提出ですが、改正案では、都民は、調査計画書の内容について、環境保全の見地から意見書を知事に提出することができる、こういうふうになっていますけれども、都民に限らず、その事業についていろいろな意見を持つ方たちの意見を聞くようにしたらよいと思うんですけれども、この辺はどうですか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 都民につきましては、勤務地が東京都内にある人、いわゆる昼間都民も含まれるように解釈することとしております。また、対象事業の実施が環境に影響を及ぼすおそれがある地域に東京都の区域に属しない地域が含まれているときは、当該地域を管轄する県の知事等と手続の実施について協議することとなっております。 ◯池田委員 私が今申し上げたのは、その事業にいろいろな意見、関心を持っている方たちの幅広い意見がいえるように、そういうことを実施の段階でぜひやってもらいたいと思うのです。  同時に、スコーピングにかかわる手続の中で、公聴会を開いていくべきだ、そして関係住民、幅広い方たちの意見を聞くべきだというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 スコーピング手続は、評価項目や調査、予測方法等を、住民意見などを踏まえて絞り込んでいくものでございます。環境への影響も明らかになっていない段階の手続でございますので、事業内容の詳細が確定しない場合も考えられますので、評価書案に係る手続のような公聴会はなじまないものと考えております。 ◯池田委員 大事なのは、調査項目書や予測の方法をどうするか、ここの問題がいつも重要なポイントになるわけですね。住民がその辺は非常に大きな関心を持ち、そういう点で、当然住民の声を聞いてやる、そして、具体的に調査項目や方法などを検討していく、これが大前提だと思うのです。そういう点でも、私は、ぜひ公聴会が具体的にやられる、自主的にそうなるということを強く要求しておきたいと思うのです。  今私が提起したような調査計画書にかかわる公聴会や、現在実施されている評価書案についての公聴会の運営の問題、これをちょっと指摘したいと思うんですが、公聴会をより有効にするためには、業者をその場に呼んで、直接事業者との質疑ができるようにすべきだろうというふうに思うんですね。その辺はどうでしょうか。  今やられている公聴会というのは、東京都の環境保全局の職員の皆さん方がセットして、いろいろ意見を聞いて、文書で向こうへ渡すというふうな形になっているんですね。まさに間接的にも間接的なものになってしまう。そして、会場から直接いう住民の意見や気持ちというのは、臨場感としても伝わっていないということがあるわけですね。ですから、そういう点をただしていく。川崎市では、事業者も参加して、直接住民と質疑で対応するというふうなことがやられている。私はやれないはずはないと思うんです。その辺をご答弁いただきたい。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 現在の公聴会の運営におきましては、先生ご指摘のように、環境影響評価事務を担当する事務局の職員が都民の意見等を聞いておりますけれども、私どもとしては、その内容を速記録とともに環境影響評価審議会の委員の先生方に伝えておりますし、また、これらを事業者に示しまして、事業者の見解が示されておりますので、公聴会は有効に機能しているものというふうに考えております。 ◯池田委員 そこの場の直接かかわる住民の皆さん方、都民の声が、文書では伝わらないというのが現状なんですね。それはやれることだと思うんです。  それからもう一つ、第五節、評価書案に関する周知及び意見のところです。説明会や公聴会の開催等についてですけれども、評価書案の内容を関係住民に周知するために、積極的な手だてを業者に責任を持って行わせるということが必要だと思うんです。今、公報だけで知らせているわけですね。そうじゃなくて、例えば新聞だとか、さまざまな方法をもって、これは事業者の責任でやるというふうにしていくべきだと考えていますけれども、どうですか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 説明会の周知の方法でありますが、先生ご指摘のように、事業者が区報や市報に掲載しております。そのほか、事業者が独自に関係地域内の各戸に説明会の開催の目的、場所等を記載したビラを配布したり、新聞の折り込みで配布を行うなどの実態もあると聞いております。  私どもとしても、これからも周知の改善が図れるように、事業者にその旨を伝えてまいりたい、このように考えております。 ◯池田委員 条例改正案の第二十六条四項に、説明会を開催することができない正当な理由がある場合は、開催することを要しない、こういうふうに規定されています。説明会を開催しないということが許されるのかどうなのか、これを説明していただきたいと思うのです。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 説明会が開催できない場合としては、天変地異等特別な場合しか想定しておりませんので、原則として説明会は開催しなければならない、このように考えております。 ◯池田委員 条例改正案の第二十九条の一項で、見解書の概要の作成がなくなっているほか、例えば二項で、各書面のときに、先ほどの質疑でありましたけれども、公示の内容が簡略化というふうな形で省略されている。そういう状況があるわけですけれども、その内容をもう一度説明していただきたいと思うのです。  例えば概要書の作成の問題で、現在の条例では概要書の作成を義務づけているわけですよね。概要書というのは、広く関係者や住民に周知する上で重要だと思うのです。これを単純に簡素簡略化ということでやるのは問題だろう。私は、大きく関心を持つ都民の皆さん方に広く知らせるということでは、単純に簡略化というふうな形でやるべきではないだろうと思っているんですが、どうでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 評価書案に係る見解書につきましては、その概要は作成しないことといたしましたが、これは、見解書は各個人の意見なものですから、見解の要約は非常に難しくて、今までの実態からすると、見解書とその概要はページ数においてさほど変わりないことから、簡素効率化を図ったものでございます。  また、それぞれの書面につきましては、概要書自体は作成していただきますけれども、公示の内容は、都民に要点をわかりやすく周知するため、概要書よりも簡略な内容で公示することといたしました。  この結果として、私どもとしては、従来のように概要の印刷に要する時間がかからなくなり、結果として効率化が図れることになる、このように考えております。 ◯池田委員 ぜひ、広く関係者や都民の皆さん方に大いに知ってもらう重要なポイントを欠かさないようにやってもらいたいと思います。  それから、条例改正案で、二十一条一項には、知事は、調査計画書を修正したときは、その提出を求めることができる、こういうふうになっています。調査計画書の修正内容を明らかにさせるためには、事業者が修正した調査計画書を提出しなければならない、こういうふうに規定をするべきだ。そういう立場からやるべきだと思うんですが、どうですか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 調査計画書の修正の経過は、評価書案を提出した時点で明らかにするように規定しております。ただし、調査等が長期間に及ぶことも考慮して、都民等にできるだけ早く内容を知らせるため、修正した調査計画書の提出を求めることができるとの規定を設けた次第でございます。  このような趣旨は事業者にも十分理解していただけるものと考えており、修正の場合は提出するよう指導していきたいというふうに考えております。 ◯池田委員 条例改正案の三十七条、事情変更による手続の再実施というところですが、事情変更によって手続を再実施する場合、この中で、環境の保全上必要があると認めるときは、手続を再度実施するよう求めることが規定されているわけですね。これの判断の問題なんですが、これはどこで、だれが判断をすることになるんでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 環境の保全上必要があると認めるのは、知事でございます。ただし、必要に応じて環境影響評価審議会の意見も聞いて、認めるようにしたいというふうに考えております。 ◯池田委員 これは、縦覧期間が満了した日から五年を経過した後、当該対象事業に係る工事に着手しようという場合において、当該の縦覧期間満了のときと比較して著しく環境の異なっている状態、こういうような場合に判断をされるんだと思うんです。  例えば、中央環状新宿線の問題を私は事務事業のときにも取り上げましたけれども、これは一九九五年度供用開始ということになっているんですが、全然そんな展望はないですね。そして、そのアセスの基準になった、当時の環境庁の新たな中期展望のNOxの削減計画も全然未達成なんですね。しかも、この中央環状新宿線の豊島区の南長崎の入り口から高松ランプのところは、当時、計画が変わって切られて、アセスがやり直されたところなんです。実際にはまだ事業が進んでいないというような場合でも、この前の答弁では、やりませんというような話をいっておられるわけですが、そういう一つの具体的な事例を見ても、事情変更による手続の実施ということは、事実上、条例の実施の姿勢ですから、私はそれでやれるということを強く求めておきたい。何かご答弁があればいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 先ほどの委員会でもご答弁申し上げましたように、お尋ねの中央環状新宿線につきましては、既に工事に着手しているものですから、この条文は適用できない、このように考えております。 ◯池田委員 そういう答弁しか返ってこないんですけれども、行政の姿勢をはっきり示すということで、私はぜひ具体的に検討して考えてもらいたい。  次に、条例の改正案で第四十条の三項、これは、事後調査報告書の提出があった場合においては、必要があると認めたときは、審議会の意見を聞いた上でその内容を審査するという規定なんですけれども、なぜ、必要があると認めたときと限定したんでしょうか。これでは立場として弱いんじゃないですか。ちゃんと出させるというふうにやるべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。  それから、審査の結果、対象事業が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるときは、事業者に対し、必要な措置を求めることになっているわけですね。外環だとか、首都高速一一号線の例のレインボーブリッジの問題ですけれども、この事後調査においてどういうふうに措置を求めて、東京都の意見に対して事業者はどう対応しようとしているのか、この辺を説明してください。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 事後調査報告書の提出があった場合において、事後調査結果が予測値を超え、評価の指標に照らして問題があるときの場合に、環境影響評価審議会に審議していただくため、必要があると認めるとき、このように規定いたしました。  それから、事後調査の結果でございますけれども、例えば外郭環状道路の事後調査では、騒音の測定値が予測値を超えていることに加え、環境基準を超える時間帯もあることから、それらの要因の調査と一層の対策を講じるよう、事業者に通知しております。  事業者側からは、現在までのところ、報告書は提出されておりませんが、耐震補強を踏まえた遮音壁のかさ上げ等を検討している、このように聞いております。 ◯池田委員 東京都が今の審査会の意見を聞いて、審査結果の通知を事業者に出しているわけですね。ところが、今の答弁にあるように、具体的な対策を講じるということについて実際の詰めがやられない。具体的に、こういうことが問題になっているんだから、こういうふうに改めろ、対応しろということをはっきりさせなければ、条例でいろいろ規定しても、事実上生かされないということを改めていくべきだというふうに思うんです。これは強く要望しておきたいと思います。  私は、今いろいろ聞いてまいりましたけれども、環境保全推進委員会でいろいろ議論になっているわけですが、今までの単体のアセスじゃなくて、総合的なアセスの問題が提起もされているわけですね。  そこでお伺いしたいんですけれども、アメリカやOECD加盟の欧米諸国の環境影響評価制度との比較で、東京都の改正条例案を見ると、欧米諸国の制度の中には、事業計画を提案すること以外に、何もしない、こういう事業をやらないという代替案を含んでいるわけですね。そして、複数の代替案を比較検討することが義務づけられていると聞いているんですけれども、都の条例の改正においては、こういう視点、代替案の取り扱いはどういうふうになっているのか、伺いたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 現行の条例アセスメントは、事業計画の内容が固まった段階で手続に入るため、複数の計画案を作成するのは困難と考えられますので、現在試行の実施が定まった、計画策定の早い段階で行う総合環境アセスメントの中で、複数の計画案の作成について検討してまいりたいと考えております。 ◯池田委員 総合アセスの方向でやらざるを得ないという答弁なんですけれども、第二十二条の三で、事業計画の策定に至った経過となっている条項がありますね。これは、現行条例では代替案の検討経過がちゃんと入っているわけです。そのことをちゃんと入れておくべきなんじゃないでしょうか。先ほどもいったんだけれども、アメリカやOECDの諸国で義務づけられている、A案だとかB案だとかC案だとかいう複数の代替案というものを考えたときに、住民の間でいろいろな検討ができるということを保証していくことが必要だと思うんですが、どうでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 今の条例で記載が義務づけられております代替案の検討経過でございますが、条例改正案では、この代替案の検討経過を含めて、より広い意味で事業計画の策定に至った経過を記載させるようにしております。 ◯池田委員 それでは、最後に幾つかお伺いしたいと思うんですが、環境保全推進委員会では、一九九五年、平成七年十一月に、東京都の総合環境アセスメント検討委員会から報告のあった、新たな環境配慮制度のあり方についての中間のまとめを検討している経過があるわけですね。この検討の結果、どのようなことが具体的に提言されているか、説明してください。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 環境保全推進委員会の第一次報告では、国の法制化とも関係するが、東京都は、個別事業について環境アセスメント手続の一貫性を保つ上で、かつ手続に要する時間を短縮するためにも、現行条例を見直して、事業計画の早期段階から環境アセスメントを実施できるよう、条例を改正することを切望する次第である。  一方、マスタープランや広域にわたる開発計画などについては、新たな環境配慮制度として総合環境アセスメント条例を制定することを提言するとあります。 ◯池田委員 この環境保全推進委員会も提言しているように、開発行為の環境への影響を予測する、そして環境破壊を未然に防止する、こういうのは本当に基本的なねらいというか、理念なわけですね。そういう点で、計画段階でアセスにかけるべきである。都では総合アセスメントの試行に入っているわけですけれども、提言に沿って具体的に早期に総合アセスを条例化していく、これは多くの都民の皆さんの声だというふうに思うんです。  そこで、最後に局長にお伺いするんですけれども、総合環境アセスメント制度の実現の問題にどういう決意を持って臨まれようとしているのか、実際にいつごろに実施を具体化しようとしているのか、決意を込めて伺いたいと思います。 ◯柿沼環境保全局長 お話のございました総合環境アセスメントにつきましては、平成九年四月に、東京都総合環境アセスメント制度検討委員会によりまして、制度の実現に向けての提言をちょうだいいたしております。  この提言を受けて以来、庁内で鋭意検討を進めてまいりまして、ことしの六月に制度の試行に向けての実施要領を策定したというところでございます。  この制度は、先生ご案内のとおり、これまでの条例に基づくアセスメントに先行いたしまして、計画段階の早い段階から、広域的な開発計画による複合的、累積的なものも含めまして、環境への影響を評価していくものであります。また、政策形成過程での情報公開を進めるというプロセスを重視する制度でもあります。そういう意味では、現在東京都が進めております情報公開、開かれた都政を進めるということ、それから都民参加による事業計画の決定という意味では、モデルケースになるというふうに私どもは考えておりますし、各方面からも非常に注目されていると考えております。  しかしながら、この制度は、我が国でほかに例のない初めての取り組みということでございまして、私どもといたしましては、先ほど来部長が答えましたように、試行を通じましていろいろな知見を得て、対象となる計画、適用時期等を検討いたしまして、現在、改訂重点計画の中でも述べておりますが、平成十二年度をめどに、都の計画等を対象にいたしまして本格導入を図りたいということで、鋭意取り組んでおります。  そうした意味からも、本委員会の先生方のご理解と絶大なるご支援をお願い申し上げます。 ◯池田委員 条例改正案については、幾つか問題点を指摘をしてまいりました。ぜひ実施の段階で、私が申し上げた問題点、環境を守る、都民の参加を保証する、住民の意見が反映できるということで、当局として万全を期してもらいたい。
     また、総合アセスの問題で、今局長からお話がありましたけれども、大いに都民の皆さん方の関心も広まっているところです。そういう点では、ぜひ私は具体的な進捗を期待をして、質問を終わりたいと思います。 ◯藤田委員 私も、重複を避けながら、環境影響評価条例の改正について何点かお聞きをしたいと思います。  制度が取り入れられてから既に四半世紀、二十五年たっているわけですけれども、今までは、いわゆるアワセメント、環境への影響なしという証明を出すための免罪符ではないかというようないわれ方をしてきましたけれども、ここに来てやっと国に法ができ、これをどのようにして住民も含めて上手に使っていくかということが今後は問われていくのではないかと思います。  先ほどからも出ていましたけれども、この制度は、欧米に比べて日本の制度はおくれているというふうにいわれているわけですけれども、例えば日本とアメリカの制度との違いというものについて、まずお答えいただきたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 日本の環境影響評価制度とアメリカの制度を比べてみますと、その大きな違いとしては次のようなものがあります。  まず、アセスメントの対象でありますが、アメリカの国家環境政策法、いわゆるNEPAに基づく制度では、連邦政府の関与するあらゆる政策、計画、事業、法案まで、その範囲に入っております。  これに対し、日本の環境影響評価法では、事業計画の決定後、事業実施の直前にアセスメントが実施されますので、政策、計画等は対象になっておりません。  また、代替案の取り扱いについても違いがございます。アメリカの制度では、先ほどからご指摘がありましたように、何もしないという代替案を含む複数の代替案を比較検討することが義務づけられているのに対し、日本では、代替案の検討の義務づけはありません。 ◯藤田委員 今お話しのあったところで一番の大きな違いは、政策まで範囲に入れていることと、代替案があるかないかということだと思います。  アセスの早い段階でのプロセスから議論をしていきたいわけです。もちろん、今お話しのありました政策、計画というところから議論をしていきたいわけですけれども、今回の改正では、国では法の対象事業についての評価方法書、都の条例対象では調査計画書の段階があるわけですけれども、都の場合には、これは独自なものですけれども、この部分のプロセスにどのような意義があるのでしょうか。先ほどスコーピングの話も出ましたけれども、このプロセスの段階の意義をご説明いただきたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 調査計画書、これはいわゆるスコーピング手続でございますが、その意義についてのご質問でございます。  アメリカのNEPAによりますと、スコーピングとは、あらかじめ関係政府機関が公衆等から広く意見を求めることにより、EIS──都の条例でいいます環境影響評価書に当たるものですけれども、その作成のポイントを明確にすること、後から要求される可能性のある事項を初期の段階に把握する機会を設けて、問題の早期解決を図ること、これらを目的にしております。  この手続が新たに現行条例の中に加わりますと、事前に環境影響評価の方法等が決められるため、住民等の意見を反映した調査項目の選定等が行われることとなり、より効率的、効果的な手続の運用がなされる、このように考えております。 ◯藤田委員 そうですね。例えば、初めにどういう環境影響評価があるのかという評価項目や対象については、今までは評価書案が出てからしかわからなかった。そうすると、実はそこにはオオタカが営巣していたというようなこともあって、じゃ、またそれを新たに調査してくれというようなことがあったわけですけれども、新しい制度では、そういう意味では、市民が意見をいえる、住民の意見を反映した調査項目の選定が行われるというふうになるわけです。この市民意見というものを実際にはどういうふうに反映させることができるんでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 今、先生ご指摘のオオタカを例にとりますと、調査計画に係る手続の段階で、例えば都民からオオタカの営巣に係る情報が意見書として提出されたら、事業者はこの情報に関する見解を述べ、知事は、この情報を踏まえました環境影響評価審議会の答申に基づき、審査意見を述べることになりますので、情報自体が正しければ、修正した調査計画書においてオオタカが評価項目に追加され、調査等の手法が示されることになる、このように考えております。 ◯藤田委員 そうしますと、この制度を改正するには、多分平成六年十二月のが一番新しいものかと思いますけれども、技術指針の改正というようなことが必要になるかと思います。どのような改正になるのでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 技術指針につきましては、先ほどご答弁いたしましたように、昨年度、ダイオキシン類について追加するために改正しております。  今回の条例改正に伴う技術指針の改定でございますけれども、本年の十一月に環境影響評価審議会に諮問したところでありますが、その主な検討事項は、調査計画書に係る手続の導入による環境影響評価手順の検討でございます。また、触れ合い活動の場、地球環境関連の廃棄物及び温室効果ガスといった、今回の制度改正において追加する予定の評価項目についての指針等の策定、これらについて諮問しております。 ◯藤田委員 ちょっと細かいことなんですけれども、今の触れ合い活動の場というのはどのようなものか、具体的にお話しいただきたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 例えば都民の方々が利用する水辺に、対象事業によって環境影響が及んで、いわゆる水辺の触れ合い活動の場が阻害されるようでしたら、それが評価項目になって、その影響の軽減を図る、こんなような内容になります。 ◯藤田委員 次に、広域的、累積的アセスの課題についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  東京都のように成熟した大都市の場合には、計画自体を空間的にも時間的にも単体で評価することの限界があるんじゃないかというふうに思います。こうした広域的なアセスの課題について、現行制度ではどのように対応して、またその限界は今後どのようにクリアしていくのかということを伺いたいと思うわけです。具体的に、私たちからすれば、例えば臨海副都心のようなところも大きな関心事ではあるのですけれども、今後の問題についてお尋ねをしたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 現行制度では、相互に関連する二つ以上の対象事業を実施をするときは、これらの事業者に対し、これらの対象事業をあわせて調査等を行い、評価書案を作成、提出するように求めるものとしております。  例えば、丸の内二丁目二の一ほか街区開発事業など、高層建築物の新築などを中心に、あわせて環境影響評価をやっている事例は多数ございます。  しかしながら、これらは同一の時期に相互に関連して実施される事業にしか適用されないために、今後は、広域的な開発計画による、時間という要因も含めました、複合的、累積的な環境影響への評価等が行われるように、総合環境アセスメントの制度化を図ってまいりたい、このように考えております。 ◯藤田委員 代替案の作成の件でございますが、先ほどのお話の中にも、これは大変重要な課題として認識をしていらっしゃると。そして、事業内容が相当程度確定しているために、今の状況では複数の計画案を作成することは困難であるので、計画策定の早い段階で行う総合環境アセスメント制度を最終的には条例化していきたいというようなお話がありましたけれども、住民参加という点では、事業者側が、成案だけでなくて、検討のプロセスで複数の代替案を示していくこと、それからアセスの段階でも複数案で比較検討していくことが大変大きな課題であると思っているわけです。  現行のアセス条例で、代替案の作成について制度上どのようになっていて、実態はどういうふうになっておりますでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 現行の条例では、先ほどご答弁いたしましたように、評価書案の作成において、評価書案の作成前に代替案を検討した場合にあっては、その経過を記載するように規定しておりますが、実際に代替案の検討経過を記載した評価書案は少数にとどまっているのが実態でございます。 ◯藤田委員 今回の条例改正では、ここの点も先ほどの議論にありましたけれども、一見、後退のように見えるといいますか、代替案を検討した場合にあってはその経過というのが、事業計画の策定に至った経過というふうに二十二条のところで書きかえられているんですけれども、後退ではないのでしょうかということでお尋ねをしたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 今回の条例改正案では、先生ご指摘のように、評価書案の作成の項におきまして、代替案の検討経過のかわりに、事業計画の策定に至った経過を記載させるようにしております。  このような案にいたしましたのは、これまでの運用実績等を勘案しまして、代替案の検討経過を含めた事業計画の作成に至った経過を記載させる方が、事業者にとり記載が容易となり、結果として都民等に対象事業に係る情報をより多く公開できるようになるとの考えからでございます。  また、環境保全のための措置につきましても、新たに当該措置を講ずるに至った検討の状況も記載させるようにしております。 ◯藤田委員 先ほどから何回も同じようなことになってしまうかもしれませんが、代替案の作成については、いわゆる計画の熟度が低い段階、すなわち、計画アセスとの関係が不可欠になってくると思いますけれども、こうした制度の総合化の中で、計画アセスを含めた条例化をどのように考えていくのか、もう一度ご答弁いただきたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 総合環境アセスメントは、現行の条例アセスメントに先行し、計画策定の早い段階で複数の計画案を作成し、都民の意見等を聞き、この結果を計画の策定に反映させる制度でございます。  一方、現行の条例アセスメントは、事業を実施する段階で、環境への影響を事前に予測、評価し、都民の意見等を聞くことにより、環境影響の軽減を図るものでございます。  このため、都の計画等を対象に総合環境アセスメント制度の本格的導入を図る際には、環境アセスメントの一層効果的な運用が図れるよう、両制度が重複することなく相互に補完し合うよう、工夫していきたいというふうに考えております。  また、将来的には、総合環境アセスメントを含めた条例化も検討課題になってくるのではないか、このように考えております。 ◯藤田委員 行政側あるいは事業者が出してくるアセスだけではなくて、市民の側が自主的にアセスを行って、代替案を作成するという例があると思いますけれども、その例をお示しいただきたいと思います。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 市民の側からの要求や要望に基づき代替案等が作成され、環境保全が図られた例としましては、恵比寿ガーデンプレイスにおける煙突の高さの変更例、あるいは岐阜県の矢作川流域の開発計画における矢作川流域管理計画の策定例がございます。  恵比寿ガーデンプレイスの例では、地域冷暖房施設の煙突の高さの設計変更を行い、周辺地域の生活環境の保全が図られました。また、矢作川の例では、管理計画を策定し、水質保全等の見地から、流域の開発について、行政、住民、企業間の合意形成を図ったものでございます。  このほかに、例えば港区芝の日本電気本社ビル建設でございますが、これは超高層建築物であるため、近隣住民から、都市景観との調和あるいは近隣住宅地への風害の緩和措置などの要望が出されて、その結果として、ビルの形状等について、事業者が独自に複数案を検討し、形状を変更された、このような例もございます。 ◯藤田委員 自主的にという部分と、市民が代替案を作成していく、これはある意味ではそこが例えば迷惑施設になって、後から事業が本当に長引くというようなことを考えれば、市民が一緒になって考えていく、あるいは代替案をつくって、それをともに選択肢の中に入れていくというのが大変有効な手段かと思いますけれども、市民側が代替案を作成していくことを支援していくというようなことはできますでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 今般試行に入りました総合環境アセスメントでは、計画を立案する実施主体が、社会経済及び技術等の幅広い視点から検討を行って、採用可能な複数の代替案を作成し、その評価を行うこととしております。したがいまして、この採用可能な範囲が最も重要なことでございまして、市民側が作成した代替案がこの範囲であれば、事業者側が計画を策定する際、当然この案に配慮することとなり、間接的な支援、このようなことは可能になると思います。 ◯藤田委員 最大の市民への支援は情報であるというふうに思うわけです。アメリカでは、こうしたアセス関連の情報が充実していると聞いていますけれども、都としても、環境のデータベースを整理して、市民がいつでも情報を引き出し、代替案を作成できるようにすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯長谷川環境影響評価担当部長 ご指摘のとおり、環境影響評価にとって、それにかかわるデータベースの構築は大変重要なことと認識しております。データベースの構築に当たりましては、今までのアセス案件の整理が基本になるのではないか、このように思っております。  都における環境影響評価手続は、現在までのところ、百八十件余りの事業が評価書案の提出に至っておりますので、都民を初め多くの皆様にこれらから得られる情報を十分活用していただくよう、審査結果等を含めてデータの整理をしていくことを考えていきたいと思っております。 ◯藤田委員 最後になりますけれども、今まで、何か事業をして、突然自分の身近なところに降ってわいたような建物ができたり、道路ができたりというようなときに、そこに住む人たち自身に本当に必要なのかどうか、あるいはこの事業自体が必要なのかどうかというのは、それぞれの市民にとって大変重要な問題なわけですね。  そうしたときに、今までは根強く、行政は、行政無謬論というんですか、お役人は間違いはないというようなところでの考え方が大きかったと思いますので、大変難しい課題ではあるわけですけれども、本当にその政策が今必要なのかどうか、そして、これを優先的にやることがどうなのかということも、まず考えなければいけないと思いますし、それから、それをいろいろな代替案の中から選択をしていく。  例えばの話ですけれども、清掃工場をつくりたいといったときに、本当に清掃工場が必要なのかどうか。それから、清掃工場はここにあってもいいけれども、どういう清掃工場であったらいいのかという代替案、あるいは全くここにはつくりたくないという、ノーアクションということも含めて選択ができるというようなことが、今後大変重要なことになってくると思いますので、先ほどお話がありましたけれども、平成六年の試行の実施要領をつくったということで、総合環境アセスメント制度の条例化というものをぜひ進めていただきたいということを要望して、質問を終わります。 ◯五十嵐委員 私の方からは、東京都公害防止条例の一部改正、いわゆる窒素、燐にかかわる上乗せ排出基準の設定についてお伺いしていきたいと思います。  まず第一に、東京湾の富栄養化対策として、これまで東京湾流域の関係する七都県市でいろいろ取り組んできたと聞いております。まずどのような取り組みが行われていたのか、お伺いしたいと思います。 ◯市川水質保全部長 東京湾の富栄養化対策につきまして、都は、昭和五十七年以降、東京湾流域の七都県市と協調いたしまして、四次にわたり東京湾富栄養化対策指導指針を策定し、下水道整備や合併処理浄化槽の普及、工場、事業場における排水処理施設の改善、維持管理の徹底を指導するなど、窒素、燐の汚濁負荷量の削減に努めてきました。  さらに、平成四年六月からは、工場、事業場に対する指導の徹底を図るため、具体的な指導目標値を定めた指導要領を作成いたしまして、削減指導を実施してきたところでございます。  昨年十一月には、東京湾の水質をさらに改善するため、七都県市首脳会議において、水質汚濁防止法の規制に上乗せをしまして窒素、燐の規制基準を設定する条例化を早期に図ることが合意されたものでございます。 ◯五十嵐委員 東京湾の水質、いわゆる富栄養化対策改善には、関連する自治体の一致した努力がなければなかなか進まないと思うんです。  この事業の説明にもありましたけれども、平成五年には環境庁が全窒素、全燐にかかわる環境基準を設定して、いわゆる法的な措置として一律排出基準を決めた。平成七年には、東京湾の全燐、全窒素にかかわる環境基準の水域類型を指定して、平成十一年度を暫定目標として、その達成に努力するという背景があったと思うんですね。  そんな中で、今説明がありました七都県市がそれぞれいろいろ努力をしながら、その努力目標でやってきた。その中で、平成十一年度、来年の暫定目標達成にはなかなか厳しい状況だという背景の中で、今回の上乗せ基準の条例改正という手続になったというふうに理解しているわけですが、昨年の十一月にいろいろ努力目標を決めたということですけれども、今、七都県市のうち東京都を除いた六県市がどんな状況になっているのか、説明してください。 ◯市川水質保全部長 条例化の状況でございますけれども、千葉県は去る十月に既に条例化をし、神奈川県はこの十二月の県議会に条例改正案を上程するなど、それぞれ条例化を進めているところでございます。また、千葉市、川崎市、横浜市につきましては、それぞれの県条例が適用されることとなってございます。 ◯五十嵐委員 そうしますと、いわゆる七都県市の埼玉県の状況はどうなんでしょうか。 ◯市川水質保全部長 埼玉県の関係でございますが、水質汚濁防止法の規制に上乗せをしまして窒素、燐の規制基準を設定することにつきましては、同法の規定により、東京湾の区域に属していることが要件とされております。このため、埼玉県は条例化ができないということになっております。 ◯五十嵐委員 埼玉県は、直接東京湾の水域等に排出していないということで、法律上の対象になっていないということですけれども、東京に隣接している埼玉県は、間接的に大変大きな影響を与えている地域であることはご承知だと思います。特に私の住んでいる足立区の綾瀬川なんかは、埼玉県が上流部を利用して、いろいろな河川の汚濁状況がなかなか解決できない。東京都は東京都で努力はしているけれども、埼玉県の改善がなかなか進まないがゆえの原因も大変大きく寄与しているのではないかといわれている。  最近、ダイオキシンの問題等々もいわれております。そんな中で、埼玉県も──この法律上の対象にはなっていないことは理解しているんですけれども、七都県市がやってきた努力等々のご説明がありました。やはり埼玉県に対しても一定の協力を求めていかないと、なかなか東京湾全体の水質改善にはなっていかないんじゃないかと思うんです。  そんな中から、国に対して、法律の改正も含めて、あるいは法律が改正できなくとも、ほかの法律の上での水質対策はいろいろやっているんでしょうけれども、この法律に関連する対策もできるようなものを強く国に求めていかなければいけないんじゃないか、そんなふうに思っております。埼玉県の対応はどうなるのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◯市川水質保全部長 埼玉県としましては、窒素、燐の上乗せ排出基準の条例化ができないため、これまで七都県市が共同協調して取り組んでまいりました富栄養化対策指導指針及び水質管理目標値による指導を引き続き行っていくことにしております。また、埼玉県が水質汚濁防止法の規制に上乗せしまして窒素、燐の規制基準を設定する条例化ができるよう、今後、制度の改正につきまして、七都県市と協議の上、共同して国に要望してまいりたいと思います。 ◯五十嵐委員 こういう広域水系の中の水質改善というのは、やはり全部で協力しないとなかなか改善点が進まないと思うんです。上乗せする中で、さらなる厳しい対処を決めながら改善に資するということで、私はこれはぜひ進めていただきたいと思います。  そこで、ちょっと角度を変えましてお伺いしたいんですが、今回の条例改正によって規制の対象となるのは、いわゆる川だとか海などの公共用水域に直接排水する事業所が対象になっていると条例上書かれております。それでは、直接水域に排出するんではなくて、市街地の中で下水道に排出する事業所等があると思いますが、公共下水道に排水する事業所に対する規制はどのようになるんでしょうか、お伺いいたします。 ◯市川水質保全部長 お話のとおり、今回の条例改正によります規制対象は、河川及び海域等の公共用水域に直接排水する事業場が対象となります。下水道が整備された地域におきましては公共下水道に汚水を排水する事業場でございますが、下水道法及び下水道条例が適用されることとなってございます。 ◯五十嵐委員 確かに、条例上、法律上、公共用水域に直接排水する事業所が対象になる。そうなれば、市街地の中の下水道に排水する事業所は、一定の経路を通りながら、最終的には下水処理場で処理されて、河川なり海に放流される。そこで、事業所というのは、当然下水処理場も対象になる。その事業所で当然厳しく取り込むことによって、海に出る分に対する規制は、このもとでというか、最後のところでチェックできると思うんですが、どうしても最初の原因になる事業所から出るところも協力しないと、下水処理場の負担が大きくなりますから、今いわれたように、その辺も下水道法上の処理の対象になっていくということで、今後は、環境保全局の条例改正に伴って、下水道局の下水道法上も当然連動して規制をしていかなければ、相乗効果として効果がなかなか厳しいんじゃないかと思います。  この辺、下水道局の対象になろうかと思いますが、環境保全局と事業局の下水道局といろいろ調整していると思いますが、今後の取り組みはどんなふうになっていくのか、お伺いしておきたいと思います。 ◯市川水質保全部長 公共下水道に汚水を排水する事業場に対しましては、先ほどご答弁申し上げましたが、下水道法や下水道条例により規制されるわけでございますが、その規制基準につきましては、水質汚濁防止法及び東京都公害防止条例の排水基準をもとに設定されるということになってございます。したがいまして、東京都公害防止条例の改正が行われますと、下水道条例による規制も強化される仕組みとなっているということでございます。 ◯五十嵐委員 大体理解できましたが、この条例が今議会で通ったとして──通るでしょうけれども、その後の下水道局における条例制定の手続はどういう手続になってくるのか、もしわかっていらっしゃったら教えていただきたい。 ◯市川水質保全部長 下水道局におきましては、下水処理場における窒素、燐の排水処理対応の可能性あるいは事業場における排水の実態等を勘案しながら、下水道条例の改正を含め検討していると聞いております。  今後とも、下水道局と連携を図りながら対応してまいりたいと思います。 ◯五十嵐委員 最後になりますけれども、これは環境保全局直接ではないので大変恐縮なんですが、ただいま説明がありましたように、下水道法上の改正もされていく手続の中で、いわゆる町中の事業所というのは、中小零細の企業も事業所になり得ると思うんです。そこが下水道法上の規制対象になれば、大変不況の中で、いろいろな設備投資だとか、改善のための投資をまたしなければならないような問題が出てくると予想されます。そんな中で、公害等の規制の対象事業所として、今までもいろいろな融資の制度とかありますけれども、我々も下水道局にいろいろ要望していきたいと思いますが、中小零細企業がこのことによって急に厳しい対象になると、大変影響が大きいと思いますので、その辺、事業を進める上で、両局調整の上でうまく進めていただきたいなという希望があります。  要望して、終わります。 ◯木村委員 今の関連で、五十嵐委員の質問の中で、今度の上乗せが中小零細企業に厳しいものであるということがあったんですけれども、それはある程度クリア可能な範囲での上乗せだと理解して、私はどっちかというと、水質汚濁防止をもっとやるには、もう少し踏み込んだ方がいいんじゃないかという感じを持っているんです。その辺はどうなんですか。 ◯市川水質保全部長 今回の東京都公害防止条例の改正におきましての排水基準の考え方でございますが、これにつきましては、私ども平成四年度に指導目標値を定めまして、対象事業所を指導してきたところでございます。  現在、大幅に改善をされまして、ほぼ指導目標値を達成できるような状態になってきてございます。その指導目標値をベースにいたしまして、条例上の排水基準を設定したところでございます。  したがいまして、現在私どもの方で指導しております五十トン以上の対象事業所につきましては、今回の排水基準を設定をした場合におきましても、運転管理等適正な管理をすれば排水基準は守れる水準ということで設定してございまして、特別に新たな投資を直ちに行うという基準ではないというふうに認識してございます。  ただ、下水道に排水をしてございます事業所につきましては、先ほど申し上げましたように、下水道法と下水道条例に基づきまして規制をされるということでございまして、その意味で、下水道局といたしましても、処理場の処理の可能性、また下水道に汚水を排水している事業場の実態、こういうものを勘案しながら、下水道条例の改正等を含めて検討していくということをお答え申し上げました。そういう実情でございます。 ◯木村委員 そうすると、今度の改正は、企業者にとってそれほど過酷な負担を与えないということで、優しい指導なんですけれども、反面、水質の浄化をもっと図るという側からすれば、少し緩いんじゃないか、物足りないんじゃないかというものが出てくるんですけれども、さっき五十嵐委員の方からも、埼玉県はその対象になっていないといいますけれども、埼玉県の河川は利根川なんかに流入しているんじゃないんですか。それが東京湾の汚濁に与えている影響というのはかなりあるんじゃないかと思うんですけれども、実態はどうなんですか。 ◯市川水質保全部長 埼玉県から排出をされております窒素の負荷量は、東京湾に出ている負荷量の約二四%ございます。それから燐が約三二%という数値でございまして、東京湾に対する負荷は大変大きなものがあるというふうに認識してございます。  ただ、現行法上は条例化ができないという形になってございますので、七都県市で実施してまいりました指導目標値で今後引き続いて指導を行っていくということで、私どもといたしましても、条例化できるような形が非常に望ましいと考えてございますので、七都県市と協議の上、共同して国に制度改正を要望していきたいというような考え方を持っているところでございます。 ◯木村委員 二四%も三二%も影響を持っている埼玉県がその対象外というのは、やはり大事なところがすり抜けているということがありますので、ぜひ東京湾のためにも、国の方の改正も迫って、埼玉県にも協力してもらえるように努力していただきたいなと思います。  最後に、東京都の長期計画の中では、東京湾の水質浄化という観点から、将来はお台場の海浜公園で水泳ができる、水遊びができるということが目標にうたわれておりましたね。それとの関連で、それはどういう年次をある程度目標にしながら、どういうスケジュールでお台場で泳ぎができるくらいの水質浄化をしていこうという形で長期計画に盛り込んだのか、それと今回の条例の改正はどういう関連を持っているのか、ご説明いただきたい。 ◯市川水質保全部長 ただいま、東京湾のお台場公園で水泳ができるような水質にするということが重点計画に盛られているけれども、いつごろかというような話でございます。大変申しわけないんですが、私、今この問題の内容を把握してございませんけれども、お台場近辺の水質につきましては、遊漁船等の直接汚水の排水というような問題もございまして、私ども、これにつきましては、できるだけ早く改善をしなければならないというようなことで、関係局と現在鋭意作業を進めているところでございます。  いずれにしましても、東京湾の水質につきましては、環境基準が十一年度暫定目標値を設定していることもございますので、最大限の努力をして水質改善に努めていきたいと考えております。 ◯小林委員長 今回の規制とお台場で泳げるようになるというのは、何か関連があるのかどうかお聞きしたんですが、どうですか。 ◯市川水質保全部長 失礼いたしました。今回の水質改善とは直接関係はございませんので、その辺のところはちょっとわからないという状況でございます。 ◯小林委員長 どなたか答えられる方がおられれば……。今以上のことがいえなかったらいいですよ。 ◯市川水質保全部長 東京湾の改善につきましては、ただいま申し上げました窒素、燐の改善あるいはCODの総量規制ということで、さらに水質の改善をしてまいりたいというふうに思ってございます。そういうことで、東京湾の水質改善に努めていくということでご理解いただきたいと思います。 ◯五十嵐委員 木村委員の方から、私が環境規制を甘くしていいんじゃないかというような受けとめ方をされたような発言があったので……。私は決してそういうことではなくて、やっぱり環境を守るために厳しくやっていかなければならない、当然のことです。ただし、そういう市街地の中の中小零細企業も、下水道条例に基づくいろいろな規制になった場合に、今でもいわれている公害対象事業者が、環境整備のためにいろいろな事業ができるように応援してやるべきではないか、そういう視点で発言したつもりなので、一言いわせていただきます。 ◯小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯小林委員長 それでは、異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  以上で環境保全局関係を終わります。  この際、議事の都合により五分間休憩をいたしたいと思います。    午後二時四十五分休憩      ━━━━━━━━━━
       午後二時五十四分開議 ◯小林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  審査を続行いたします。  これより都市計画局関係に入ります。  理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。 ◯成戸都市計画局長 本日は、来年一月二十九日に開催を予定いたしております第百三十八回東京都都市計画地方審議会に付議を予定しております案件並びに東京都水循環マスタープラン「中間のまとめ」及び東京都景観づくり基本方針の報告事項二件につきましてご説明を申し上げます。  初めに、東京都都市計画地方審議会に付議を予定しております案件でございますが、都市計画決定にかかわるものが全部で九十八件ございまして、その内訳は、区部で六十件、市町村部で三十八件でございます。  また、今回の都市計画地方審議会に付議はいたしませんが、都市計画手続にあわせて環境影響評価手続を開始いたします、いわゆるアセス前合わせ案件といたしまして、幹線道路三・二・六号調布保谷線の三鷹部分外七件がございます。  次に、報告事項二件につきましてご説明申し上げます。  まず初めは、今月一日に公表いたしました水循環マスタープラン「中間のまとめ」についてでございます。  本マスタープランは、水施策を水循環の視点から、総合的、体系的、効率的に推進していくための基本方針を示すものでございまして、水施策の各分野別行政計画を策定する際の指針となるものでございます。  続きましては、先月十一月二十五日に東京都景観審議会から知事に答申されました東京都景観づくり基本方針でございます。  本基本方針は、昨年十二月に制定いたしました東京都景観条例の規定に基づき、東京の景観づくりを総合的かつ計画的に推進するための基本となる方針として定めたものでございまして、本答申を踏まえまして、区市町村の長の意見を聞いて、年内には定める予定でございます。  それでは、引き続きそれぞれの担当部長からご説明いたしますので、よろしくお願い申し上げます。 ◯進藤施設計画部長 都市計画案についてご説明いたします。  まず、京浜急行線の連続立体交差化計画についてご説明いたします。  資料は、主要案件説明資料の四ページから、図面集は一ページからになります。  本案件は、踏切による道路交通渋滞の解消や、鉄道沿線の一体的なまちづくりの推進等を目的としまして、大田区内を走ります京浜急行本線及び空港線を連続的に立体交差化するものでございます。関連案件としては、駅前広場や側道、自転車駐車場などの新設がございます。  この案件は、環境影響評価条例の対象事業となっておりまして、いわゆるアセスの後合わせ案件でございます。  京浜急行線は、現在、大田区内のほとんどの区間で地上を走っており、環状八号線や第一京浜を初めとする多くの道路と平面交差しておりまして、慢性的な交通渋滞や地域分断の原因となっているところでございます。  図面集の一ページをごらんいただければと思います。今回、都市計画を定める区間は、本線が平和島から六郷土手までの約五・四キロメートル、空港線が京急蒲田から大鳥居駅までの約二・一キロメートルでございます。このうち、実際に工事を行う区間は、本線が約四・七キロメートル、空港線が約一・三キロメートルで、この間の構造は高架方式としております。これにより、大田区内では二十八カ所の踏切が解消されることとなります。  図面の六ページをごらんいただければと思います。また、計画では、京急蒲田駅は、上り線が二階、下り線が三階に発着する二層高架構造としておりまして、本線と空港線とが分岐するこの駅での乗りかえ利便性の向上等が図られるようになっております。  工事期間は、本線が平成十二年度から三十一年度まで、空港線は平成十二年度から二十五年度までとなっております。この間で段階的に踏切解消を図っていく予定でございます。  また、事業主体は東京都で、総事業費は約千九百億円となっておりまして、これは国、東京都、大田区、京浜急行電鉄株式会社の四者が負担をいたします。  次に、関連案件ですが、駅前広場を新設いたします。図面が二ページにございますが、新たに駅前広場を設置するのは、二ページのピンクで小さく表示してございます位置で、京急蒲田、雑色、糀谷の三駅でございます。このうち、京急蒲田では、駅を挟んで東西にそれぞれ一つずつ広場を計画しておりまして、両方の広場を結ぶ形でデッキ式の歩行者専用道を計画しております。  なお、幹線道路から駅へのアクセス道路は、京急蒲田西口と大森町に設置します。さらには、高架となる鉄道に沿って、事業区間のほぼ全線にわたり側道を計画しております。  なお、各広場の面積、道路の幅員、延長等は、お手持ちの資料に示してございます。  さらに、関連案件といたしまして、このほかに、自転車駐車場の設置がございます。位置につきましては、七ページにお示しをしておりますが、今回新たに高架となる大森町、梅屋敷、京急蒲田、雑色、糀谷の五つの駅を対象に、京急蒲田については二カ所、その他の駅については一カ所ずつの計六カ所を計画しております。これらはいずれも鉄道の高架下空間を利用して設置されます。  これらの都市計画案については、自転車駐車場がことしの九月十四日から、その他の案件につきましては昨年十一月十日から、二週間縦覧を行いました結果、知事あてに九通、大田区あてに十通の意見書が提出されております。  環境影響評価についてご説明いたします。  説明資料集の五ページからになりますが、今回、予測、評価する項目は、騒音、振動等七項目となってございます。評価書案では、評価の結論として、騒音、振動はおおむね評価の指標を下回り、他の項目も、影響が少ないか、あるいは適切な対応策を実施するようになっており、都市計画を変更する上で支障ないと判断しております。  なお、本年十一月四日に評価書案に対する知事の審査意見書が出されまして、お手持ちの資料にお示ししてございますが、評価書案の内容は、おおむね東京都環境影響評価技術指針に従って行われたものであると認められたところでございます。  以上で京浜急行関係の説明は終わります。  続きまして、資料集としては飛びますが、(3)の調布保谷線の変更についてご説明をいたします。  今回ご説明する区間につきましては、環境影響評価条例の対象でございまして、今回、保谷市区間の保谷都市計画道路三・二・六号線については後合わせ案件、三鷹市・武蔵野市区間の三鷹都市計画道路三・二・六号線及び武蔵野都市計画道路三・三・六号線については、アセスの前合わせ案件でございます。  説明資料では、一三ページ、一四ページ、一五ページ以降に環境影響評価について記載してございます。また図面集では、一一ページ以降に関係する図面を記載してございます。  説明資料の1)で表示しておりますのが、保谷市区間、後合わせの案件でございまして、2)で説明しておりますのが、三鷹市及び武蔵野市区間、前合わせの区間でございます。  調布保谷線は、多摩川にかかる多摩川原橋の調布市側を起点として、調布市、三鷹市及び武蔵野市を経由し、保谷市の埼玉県境に至る、多摩地域における南北方向の主要な道路の一つであり、交通混雑を緩和し、地域の発展に寄与する道路であります。  今回、保谷市内の青梅街道から埼玉県境までの約三・九キロの区間並びに三鷹市から武蔵野市にかけて東八道路から井の頭通りまでの約三・一キロメートルの両区間につきまして、沿道環境の保全、都市防災の強化などの観点から幅員を変更するものでございます。  変更内容ですけれども、本線四車線の両側に、沿道環境の保全を図るために幅員十メートルの環境施設帯を設置いたします。これにより、保谷市区間では、現在の計画幅員二十メートルを三十六メートルに、三鷹・武蔵野市区間では、現在の計画幅員二十五メートル、一部区間は二十六メートルですが、これを三十六メートルに拡幅変更いたします。  環境施設帯は、歩道、植栽帯、副道等で構成することとしておりますが、つくり方については、事業実施の段階で、関係機関や住民等の意見などを聞きながら決定する予定でございます。  関連する案件としては、調布保谷線の拡幅変更に伴いまして、交差する都市計画道路の起終点、延長を変更いたします。  なお、都市計画法の政省令の改正に伴いまして、これから都市計画変更の手続に入る前合わせ案件の三鷹都市計画道路と武蔵野都市計画道路につきましては、車線の数が計画事項として追加されております。  また、調布保谷線の変更等に合わせまして、保谷都市計画東伏見公園の面積を約十四・五ヘクタールから約十三・七ヘクタールに変更するとともに、石神井川と旧河川の約一・八ヘクタールを保谷都市計画東伏見石神井川緑地として新たに決定いたします。  さらに、東伏見公園の計画地内に存する東伏見稲荷神社の境内地約一・三ヘクタールの区域を、地域地区の一つである緑地保全地区として指定いたします。  また、三鷹都市計画堀合緑地につきましては、調布保谷線の変更に合わせて区域と面積を変更いたします。  調布保谷線は建設局が施行し、両区間とも平成二十二年度の完成を予定しております。  保谷都市計画道路の変更につきまして、平成十年一月二十日から二週間公衆の縦覧に供しましたところ、五百二十一名、一団体から二千五百八十四通の反対、二名から二通のその他の意見書の提出がございました。  続きまして、環境影響評価についてご説明をいたします。資料は一三ページからになります。  環境影響評価を実施いたしますのは、事業予定者であります東京都でございます。  要約に示しますとおり、大気汚染、騒音、振動に関しましては、環境基準等評価の指標を下回っております。また、地形・地質、植物・動物等につきましては、変化の程度または影響は少ないと考えられております。  なお、恐れ入りますが、資料の訂正をお願いいたしたいと思います。お手元の資料の一五ページの保谷市の後合わせの案件につきまして、一五ページの右上に4として、手続の経過が書いてあります。そこの平成十年八月のところに、見解書に対する都民の意見書は三千五百三十件となっておりますが、これを三千五百三十一件にご訂正をお願いいたします。  保谷三・二・六号線の環境影響評価につきましては、平成九年十二月に環境影響評価書案を提出し、平成十年十一月に知事より審査意見書を受けたところであり、この中で、本環境影響評価はおおむね技術指針に従って行われたものと認められております。  大気汚染以下八項目について出されました審査意見の大半につきましては、要約に記載してございます。  主な審査意見をご説明いたしますと、交通条件の項では、将来交通量推計の前提条件をより具体的に記述すること、また、大気汚染の項では、トンネル坑口付近の自動車排ガスの吹き出しと広がりを考慮した予測、評価を行うことなどがございました。  今後、これらの意見を踏まえまして、環境影響評価書を作成してまいります。  以上、いずれの項目も環境への影響は少ないものと考えられ、都市計画を変更する上で支障ないものと判断しております。  以上でご説明を終わります。 ◯城石新線計画担当部長 臨海新交通の「ゆりかもめ」の延伸につきましてご説明申し上げます。  主要案件説明資料の九ページをお開きください。それから、主要案件図面集の方では八ページ以下となります。  「ゆりかもめ」の延伸でございますが、この延伸によりまして、臨海副都心と豊洲地域が連結されるとともに、既存の営団有楽町線豊洲駅と連絡されることによりまして、交通ネットワークの形成や、利便性の一層の向上が図られるものでございます。また、臨海副都心及び関連地域の開発発展に寄与するものでございます。  なお、本件は、東京都環境影響評価条例に基づきまして環境影響評価を行っている、いわゆる後合わせの案件でございます。  都市計画変更の概要でございますけれども、区間は、江東区有明二丁目から豊洲二丁目まで、約二千八百メートルでございます。駅数は、仮称でございますが、有明北駅、豊洲(1)駅、豊洲(2)駅、豊洲駅の四駅でございます。いずれも全線高架式で、区画整理事業により整備いたします環状第二号線及び補助第三一五号線の路上空間に整備されるものでございます。  施行予定期間は平成十一年度から平成十七年度、施行予定者は、インフラ部が東京都建設局、インフラ外部が株式会社ゆりかもめでございます。総事業費が約六百二十億円、関連案件といたしまして、新交通の専用道の変更を行うことになっております。  一〇ページ以下に環境影響評価について要約が載っております。  一〇ページの右側の4というところをごらんいただきたいと思いますが、環境影響評価条例に基づく手続ということで、平成九年十二月からの手続が書いてございます。平成十年二月には、評価書案の公示、縦覧がございまして、都民の意見はゼロ件であったということでございます。それから、平成十年七月には見解書の公示、縦覧がございまして、これについても都民の意見はございませんでした。  その後、知事の審査意見書が出されまして、評価の結論といたしましては、一一ページのところに簡単にまとめてございます。  評価項目といたしましては、騒音、振動、土壌汚染、日照阻害、電波障害、景観の六項目を予測、評価しておりますが、騒音、振動についてはいずれも基準以下、また、ほかの項目についても、適切な工法の採用などによりまして、影響が少ないと予測されておりまして、都市計画を定める上で支障ないと判断いたしております。  以上でございます。 ◯細渕総合計画部長 東京都水循環マスタープラン「中間のまとめ」について、ご説明をさせていただきます。  お配りしてございますのは、本体と、その中にとじ込んでございますあらましと、左上に説明資料と書いてございます三点でございますが、説明資料に基づきましてご説明をさせていただきます。  このマスタープランは、生活都市東京構想の重点事業として位置づけられているものでございまして、十二月一日に取りまとめを行ったものでございます。  目的、性格でございますが、東京における水循環の将来像を描くとともに、その実現に向けて、都が、水施策を水循環の観点から総合的、体系的、効率的に推進していくための基本方針を示すものでございます。  次に、マスタープランには三つの特徴がございます。第一に、水施策全体を都として初めて体系化したものでございます。第二に、平成二十七年を目標年次としまして、七つの基本目標と十七の重点施策を設定したことでございます。第三に、このマスタープランは、平常時の豊かで快適な水循環と異常・災害時の安全な水循環をともに実現することを目指すものでございます。  マスタープランの主な内容でございますけれども、不安定水源等の問題など現状と課題を分析整理した上で、七つの基本目標を定め、これを実現していくために、十七の重点施策を設定したものでございます。  七つの基本目標と重点施策のうちの主なものをご説明させていただきます。  基本目標の1は、十年に一回の渇水でも安全でおいしい水を供給できる都市でございます。  重点の1でございますが、将来の需要に見合う日量約六百五十万立方メートルの安定した水源を確保するため、引き続き八ッ場ダムや滝沢ダムなどの整備を進めることとしております。  二ページに移ります。重点の4でございますが、都市再開発事業の予定区域等においては、下水再生水の循環利用を促進するなど、日量約二十万立方メートルを目標に、雑用水の利用を拡大していくこととしております。  重点の5でございますが、雨水利用・雨水浸透促進要綱等に基づき、雨水の利用や浸透の一層の普及を図ってまいります。  基本目標の2は、生態系の保全に必要なふだんの川の流れがある都市でございます。  重点の8をごらんいただきます。道路事業や市街地開発事業などとの連携を強化するとともに、現在、総合治水対策や水循環再生事業として実施している個人住宅への助成制度の充実を図り、浸透ます、浸透トレンチの設置など雨水の浸透を促進していくこととしております。  また、重点の9では、妙正寺川や善福寺川など平常流量の回復が急がれる河川については、下水の高度処理水を活用しまして清流の復活を進めてまいります。  基本目標の3でございます。人々が集い、安らぐ水辺があり、水文化が継承、復活された都市でございます。  重点の10をごらんいただきます。玉川上水を軸とする水路については、その再整備を進め、野川などの再生に結びつけてまいりたいと考えております。  三ページに移ります。基本目標の4は、すべての水域の環境基準が達成された都市でございます。  重点の13です。下水処理場において総処理水量の六〇%を目標に高度処理の導入を推進し、河川や海域の水質改善を図ることとしております。  基本目標の5は、水の持つ熱エネルギーを活用した環境保全型都市でございます。  重点の15、水辺や緑地の拡大により、ヒートアイランド現象を緩和していくこととしてございます。  基本目標の6は、十五年に一回の降雨でも浸水被害が生じない都市でございます。  重点の16でございますが、河川や下水道の整備を進めるとともに、雨水浸透や貯留等の流域対策によりまして、総合的にこれらの施策を展開いたします。  基本目標の7は、災害発生時に必要な水が確保され、水危機が生じない都市でございます。  重点の17でございますが、阪神・淡路大震災の教訓等を踏まえ、災害発生時に河川水や下水再生水を有効に活用してまいるものでございます。  四ページに移ります。エリア別に見た重点的な取り組みの基本方針につきましては、生活都市東京構想におきます七つのエリアごとに、それぞれの地域の水循環の課題を明らかにするとともに、地域特性を踏まえた重点的な取り組みの方向を示してございます。  次に、マスタープランで定めた施策を具体的に推進する仕組みについてでございますが、まず第一に、改訂重点計画において位置づけられております条例の制定でございます。  水循環のマスタープラン、そして先ごろ策定いたしましたエコロジー東京の策定を契機に、都民、事業者とのパートナーシップに基づく永続的な取り組みを進めるために、平成十二年度を目途に水循環の推進に関する条例を制定することといたしました。  第二に、水循環マスタープランの目標の実現に向けて、分野別の計画を策定することといたしております。  第三に、都民等との適切なパートナーシップに基づく水循環の推進を図るため、新しく水循環推進協議会を設置することといたしております。  体系図をごらんいただきたいと存じます。これまでご説明した内容を体系図としてまとめたものでございます。右側に施策を掲げてございますが、黒い印をつけたものが重点施策でございます。  今後の取り組みでございますが、この「中間のまとめ」につきまして、今後都民等から幅広くご意見を伺いまして、それらを参考にしつつ、三月末を目途に水循環マスタープランを策定することといたしております。
     以上で説明を終わります。 ◯勝田地域計画部長 私からは、東京都景観づくり基本方針についての答申につきましてご説明を申し上げます。  お手元に白い表紙の答申本文がお配りしてございますが、その中に、A4サイズ一枚に要点としてまとめたものが差し込んでございます。こちらで説明をさせていただきます。  まず第1、答申の経緯等でございます。  景観づくり基本方針は、昨年十二月に制定されました東京都景観条例に基づきまして、東京の景観づくりを総合的かつ計画的に推進するための基本となる方針として定めるものでございます。  本方針を策定するに当たりまして、本年二月に知事から景観審議会へ諮問をいたしまして、調査、審議をお願いをいたしました。  審議会では、専門部会を設けまして検討を行い、七月に「中間のまとめ」を公表し、都民、事業者から寄せられた意見を反映した上、最終案を取りまとめ、十一月二十五日に開催をいたしました景観審議会において知事に答申されたところでございます。  今後、この答申を踏まえ、景観づくり基本方針案を作成し、区市町村長に意見照会を行いまして、年内には都の景観づくり基本方針として決定していきたいと考えております。  なお、景観審議会では、この基本方針の検討とあわせまして、東京の景観づくりを具体的に進めるために必要となります基準、指針の策定に向けた審議も現在進めているところでございます。  第2の答申内容の要点でございます。  1といたしまして、景観づくり基本方針の役割でございますが、東京都の景観づくりの基本となる方針であると当時に、区市町村や都民、事業者の景観づくりの指針ともなるべきものと位置づけております。  次に、2の東京の景観の特性についてでございます。東京には特徴的な場所や地区がさまざまに存在しております。東京の丘陵地や台地、低地等変化に富んだ自然を基盤といたしまして、その上に都市活動、産業活動が活発に展開され、歴史的、文化的な蓄積や人々の暮らしが重なり合って、それぞれの場所や地区ごとに特徴的な景観をつくり出してまいりました。このような生き生きとした多様性のあることが東京の景観の特性であるというふうにしております。  一方、東京全体を視野に入れて見た場合、東京の景観の枠組みを形成する要素といたしまして、東京らしさと地域らしさの二つが浮かび上がってくるとしております。  東京らしさを感じさせるものといたしましては、隅田川等の河川や国分寺崖線など、また都心や副都心の町並み等を挙げております。これらは東京の町の輪郭や顔だちをつくっており、東京の景観の骨格を形成しているものでございまして、重点的に景観づくりに取り組む必要がある景観基本軸としております。  地域らしさとしましては、例えば川の手、山の手景観域など、人々が共通認識できる八つの景観域に区分しております。  次に、3の東京の景観づくりの目標につきましてご説明を申し上げます。  景観づくりを進めるには、明確な目標を掲げることが必要であることが述べられ、具体的な目標といたしまして、一、自然を生かすこと、二、歴史、文化を伝え生かすこと、三、地域の個性や多様な魅力を育てることの三点を挙げております。  裏側の二ページをごらんいただきたいと存じます。4の実現化への具体的な取り組みでございます。ここでは三つの方向で整理されております。  一つは、(1)にございます東京全体の視点から景観づくりを進める、すなわち、都が先導して計画的に行う取り組みについてでございます。  具体的には、景観基本軸を指定することによる景観誘導でございます。東京の景観の骨格を連続的に形成している地帯、例えば隅田川などを景観基本軸に指定をいたしまして、それぞれの軸の景観づくりの考え方や景観づくり基準を定め、良好な景観形成を図ることでございます。  また、2)にございます拠点となる場所での景観づくりといたしましては、アに記載しておりますように、大規模な建築や開発行為等、こういった事業等を行う民間事業者に対しまして届け出を義務づけ、景観への配慮を促すことによりまして景観誘導を図ることなどでございます。  次に、(2)にございます地域の景観づくりに対する支援についてでございます。ここでは、2)にございますように、区市町村の取り組みに支援や協力を行うこと等がまとめられております。  (3)では、景観形成の大きな担い手でございます都民及び事業者とともに景観づくりを進めるべきことを整理してございます。  最後に、5の今後の実効性のある展開のための取り組みといたしまして、庁内関係部局間や、都と区市町村との景観行政において連携を図るための体制のあり方などについて述べられております。  最後のウのところでは、景観づくりを取り巻く社会状況の変化を勘案して、基準や指針について定期的に見直しを行うこと、また景観白書を発行すべきこととされておるところでございます。  以上でございます。 ◯小林委員長 報告は終わりました。  ただいまの報告に対して、質問等がございましたら、発言を願います。  なお、三件一括して行いますので、よろしくお願いします。    〔委員長退席、池田副委員長着席〕 ◯小礒委員 それでは、まず水循環のマスタープランにつきまして、もう一点、都市景観づくりの基本方針について、この二点についてお伺いいたしたいと思います。  まず、水循環につきましては、東京における望ましい水循環の形成を図っていくんだということの中で、中間の取りまとめでありますけれども、マスタープランの制定がされた。二〇一五年、平成二十七年を目標に設定されたということでありますが、そこで、特に親水性、生態系に配慮した河川整備の必要についてもここに記入されておりますけれども、私どもは長年にわたってこれらのことを主張してきた一人でありますが、水循環マスタープランの中間まとめの中では、中小河川改修のあり方についてどのような方向づけがなされてきているのか、このあたりのご説明をお願いいたします。 ◯細渕総合計画部長 ただいまご指摘がございましたとおり、親水性や生態系に配慮した河川整備を行っていくことが大変重要だというふうに認識をいたしております。  中小河川においては、浸水被害の防止により安全を確保しつつ、地域の特性等に応じて緩傾斜型や多自然型の整備手法を取り入れて親水性を高めるとともに、多様な生き物の生息にも配慮した河床や水際の整備などを図っていくこととしております。 ◯小礒委員 この「中間のまとめ」の中にも、河川整備において、多摩の心しんの育成における市街地開発整備等と連携し、水辺と一体となった公園等の整備を行うということで示されておりますけれども、これはより具体的にはどのようなことなんでしょう。説明をお願いしたいと思います。 ◯細渕総合計画部長 今お話がございましたとおり、多摩の都市のあり方については、さきに多摩の育成整備の計画等もつくってございまして、そういったまちづくりとあわせまして、河川の整備、そして水辺の環境の整備等もあわせて、総合的に考えながら進めていくということが大事であると考えておりまして、こうした考え方に基づき、今後また具体的な事業計画に結びつけていくものかなというふうに考えております。 ◯小礒委員 いわゆるマスタープラン中間まとめということで、さらにさまざまな意見を聴取していくんだというようなこともいわれておるわけでありまして、その中で、ここに記入されている、ただいま質問し、またご答弁いただきましたけれども、特に具体的には、大規模開発がなされた中での中小河川の改修、それは当該のところだけじゃないと思いますけれども、三面コンクリート工法というんですか、において、まさに河川の親水化を向上させるといいますが、現状として全くもって親水化どころではない。昭和六十三年以降に改修を実施している区間では、改修にあわせて、さらに憩いの水辺の整備も進めているんだということがありますが、一向に何らかの手当てが加わっていないところもあるわけですね。中間まとめに列記されている七つの基本目標、十七の重点施策という中でも示されているような中から見ても、余りにも放置をされ尽くされていて、基本的に、今のような多摩の心しんの中で一定的に示さねば、今後どのようにされていくか。これは期待するところ大でありますけれども、このような状況が非常に多く見受けられる。  これは当然にして財政的な配慮が伴ってくるとは思いますが、さりとて、河川の親水化、また河川の周辺環境というものを整備していかなければいけないと思うんですね。その中におきましても、後ほど景観の点についてもお聞きしたいと思いますが、人を疎外し続けるような、大規模な、人工的につくり上げた町であり、なおかつ河川改修が治水効果のみで示されていて、これが遅々として一向に進まない。ご答弁及びさまざまな担当といいましょうか、時の東京都の責任ある方からも何回となく示されてきた計画案が、ことごとく達成されていない。  今後に向けては、中間でありますが、ここでマスタープランが策定され、私どもとしては大変期待をさせていただきたいと思いますし、これらのことを踏まえながら、河川の親水性の向上を伴った取り組みが今後ぜひともなされるようにしていただきたい。また、それにどのように取り組まれていくかということをご答弁いただきたいと思います。  もう一点は、これらを具体的に実現していくことが重要で、マスタープランの実現の仕組みについて、今いったようなことでありますけれども、今後どのように取り組まれていくのか。各局ともそれぞれ担当が入って意見を出し、実情というものを把握されて、これらの作業が進められてきたと思いますので、そのあたり、今後の取り組み方についてお願いしたいと思います。 ◯細渕総合計画部長 ただいま、多摩ニュータウンなどの住宅開発等が大規模に行われたところで、早くから三面張りの構造のままだというお話があったわけでございますが、そういったものを含めまして、河川の整備については、浸水被害を防ぐための改修を実施する際に、治水機能の確保を前提としつつ、地域の特性に応じて環境に配慮した整備を実施しているところではございます。  また、既に浸水被害を防ぐための改修が終わっている河川、ただいまご指摘があったようなところであろうかと存じますけれども、今後、親水性など環境への配慮が必要なところについては、望ましい水循環形成を図る観点からも、憩いの水辺事業による個性豊かな水辺の創出や、周辺の緑化などの環境整備を実施していく必要があると考えておりまして、そういった方向で推進してまいりたいと考えております。  続きまして、取り組みについてのお尋ねがございました。  親水性や生態系に配慮した河川整備を行っていくことが大変重要だと存じております。中小河川においては、浸水被害の防止により安全を確保しつつ、地域の特性等に応じて整備を進めることが大事だというふうに考えております。  こうした観点から、今庁内での体制というお話がございましたが、今回、検討委員会は十二局の関係部長等を構成員とする組織をつくったわけでございまして、今後、こういったものを基軸にしまして、引き続き庁内の推進体制を維持発展させつつ、関係局が一体となってマスタープランの具体化を進めたいと考えております。 ◯小礒委員 地域状況に照らし合わせてみても、とてもとても……、先ほどいったような点でご理解いただきたいと思いますが、親水化、生態系、さまざまな面を含めて、全くもって東京都がなぜここまで放置しているのかなと、私は、東京都の責任──今回、水循環マスタープランの中間の取りまとめで、十二局が参加して取りまとめに奔走されたということは、一応理解し、評価もいたすわけでありますけれども、いずれにいたしましても、今後の実施も含めて、ぜひ強力に今後とも取り組んでいただきますように、これは要望とさせていただきます。  それと、もう一点の景観づくりの基本方針について、一、二点お聞かせいただきたいと思います。  特に今回、ここで区市町村との連携、そしてまた区市町村との支援協力等々を示されておられますね。都市景観軸という中で、まさに地域の景観、その全体的な中で東京都として景観行政、施策を進めていくということはわかるわけでありますが、区市町村との連携に当たって、東京都はどのような協力支援策、そしてまた連絡調整等々を図られていくのか、そのあたりをご答弁してください。 ◯勝田地域計画部長 景観に対します区市町村との連携の関係でございますが、まだ今作業は途中段階ということでございます。昨年十二月に景観条例が制定されまして、今回、その基本的な方向を示します基本方針を定めようという段階でございます。先ほどご説明を申し上げましたが、現在、並行いたしまして、具体的な取り組みとして、必要な基準、指針をつくっているところでございます。  そこで、区市町との連携でございますが、全体の景観行政という立場では、先ほどご説明を申し上げました景観基本軸、それから大規模な建築、開発行為に対する届け出、こうした代表的なものについては東京都が先導的にやっていこう。その他の全般につきましては区市町が主体的に行う、こういう仕切りをイメージしておりまして、その方向で現在基準等もまとめているということでございます。その間に、条例あるいは今回の方針につきましても、逐次区市町のご意見もいただき、あるいは景観審議会の中に委員として入っていただくということから、いろいろな連係プレーでまとめてきている、こういうことでございます。 ◯小礒委員 例えば、先々月、十月に調査会社が出向いて、景観に対する一定の調査をしていますよね。これはどういう意向調査だったんでしょうか。 ◯勝田地域計画部長 現在、景観の基準等を定めていく中で、調査を委託をいたしまして、一定の作業、ワーキングをしているわけでございますが、その作業の一端といたしまして、地元の市の意向をいろいろお聞きするということでございまして、景観資源として、例えば地元の市がどういうようなとらえ方をされているのかというようなことを中心に、意向調査を行ったものでございます。 ◯小礒委員 こういう条例が制定され、なおかつ景観審議会が本年二月諮問を受けて、答申が十一月に出されたという中で、それぞれの自治体は、東京都の景観行政といいますか、この方向に対して大変関心を持っておると思うんですね。その中で、じゃ、今後東京都がどういう方向を示されてくるのか、東京都は何を考えているのかということの中で、私は、単に調査会社をぽんと行かせて、あれ見せろ、これ見せろということじゃなくて、どういう権限とあれを付与して行かせたのかよくわからないけれども、都は、景観だけではない、さまざまなものまで調査項目として調べてこいということを指示したんですか。  それともう一点は、続きますけれども、意向としては、早い時期に、私は、事務段階で環境の──各区市町村で、分けてもあれでしょうけれども、それぞれの景観のとらえ方が当然あると思います。ここにも八つ景観域が出ておりますから、景観域ごとにするか、いわゆる区部と多摩、どこで分けるか、それはわかりませんけれども、いずれにしても、早々といいますか、一定の時間の中で、事務段階の研修会とか勉強会を持つ必要性もあると思うんですが、そのあたりはどうなんでしょうか。 ◯勝田地域計画部長 区市町への調査の関係でございますが、作業の過程で必要な情報をいただきたいということでございまして、作業に必要な項目についていろいろお尋ねしているということでございます。  なお、これにつきましては、地元のそれぞれ関係をいたします区あるいは市と連絡会議といった形のものを持っておりまして、まずその中でお話をし、それに基づいて作業をしているということでございます。  二点目に、研修会、勉強会、こういったものが必要ではないかというお話でございます。現在までも、区市との意見交換あるいは内容のすり合わせ、こういったものを相当進めてきているところでございますけれども、現在いよいよ具体的な話に入ってきておりますので、それぞれのいろいろな意見の集約といったものについては、これからまだまだ越えなければならない課題あるいは整理すべき内容というのはたくさんあろうかと考えております。この辺のところにつきましては、作業の進捗に応じまして、今ご指摘のように、必要であれば、研修といいますか、あるいは東京都から区市に対する説明の機会といったものも持つ必要があろうかというふうにも考えておりますが、これは実務を進める中で適切に考えていきたいと思っております。 ◯小礒委員 今、いわゆる調査会社がそれぞれ実際に回って調査したことは、事前に話をしてあるんだというお話ですけれども、受けとめる立場の自治体としては、全員がそういう共通認識じゃないということです。  もう一つは、東京都から来たんだということになってくると、それぞれの担当者によってそうなのか、よくわからないけれども、その指示ですね、内容的に各般にわたって、余りにも広範囲にわたり過ぎている調査事項もあるんじゃないか。こういうことから見ると、ましてや十月という中で、最終的な答申作業にどうそれが重なっているのか、よくわかりませんけれども、それらのことの中で、東京都の動きというんですか、そういうものくらいは事務段階で周知徹底すべきだ、こういうことを思うんですよ。  市町村と連携していくんだ、協力していくんだ、助成もしていくんだということをうたっているのであるならば、前段とする中で、それらの密接なといいますか、一定の連携が保たれてしかるべきだと思うんですね。  ですから、そのあたりは現状を調べていただければわかると思いますし、今後のことの中で、これはぜひよりよい方向に結びつけていただきたいなというふうに思います。  それと、景観軸、特に景観域は、多摩丘陵というのがここにも入っているわけでありますが、特に自然林、自然の緑地保全、それからまた崖線を確保していくんだ、崖線は、ここには国分寺の崖線が示されておりますけれども、これら全体的な中で多摩丘陵の景観域というものを整備していくんだということとして受けとめてよろしいんでしょうか。  それとともに、ここで見ると、山林や農地がまざった、比較的のどかな景観が広がっているという認識に立たれているようでありますけれども、激しい開発の中で、景観はまさに大きく後退しているといいますか、自然林も後退しているわけであります。ですから、ここで、農地がまざり合って比較的のどかな景観が広がっているなんていう現状認識が示されているということは、私はちょっと驚いているんですけれども、このあたりはどうなんでしょうか。 ◯勝田地域計画部長 最初の丘陵地の関係でございますが、丘陵地につきましては、今年度、先ほどご説明申し上げました景観の骨格となる景観基本軸というのを設定したわけでございますが、その具体的な一つといたしまして、現在、丘陵地の景観基本軸といったものの整備のあり方、方向性をつくっていこうというふうにしているものでございます。  現在、具体的に作業に入っておりますのは、隅田川、玉川上水、丘陵地、この三者でございます。進捗状況といたしましては、隅田川が一番先行しておるという状況でございますが、こういった中で、先生からご指摘のような崖線の問題でありますとか、丘陵地の保全の問題、あるいは開発のあり方、こういったものを十分踏まえまして、景観としてどういうふうに考えていくべきかといったことを基準としてつくっていきたいと考えておりまして、そのための作業を現在進行中ということでございます。  なお、この基本軸につきましても、基本軸部会を設けまして、そこでの議論を踏まえて進めているということでございます。  次に、二点目に、激しい開発という現状があるじゃないか、こういうご指摘がございました。私どもの方も、多摩地域を中心といたしまして、東京にありました景観としての重要な構成要素であります自然が、開発によりまして、いろいろ景観上も問題という状況にあるという認識に立っておりまして、そのために、若干遅いのではないかという一部の意見もございますけれども、景観につきまして、このように本格的に議論するべきであろうということ。あるいは、景観のテーマにつきましては、一朝一夕にはなかなか一つの方向というわけにはいかないかというふうに考えておりますけれども、今後、一日も早く議論を深め、いろいろなご意見を集約をする中で、景観という側面からもまちづくりを整備していく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、現在努力しているところでございます。 ◯小礒委員 景観審議会の検討経過の中で、五月二十八日に第四回の審議会が開催されて、ここで多摩部の景観状況調査及び意見交換を行ったということでありますから、特にそのあたりを踏まえながら、私は今、多摩丘陵の景観域についてお聞きしたんですが、いずれにいたしましても、現状認識に立っていただいておられると思いますけれども、景観づくりの基本方針の中にこれが文章として残るのであるならば、文言がかなり制約されていると思いますけれども、やっぱり吟味していただきたいというか、現状というものに照らし合わせていただきたい。公に出るわけですからね。私たちは割と直近というか、地元にいますから、住んでいる者からすると、このあたりの多摩丘陵の景観域についての記述というのはいかがなものかなと思います。  最後に、答弁はいいですが、いずれにしても、都市景観全体の中で、この答申を受けて、これからいよいよさまざまな策定というか、いわゆる方針を定めていくということ、これにつきましては、我々としても非常に注目をさせていただきたいと思いますし、今後につきましても、よりよいまちづくりの中においても、今お話しのように、景観をどういうふうに取り入れていくのか、生かしていくのか、さまざまあると思いますけれども、これらのことを具体的に、東京らしさというか、地域らしさというか、市町村ともまさに連帯していただいて、そのあたりを鮮明に示せるような方向をぜひ打ち出していただきたいと思います。 ◯山本委員 私の方からは、都市計画審議会への付議予定案件について幾つかお伺いをしたいと思います。  最初に、主要案件の方にあります京浜急行線連続立体交差事業の問題について伺いたいと思うのです。  この京浜急行線の連続立体交差の事業なんですけれども、私も現場に行って、本当に第一京浜などがせきとめられているという状況を見ますと、急いで連続立体交差の事業を進めなければいけないんだなということを実感をして戻ってまいりました。  ところで、この都市計画案に対しての意見、どんなものがあったか、まず教えてください。 ◯進藤施設計画部長 都市計画案に対する意見書は、知事あてに現在、計九通来ております。反対意見に関するものが五通、そのほか事業や環境等に対する意見が四通となってございます。  その内容ですけれども、鉄道の立体化に関しましては、地下化を求めるものや、用地買収に対する要望、鉄道騒音の評価に対する疑問などとなってございます。また、駅前広場などに対しましては、必要性に疑問を投げかけるものや、地権者に対する説明が不十分だといった内容のものとなっております。このほかには、都市計画審議会の公開を求める意見等もございました。 ◯山本委員 それじゃ、環境影響評価の作業が行われたわけですが、この環境影響評価書案に対してはどういう意見が出ていたか、あわせて教えてください。 ◯進藤施設計画部長 環境影響評価書案に対する意見書は、知事あてに計十六通出ております。その内容は、踏切除却によります道路交通の変化に応じて大気汚染を評価すべきというご意見や、風害に対する対策を求める意見、高架下空間の環境対策を求める意見等でございました。 ◯山本委員 今伺いましたけれども、都市計画案に対して、連続立交そのものについては進めてほしいという声が強いけれども、そのやり方の問題についていろいろな意見が出ているということだと思うのです。  ここにお送りをいただいた見解書の概要版を持ってまいりました。この中でこういう意見があります。例えば、空港線高架の見直しと地下への変更をお願いしますという方なんですが、交通渋滞の解消が目的だということは有効だというんですね。しかし、この不況の中で、じっとしているほかに生活の方法がない小さな商店にとって、この計画は余りにも無謀なものとしか考えられませんという声が出ている。  それから、今立ち退きのお話が出ましたけれども、立ち退かなくてはならないのではないかと落ちつかない日々を過ごしております、高齢の上に、ついの住みかと思っていた建てかえた家も失うのかと思うとたまりません、交通渋滞もわかりますが、長い将来のことも考えて、多少年月と費用がかかっても、何とか地下化を考えていただけないものでしょうか、今の計画では、それに伴う沿線住民の犠牲が、特に立ち退きを迫られる住民の犠牲が余りにも大き過ぎます、京急は地下化し、周辺の大がかりな再開発などは必要ないのではないか、何とぞ計画の再考を、練り直しをお願い申し上げます、というような意見が概要版の中に出ているわけです。  私、現場に伺って、いろいろお話を聞いてみますと、今回の計画の中で、連続立体だ、そして高架にするということによって、立ち退きを要求されて、立ち退きをしなければならない方がいらっしゃる。これが非常に大きな問題だろうというふうに思うんですね。  今回の事業で立ち退きを迫られている方がどのくらいになるか、わかりますか。 ◯進藤施設計画部長 まだ正確に測量したわけではございませんから、確定した数字ではございませんが、現段階におきましては、新たな鉄道用地と側道の整備によるものが約三百軒、駅前広場とアクセス道路の用地にかかわるものが百四十軒と見てございます。  ただし、駅前広場につきましては、基本的に用地買収を行わず、周辺の再開発事業の中で用地を生み出そうという計画でございます。 ◯山本委員 今、鉄道の用地、側道整備によるものが三百軒。これは軒数ですけれども、その中には借家人の方なんかもおいでになるということになりますから、立ち退きを要求される世帯の数というのはもっと大きくなるわけです。  それでお伺いしたいんですが、この連続立交をやるに当たって、どうしても、側道の整備などを初めとする、立ち退きが必要なやり方をせざるを得ないのかどうか、そこのところをちょっと教えてください。 ◯進藤施設計画部長 今、構造についてのお尋ねですけれども、鉄道の構造形式は、土地の起伏などの地形的条件とか踏切の解消ぐあい、鉄道施設の利便性などの計画的な条件、それと事業費や工期等の事業的条件を総合的に勘案して、適切なものを選定しております。  今回の場合、高架式と地下方式とを比較した場合に、地下方式では部分施工、区間施工ができないために、全区間の工事が完了するまでの長期間、一つの踏切も解消できないという欠点。それから、下水道幹線などの埋設物によりまして鉄道の縦断線形に制約を受ける、それから鉄道施設の利便性が劣ること、さらには事業的に事業費が高いことなどから、高架方式を選んだところでございます。  なお、地下方式をもし採用したとしても、立ち退きの方々は二百程度はあるだろうというふうに思っております。 ◯山本委員 なぜそういうことを伺ったかといいますと、地下方式かどうかということよりも、実際に立ち退きを最小限にする方法をもっととるべきなんじゃないかというふうに思ったからなんです。品川の駅から京急蒲田まで京浜急行に乗っていきますと、駅から平和島まではずっと高架が続いております。これを見ると、高架の線路のすぐ横には屋根がずっと連なっている。こんなところで高架の作業、仕事をして、よくこれだけのものをつくったんだなと思って、その技術力に私は感心したんです。  それを考えますと、同じようにこの地域だって高架をやる方法もあるだろうし、また地下の方法もあるだろうし、とにかく先ほど読み上げた方のご意見のように、今、不景気の中で、本当にここに住んでいたいんだという方の願いにこたえるということを考えたら、技術的なやりようがあるんじゃないかと思うんですけれども、いかがなものですか。    〔池田副委員長退席、委員長着席〕 ◯進藤施設計画部長 今、構造的、技術的に対応の方法があるのではないかというお尋ねですが、構造方式につきましては、やはり高架方式を選択せざるを得ないのかなというふうに思います。ただ、その対応といたしましては、これまで直接説明に伺ってお会いしたり、電話や封書等によって都の見解を述べる。できるだけ本計画に対してご理解をいただけるように対応に努めてきたところでございまして、今後とも、地元区と協力し合いながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◯山本委員 とにかく、わかってもらうために努力をするというお話なんですけれども、実際に事業費の問題なんかも考え合わせまして、反対する方、実際に立ち退きを迫られて、それでは困るという方がおいでになるときに、それを無理に進めて、かなり長い年月をかける計画ではありますけれども、計画どおりに進んでいくのかどうかというのが非常に疑問なんですね。  特に、連続立交事業といつもセットであらわれてくる再開発計画の問題、これがワンセットになっているところに非常に大きな問題があるんじゃないかと思うんです。伺うところによれば、この連続立交を求めて、踏切を解消してほしいというスローガンのもとに署名運動が始まる。すぐに数万の署名が集まる。これはみんなが踏切の解消を求めているからです。しかしその一方で、駅であるとか、または線路の周りであるとか、そこのまちづくりをどうするのかということになってくると、これは一つ一ついろいろな利害が絡まってくる問題だと思うんですね。それを一緒に考えてセットにして進めていこうということになると、これは温度差が物すごくあるんじゃないでしょうか。  そういう意味で考えますと、今回の計画の中で、連続立体交差の事業を進めるんだ。しかし、それとワンセットになってまちづくりの問題も入ってくる。特にまちづくりの問題では、駅前広場なんかについては、再開発地区計画の中で進めていくんだということのようですけれども、どっちにしても、今まで住んでいたところから追い出される方が出ることは現実の問題だと思うんですね。  そこを考えてみると、連続立交を速やかに進めていく、その願いにこたえ、しかも早くこたえるということを考えると、二つの問題を抱き合わせにするやり方というのはよくないんじゃないだろうかと、私は率直に思います。このことを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  次は、「ゆりかもめ」の延伸の問題です。これは簡単にしたいんですけれども、「ゆりかもめ」の延伸、総事業費はどれくらいかかるんでしょうか。 ◯城石新線計画担当部長 「ゆりかもめ」につきましては、インフラ部を建設部が街路といたしまして、インフラ外部を株式会社ゆりかもめが軌道施設として整備をいたしますが、このインフラ部とインフラ外部の事業費は全体で約六百二十億円を見込んでおります。 ◯山本委員 次に、「ゆりかもめ」を進めていくためには、当然道路の上に乗せざるを得ないということだと思うんですけれども、この道路の関係なんですが、今の段階では、これは特殊街路新交通専用道というふうに位置づけられております。そういう位置づけでいいわけですね。
    ◯城石新線計画担当部長 そのとおりでございます。 ◯山本委員 今、街路計画とのかかわりもちょっと伺ったんですが、これが実際に環状二号線とのかかわりの問題なんかも含んでいる部分があるんですけれども、「ゆりかもめ」自身を進めていくことは非常に重要なことだと思います。だからといって、道路計画という場合に、巨大な道路計画をつくる露払いのような位置づけを「ゆりかもめ」にさせられたのでは、話が変わってきてしまうんじゃないかというふうに思います。そうした意味で、極力この事業費を抑えていく。それから、むだな道路計画と抱き合わせということが先にありきとしないようにしていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  次に、主要案件ではありませんけれども、ナンバー53の臨海副都心有明南地区の再開発地区計画の変更問題についてお伺いをしたいと思います。  これは主要案件ではありませんでしたので、内容等の説明をしていただいておりませんので、簡単に内容と経緯のご説明をいただきたいと思います。 ◯畑野地区計画担当部長 有明南地区の再開発地区計画でございますが、今回の変更は再開発地区計画の区域の変更、これは新たに市街化区域に編入された部分がございますので、これを追加する部分。それと、臨海副都心の基本になっております臨海副都心まちづくり推進計画の策定に伴う整備開発に関する方針を変えたこと。また、臨海副都心の第二次公募によりまして、事業予定者が新たに決まりましたので、この決まりました有明南のLM街区の整備計画の決定を行うというものでございます。 ◯山本委員 それで、この説明資料の中を読んでみますと、どうも計画人口がかなり変わるようなんですね。居住人口では一万六千人から二千人に激減をしてしまう。就業人口の方は、一万二千人から六千人ふえて一万八千人になるとなっているんですけれども、これはどこの部分でこう変わるんでしょうか。 ◯細渕総合計画部長 臨海副都心における人口フレームの問題等でございますけれども、これは、ご案内のとおり、六十三年に初めの臨海副都心開発基本計画を策定いたしまして以降、社会経済情勢の変化等を踏まえまして、都議会や都民の代表も含む懇談会等の意見も踏まえまして、全体として見直しを図ったものでございます。  そういったことで、現在、就業人口七万人、居住人口四万人ということでございますが、有明地区につきましては、九年度に策定いたしました臨海副都心まちづくり推進計画におきまして、人口フレームの見直しに伴いまして、有明南地区の土地利用計画を変更したわけでございますが、有明の丘については住宅地から防災拠点用地へ、またシンボルプロムナードに面する街区の一部については、住・商・業の複合用地から業・商の複合用地へ変更したところでございます。 ◯山本委員 今、変更されたというシンボルプロムナードに面する地域、この図面でいうLM街区だと思いますけれども、ここにはどういうビルが入りますか。 ◯細渕総合計画部長 LM街区周辺区域の土地利用についてでございますけれども、まず、平成九年三月に臨海副都心の進出事業者の第二次公募を実施した結果、LM1区画につきましては、松下電器産業株式会社が事業予定者となりまして、エレクトロニクス技術を集約した未来型の情報発信拠点としての自社事業ビルを計画してございます。また、LM2、3区画につきましては、株式会社テーオーシー、森ビル開発、三和銀行の三者が事業予定者となりまして、東京の流通ビジネス、国際ビジネスの新たな拠点としての自社業務ビル及びテナントビルを計画してございます。 ◯山本委員 要するに、住の部分を削って、そこに何ができるのかというふうに伺うと、大きな企業のための本社ビル、自社ビルがつくられるということで、見直しをしたというけれども、その流れはまさに業務優先のまちづくりだということがここでもあらわれているというふうに思います。このことを指摘をしておきたいと思います。  それから、有明の丘なんですけれども、住宅から防災拠点に変更した。確かに病院も必要だ、防災拠点の位置づけも必要だと思いますけれども、この防災拠点及び病院というのは、臨海副都心開発計画の中に位置づけられているものなんですか、それとも別のものなのか、まずそれを教えてください。 ◯細渕総合計画部長 有明の防災拠点につきましては、推進計画及びその後策定いたしました臨海副都心の防災計画体系に位置づけをいたしてございます。 ◯山本委員 臨海開発計画の防災計画の中に位置づいているということでいいですか。 ◯細渕総合計画部長 ただいま申し上げましたとおり、推進計画に位置づけております。 ◯山本委員 この防災拠点の部分の土地なんですけれども、これは会計所属上はどこの土地になりますか。 ◯細渕総合計画部長 会計処理上につきましては、これは港湾局の所管ではございますけれども、この有明の丘の防災拠点は、災害対策の支援基地として、既成市街地も含む、いわば東京全体の防災面から見た広域的な拠点としての位置づけもあるわけでございまして、このため、有明の丘は、都民全体の利用に供されるという考え方から、一般会計で取得されることになってございます。 ◯山本委員 さっき臨海の計画の中にあるんだという話がありまして、今度は、いや、東京都全体の計画の中にあるから、一般会計に所管されるんだというお話になるわけですよね。この土地というのは、もともと一般会計から現物出資という形で臨海会計の方へ移った。そして今度、臨海会計から一般会計に移るに当たって、買い戻しという奇々怪々な方法がとられたということが問題になったところだと思うんですね。  そういうことで確認をするんですけれども、要するに、臨海開発に位置づけているものであれば、それは当然臨海開発会計の中でやるべきです。そうすると、臨海開発の計画の中だというレインボーのプランの中に入っている話が出てくるんですよ。ところが、その一方でまた聞くと、いや、東京全体のものなんだと。どっちなんですか。わかりやすく教えてください。 ◯細渕総合計画部長 有明の防災拠点につきましては、ただいま申し上げましたとおり、臨海副都心地域の防災拠点としての位置づけもございますけれども、今後、既成市街地において大地震等が発生した場合に、例えば物資の救援基地になるとか、あるいは仮設住宅の用地になるとか、そういった広域的な拠点としての位置づけも持ってございますので、一般会計で処理することは適当であろうというふうに考えます。 ◯山本委員 会計上の話はさておくにしても、開発計画全体の中での位置づけという点では、現実に臨海の開発の一環としてここには計画が載っているわけですよね。そこのところを考えてみると、あくまで臨海開発の一部として進みながら、位置づけとして全都的な位置づけがあるんだというふうにこじつけて、一般会計の方から土地を買い取るというようなやり方自身が、臨海開発計画そのもののパターンをあらわしているんじゃないかということを申し上げて、私の質問を終わります。 ◯細渕総合計画部長 繰り返すようでございますが、東京全体の位置づけの中での広域防災拠点としての位置づけでございまして、このことは、立川の防災拠点と同様に、東京都の地域防災計画にも明確に位置づけをされておりまして、東京都民全体のものというふうな認識で理解をいたしております。 ◯森田委員 水循環マスタープラン、景観づくり、今回大変重要なご報告が出てきているんですが、余り時間がなかったので、すべてを読んでいるわけじゃないんですけれども、このマスタープラン、これからまた最終のまとめになると思いますが、これを拝見させていただいて、方向性はなかなかいいのではないかと思うんです。ただ、数値目標が少し足らないんではないか。いつまでにどれだけのことをやるかということを決めていかないと、なかなか物事はスムーズに進まないんじゃないか。  例えば水の中で、雨水、これは水害の大きな原因になっているわけですが、雨水浸透率を上げると。現時点で雨水が地下に浸透する割合は、どうやってはかったのか知らないんですけれども、九・五%だ、この浸透率を上げていかなくちゃいけない、これは賛成なんですけれども、いつまでに何%にしていくか、こういう数値目標を決めていかないと、都政としては進まないんではないかというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょう。 ◯細渕総合計画部長 目標についてはできるだけ数値化してわかりやすくということは、お話のとおりでございます。そういう意味で、私どもも、この一年余にわたる検討の中で、できる限り数値化できるものは数値化して、目標を明らかにしていきたいということで、例えば資料の二ページの重点の4、広域循環の推進の目標でありますとか、あるいは重点の13、高度処理水の目標でございますとか、あるいは基本目標の6、十五年に一回の降雨でも浸水被害が生じない都市ということで、流域対策でも一〇ミリ程度を目標にしていくんだ、こういうようなことを可能な限り努力をしてきたところでございます。考えられた中で、まとまったのは、できる限り出したつもりでございますけれども、今後さらにこれの分野別計画等ができてまいりますので、ただいまいただきましたお話も含めまして、今後の検討課題とさせていただければと思います。 ◯森田委員 一〇ミリ程度は、下水とか、そういうふうに頼らずに、浸透ます等でやっていくということでしょう。そうすると、一〇ミリ減らすのはいいんです、分担するのは。しかし、そのためには、地下に浸透させるのに何%くらいまでやるのかというところが決まっていないと、一〇ミリを減らすなんていうことがはっきりわからないわけですよね。そういうところを明確にしてほしいなと思うんです。  これから最終報告に向かっていろいろ検討していくんでしょうから、その辺のところをお願いしたいのと、もう一つ、先ほど説明の中で、善福寺川等の水の少ないところに再生水を流し込む。僕も杉並で善福寺川のわきの方にずっと住んでいるんですけれども、これも昔は水量があったんですよ。それが減っちゃった。その最大の原因というのは、やっぱり地下に水が浸透しない環境になってしまった。あの辺はわき水がいっぱい出ていたんですけれども、そういうものもなくなっちゃった。そういうので、やはり地下浸透というのを東京都はぜひ主導権をとって──今、いろいろなところがコンクリート化をしちゃっている。もう一つは、さっきもちょっと話が出ましたけれども、善福寺川でも岸から底まで全部コンクリートで固まっちゃっているわけですよ。こういう川がいいのか、せめて底ぐらいは土のままがいいのか。この辺も検討して、今後の都市づくりの中で──中には、昔はあそこは泥の川だったんですけれども、一部地域は泥にすると、そこからわき水が川に入ってくるというようなこともありますので、水というのはすごく大事なものなので、ぜひそういうことも含めて検討していただきたいなというふうに思って、意見で結構です、よろしくお願いします。 ◯五十嵐委員 関連で。「中間のまとめ」で水循環の問題が出てきたんですが、まず確認の意味で。  ざっと読ませていただいただけなので、私もよく酌み取れないんですけれども、今回、循環型の東京都水循環マスタープランという形でまとめられた目的は何なんでしょうか。もう一回そこのところを教えていただきたいと思います。 ◯細渕総合計画部長 東京は、都市化に伴いまして、不安定な水源がまだまだあるといった問題、それから、都市化に伴って、被覆率と申しますか、屋根の構造あるいは道路等の都市構造、都市整備が進むことによって水がしみ込まなくなった問題でありますとか、あるいは、今お話に出てございましたように、河川の整備は、とりあえず浸水被害を防止するということを第一の目的で進めてきた経過もあったかと思います。  そういう中で、水辺空間といったような問題についても、先ほどお話がございましたとおり、親水性や生態系というものも今後配慮していく、こういういろいろな課題がございますので、そういったものを踏まえまして、今後、水循環の将来像をどう描いていくかということがやはり大事でございまして、これまで、それぞれ都市計画、あるいは河川の整備、あるいは森林・農林行政、水道行政、下水道行政、環境保全行政というような各分野で行われていたものを総合化して、体系化して、社会経済情勢を踏まえながら、これを重点的に進めていくということが望ましいことである、こういうような考え方に立ちまして、今回、水循環マスタープランを策定したものでございます。 ◯五十嵐委員 ここにも出ておりますけれども、平成九年二月に生活都市東京構想が発表されて、それに基づいて、今回、水関係の東京都水循環マスタープランというものをまとめたんだ。そうすると、もとである生活都市東京構想を打ち出して、これからいろいろな将来目標や構想を立てていくんだろう、具体的な面で取り組んでいくんだろうと思うんですが、今回、水の問題に関してこういうふうにマスタープランをつくった。そのほかに、構想の中で何か違う次元のマスタープランみたいなものをつくって、その構想に基づいて事業を進めようとしている一環なのか、それとも水問題だけ取り上げてこういうマスタープランをつくったのか、その辺の背景を教えていただけますか。 ◯細渕総合計画部長 お話にございましたとおり、今、東京都では循環型社会づくりを進めていくということを都政の重点課題の一つに位置づけをいたしてございます。  この中では、今回の水の循環を進めていくということが一つございますし、また、エネルギーといったものに着目しまして、そういったものの将来ビジョンも明らかにしていくということも、今検討を進めているところでございます。また、ごみや廃棄物のリサイクル化といった計画も進めてございまして、それぞれ行政計画としてのマスタープランの位置づけをきちっとしていくこととともに、循環型社会づくりを都民とともにやっていく行動計画、エコロジー東京等の策定もあわせて進めてきたところでございます。  いずれにいたしましても、循環型社会づくりを各分野で進めてまいりたいというふうに考えてございます。  ちょっとつけ加えさせていただきますと、今後、交通の需要管理や循環型の都市づくりといった点についても、十分考えていく必要があるのかなというふうに考えてございます。 ◯五十嵐委員 長くなってしまいますけれども、そうすると、これからそれぞれの分野でこういうマスタープラン的なものを出して、施策の進め方をやっていきたいという考えだと思いますけれども、水は二〇一五年を一応期限の目途として書かれておりますよね。  先ほど森田委員からいろいろの数字的な問題が出たんですが、私は率直にいって、今回のこれは、今申し上げたように、何のためにつくったのかなという中で、ざっと読むと、十二局まとまってこれをやった。水道局の問題なんかは非常に矛盾したいい方をしている。この表題の中で、今は社会的には成熟社会にあって、水環境なんかも非常に変化している。人口減だとか、経済の低迷だとか、いろいろなことをいっている。要するにマイナス指向の社会だといいながらも、水問題のところに羅列してあるのは、まだまだ水が必要なんだと。水が必要なのはわかるけれども、目標が六百五十万トン、将来六百八十万トンという数字まで挙げているんだけれども、この数字は、昔からずっと目標で、水源確保のために挙げてきているものです。しかし、二〇一五年を目標にしたマスタープランをつくるにしては、今までの各局の事業を寄せ集めて、ただ数字を並べたんじゃないかなという感じがしてならない。  二〇〇〇年に入っての、これからの水の問題をマスタープランとして挙げて、政策に取り組んでいくのであれば、もっと精査した形で、これからの社会現象はどう変動するんだろうか、水資源はどうなのか、もう一回いろいろな角度で見直した中で数値目標を出して、これに向かっていくんだというものを出さないと、ただ今までの数値で、今までの状況だけを判断して、一方で社会現象はマイナス指向だ。一方では、水問題に限っていえば、まだまだ需要は拡大する、事業がどうのこうのという、今まで聞いたような言葉が並べてある。そういう中で、果たして二〇〇〇年に入っての事業目標としてのマスタープランでいかがかな、そんな感じがしております。  私、この問題でどうのこうのいいたくありませんが、率直にいって、この「中間のまとめ」を見るについては、ただ単なるといっては申しわけないけれども、青島知事が出された循環型社会の中で、水問題を急遽羅列してまとめて、循環型社会の裏づけの一つに挙げたんじゃないかというような危惧がしてならない。そんな感想だけ述べさせていただいて、終わります。 ◯細渕総合計画部長 ただ並べただけということでなく、関係局で一年余にわたりまして、この一番最後のところに、九七ページでございますけれども、検討経過も、行動計画も踏まえつつ、これまで、関連局でそれぞれの情報を交換し合い、施策の調整を図るという観点で、相当熱心に論議をしてきたつもりでございます。  また、学識経験委員──河川工学でございますとか、生態系の学識経験者でございますとか、水文学の先生でございますとか、いろいろなそういった学識経験者の専門的な知恵や意見も十分拝聴したり、あるいは、今、国におきましても、国土庁や建設省、それから環境庁でも、こういったような検討を、総合的に水循環を進める観点からいろいろな検討がされておりまして、国からもいろいろな資料も提供を受けたり、あるいは意見交換を進めてきて、今回取りまとめたものであることをつけ加えさせていただきますが、もちろん「中間のまとめ」でございますので、いろいろなご指摘を今後とも踏まえまして、さらに立派な水循環マスタープランに仕立て上げていきたいと考えております。 ◯川井委員 実は、当初、この水循環に関してはやるつもりがなかったんです。ところが、九日ですか、私どもの会派の黒須議員の質問で、三年半の成果を、知事、あなたの成果はという話に対して、循環型社会づくりだ、こういう答弁がございましたので、そうなると、これは少し大事なことなんだな、また、いかがなものかなと思いながら、これはひとつ扱っておこう、こういう思いがして扱うわけですけれども、その中で、今、五十嵐委員がほぼいいたいことはいわれたので、さて、やめようかなと思いましたら、また細渕さんがあえてご答弁をなさったので、そうなると、またしたくなる。人間というのはおもしろいなと思いながら、しておりますけれども……。  実は、水循環マスタープランというのが、どうも私どもが考えるには、生活都市東京構想、その中の循環型社会づくりというものを知事がいやにご熱心に掲げているということの中で、政策報道室あたりから、循環というと水もあるんじゃないですか、何とかそこでマスタープランでもできないですか、こういう投げかけのもとに、慌ててというか、集まって、それぞれの局が、自分のところで水のかかわるものをまず出そうというような形の中で、総花的になってきたのかな、こういう思いがしてならないんです。  それがゆえに、先ほど森田委員がいったように、将来に向けての数値目標が少ない、これもその一つではないだろうかな、これを見ての感想がそうなんですけれども、まず、その私の感想に沿って答えるところがありましたら……。 ◯細渕総合計画部長 生活都市東京構想に基づいてという考え方は基本にいたしてございますし、水の施策を総合的に展開する役割というものは、都市計画局において進めるべき課題だというふうに考えてございまして、今回、特にまちづくりとの関係等も十分配慮して進めてきたものでございます。  循環型社会をつくっていくということは、今回、エコロジー東京をつくったプロセスの中でも、都民あるいは区市町村等からもいろいろなご意見をいただいてきたところでございますけれども、おおむね、こういった環境に負荷の少ない社会をつくっていくというような考え方については、都民のコンセンサスが得られつつある状況にあるのかな、しかし、より一層進める必要があるという認識を持ちつつ、こういった計画をつくり、望ましい循環型社会に寄与していきたいというふうに考えております。 ◯川井委員 水だから循環するんだろうということで、循環型社会づくりということを、今、知事がいっているから、何かそれに結びつけようというようなことでやっていはしないかななんていうのは、特に、基本目標の5、6、7なんていうのは、これは果たして水循環という形でいえるんだろうかなという思いがしてならないんですね。  まさに、水を扱っているものをみんな出せよという形の中で、こういう仕切りをした。その中で、平常時と異常時、災害時ということだけれども、これはかなり難しかったというか、無理があったんじゃないかな、現実に。 ◯細渕総合計画部長 お話にございますのは、水を循環の観点から総くくりにしていくにはなかなか無理があるのではないかというご趣旨かと存じますが、今回の計画におきましては、私どもは、水循環というものを大変幅広い概念でとらえてございます。  恐縮でございますが、本文の五ページをお開きいただきたいと存じます。  課題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、被覆率が高いとか、あるいは安定した水源が不十分であるとか、こういったことの課題を踏まえまして、「『望ましい水循環』とは、『自然の経路を含めた都市の水循環において、治水、利水、水環境に対する人々の要望が充足され、同時に地球環境の保全に必要な水の機能が損なわれないなど、水循環における種々のバランスとその持続性が維持された状態』をいう」というような、望ましい水循環の位置づけをいたしまして、幅広い概念として今回はとらえております。また、そういう概念のもとに、これまで、個々各局でそれぞれ行っていた施策を総合化、体系化したものでございまして、循環という枠組みの中で考えていこうということでございます。 ◯川井委員 水循環という形で新たに定義づけをしておられて、そこからこの文章が始まっているから、今のような細渕さんの答弁であれば、なるほどなと、こうなってしまうんだけれども、現実には、かなり私はこれは無理があって──私は、こういうものをつくることを反対するわけではないんですけれども、もう少し自由に、将来の夢を持って、思い切った発想の中でつくっていかなければいかぬと思うんですよ。  現況あるものを寄せ集めて云々じゃなくて、例えば、先ほど森田委員がいった、川なんかが底から、わきから全部コンクリートじゃないか、こんなことは考えられないのか、これも確かに私、そう思います。  あるいは、例えば雨水をどう浸透させるか、大地に戻すか、こういうことにおいても、ただ雨水ますを補助してやっていますだとか、あるいは浸透性舗装をやっています、こんなものは微々たるものだと思うんですね。これを追っかけ調査を果たしてしているんだろうかという思いがしてならない。  そういうものに対して、非常に現実と違うんですよ。浸透性舗装なんていうのは、ほとんど車道においては目詰まりをしてますよ。それから、歩道においても、確かに浸透していくんだろうけれども、勾配で流れる方が多い。L型に流れる方が多い。  そういう形のものを──だから、一つには、私この前、担当の方にもいったんだけれども、もう少し思い切ったことを考えられないのかという一つの例でお話をしたんだけれども、例えば、都道の街路樹と街路樹の間、どう使われているかという話をしたんです。これはほとんど放置自転車置き場か商店の物置きに使われているよ、こんなところを思い切って舗装じゃなくしてしまったらどうなんだろうか、土にしたらどうなんだろうか、こういう話をしました。  そして、そこに、例えば草花なり、あるいは低木の苗木を植えるなり、それは地域管理だと。何も役所が出ていって管理することない。地域管理をしなさい。そこに、潤いが、地域の連帯が生まれるよと。また、例えば、その都道のメーター数掛ける、両側ですから二倍、また、除くところがあるから、太いところで九百、狭いところで六百ぐらいのところはとれるだろう。そういう形の中で、かなりの面積的なものが領域として求められるよと。そういうものの方が影響として大きいんじゃないだろうか。なおかつ、大地の力というのが、大気においての自浄作用等も含めて考えられるじゃないか。  実は、今、都営地下鉄の漏水、これ、下水道局に都営地下鉄だけで一億七千万ぐらい払っているんですよ。年間六十万トンぐらい。営団地下鉄、これ調べているんですけれども、どういう意味かわからないんだけれども、黒沢さんとおっしゃったと思いますが、教えてくれないんだ、どういう趣旨で使うんですかなんていって。まあこれは余計な話だけれども、いずれ何らかの形で調査しようと思っていますけれども、かなりの膨大な量らしいんです。それでいえないらしいんだけれども、都営地下鉄はこうですよという形をいいましたら、ああ、そうですかという話をしていましたけれども、これら六十万トンが全部下水の方に流れているわけですよね。  そうすると、地下水のくみ上げとの対比をしていった場合に、井戸など、渇水あるいは工業用水として使うそういうものと、この地下鉄の六十万トンあるいは二百万トンというような数字、これは全く水位を下げることにつながることであって、それこそわき水なんかあるわけがない。そういうものを含めて考えていくと、かなり大地に戻すというところのことを強く意識していかなければいけないんだろう、こう思うんですね。  そういうことについての発想も非常に豊かさがないというか、貧弱というかね。だから、そういうことを、私は、縛りをかけないで、部局の若い技術者の方々に思い切って発想させる。上からいわれたんで、つくるんだ、どうしたらいいんだということではなくて、みずから生み出していくようなところがないと、こういうマスタープランというものはおもしろいものができてこないと思うんですよ。  これを見たって、私はざっと見させていただいて、おもしろみ何もないんだ。ああ、これは政策報道室あたりにいわれて、何とかつくらなければならぬということで割り振ってつくったのかな、こういう思いしか出てこないようなマスタープランを、都民が見た場合、果たして、いいものをつくってくれて、これからの東京の水はこうなっていくのかな、そんな思いというものはこれっぽっちも生まれてこないと思うんですよ。  ですから、中間報告だからあえていうんですけれども、ぜひこれから最終報告に向けて、もう少し幅広く構えていただいて、また、物事にトライしていくような気持ちの中でこういうものをつくり上げてもらいたい。そうすることによって、私は、数値的な目標というのが出てくると思うんですよ。ちょっといいにくいことばかりいっているようだけれども、やはりせっかくこうして手がけて、最終報告までつくり上げていくならば、できるだけ都民に理解されるような、そしていいプランをつくっていただく、そのプランのもとに東京のまちづくりをしてもらいたい。都市計画が中心になってやるからには、なるほどということで、当委員会あるいは議会をうならせるようなものをつくっていただきたいがゆえに、あえてご質問をしました。  それと、もう一点、東京都景観づくり基本方針について一つだけ聞きたいんです。  例えば、この中で、歴史的なとかいっていただいているんですけれども、歴史的な建造物、歴史的な景観の保存あるいは保全、こういっていただいているんですけれども、こういうものと再開発等との絡みというか、重さというか、そんなものはどういうふうに考えていらっしゃいますか。 ◯勝田地域計画部長 歴史的建造物の保存という面で、景観の側面からこうした歴史的な建造物について保存していこう、こういう考え方を一方持っているものでございます。今ご指摘のように、それに対して再開発というものがあるわけでございますが、例えば、たまたまその歴史的建造物の地区で再開発、こういうようなケースもあろうかと思います。  結論的にはケース・バイ・ケースになるものだというふうには思っておりますけれども、できるだけいろいろ議論を尽くすということがまず大事なのかなというふうに思っております。  景観そのものの概念につきましても、まだ残念ながら緒についた段階でございまして、いろいろなご意見があろうかと思います。その中で、いろいろな意見を出していただくというのがまず大事なんじゃなかろうか。議論で時間を使っていくということが必要なんじゃないかというふうに考えております。  しばしば、この歴史的な建造物あるいは極めて良好な町並みと、それから再開発という問題がぶつかり合うというケースが多々あるわけでございますけれども、一方では、都市の更新という観点、あるいは防災といった観点から考えますと、再開発も必要だということにもなるわけでございまして、そのあたりについては、ケースに応じまして、十分な議論を踏まえて一定の方向を出すということが大事なのではないかというふうに考えているところでございます。 ◯川井委員 私は、そのケース・バイ・ケース、確かにそうなんですけれども、そのケース、ケースにおいても、一つ軸をきちっと持たなければいけないんじゃないかな、こう思っているんですね。  芝浦だったと思ったけれども、一時海員宿舎になっていた、港湾局が持っていたところがございますね。あれを見にいったんですよ、あそこに新しい開発が計画されるということがあって。なかなかいい建物があるんですね。戸一枚も、今の大工さんではできないだろうな、かつて目黒の雅叙園をやった棟梁がやったというお話も聞いております。  これどうするんだといったら、前側のところが非常に建物としていいので、小金井公園に運びます、移設しますということらしいんだけれども、私は、もしそうであるならば、移築するに必要な建物であるならば、その部分の再開発を除かなければならないだろう、こういう思いが当時しました。  と申しますのは、そこにあって初めて生きる。なぜあそこにああいう建物があったか。それは、建物的な重要性と、なぜそこにそういう建物が歴史的に必要であって、そういうものが建てられたのか、こういう面があると思うんですね。やはり港を中心にして発達したがゆえに、ああいう花街に必要な建物ができた。そうすると、それを小金井あたりに移して、これは歴史的に大変必要なんだ、だから移築したんだ、こんな話があるだろうかという思いがしているんですね。そんなところへ持っていくなら壊してしまった方がいい、極端な話をしましてね。また、移築するほど重要なものであるならば、そこは除かなければいかぬ、こう思って実は質問しているんですね。  ケース・バイ・ケースだということで、あえて具体例を出しましたけれども、こういう場合、今回、東京都景観づくり基本方針とばっと出していただいたんだけれども、その再開発の問題との重きという部分について、もう一度お答えできませんか。  というのは、どこにあってもそれが生きるというものじゃないんだ。だれだれの大工、名人がつくったという部分しか生きていない。それがなぜそこにあって、歴史的にどういう意味があるのかというものは、全く、小金井あたり──あたりというと小金井の人に悪いけれども、意味合いがなくなってしまうんだよ。だから、そういう意味で、本当はどうなんだろう、重きという部分については。  本当にこれから、例えば江戸の東京を残したい、明治の東京を、大正の東京を、昭和初期の東京を、どうやってこの東京が残していくんだということを考えているかどうかということですね。 ◯勝田地域計画部長 大変難しいお尋ねでございまして、にわかに一つのものに結論というのは持ち得ないのでございますけれども、先ほどもご説明申し上げましたように、東京にはいろいろ貴重な文化財といいますか、そういったものがございます。それぞれの時代の面影をしのばせるような建築物とか、あるいは特色あるかいわいとか、そういったものがございますし、下町の雰囲気といったようなものもありますし、そういったものが東京の特徴でもありますし、また、多くの人々に親しまれ、また人が集まってくるという要素があろうかと思います。  そういう意味で、その時代その時代に、その場所で生きてきた建築物というのは大変貴重なものでございまして、基本的には残せるものは残すべきなのではないかというふうには思うわけでございますけれども、一方、耐震上の問題とか、あるいは、やはりそこの所有者の方々のご意向でありますとか、あるいは事業性でありますとか、そういった現実といったものがやはり立ちはだかるといいますか、そこに対極にあるわけでございます。  したがって、景観条例の中での考え方といたしましては、そういったものに配慮を十分促してもらうということを強調してございますけれども、やはり最終的な結論というのは、この景観の範囲の中では、そこに白黒をつけるということではなく、いろいろな景観に対しての、今申し上げたような歴史的な経緯みたいなものも十分配慮していただく、その中で一つの方向を出していただくということにしてあるわけでございます。  この問題については、ずっとこういう問題がついて回っているわけでございますけれども、町の再生というものもまた大事なわけでございまして、全体のマクロでとらえた東京の方向性、あるいはその地区のミクロの整備のあり方、こういったものをやはり調和して、結論的には、大変恐縮でございますが、やはりケースに応じて考えていくということになろうかというふうに考えているところでございます。 ◯清水委員 それでは、都計審付議予定案件の調布保谷線の保谷市区間と三鷹市区間及び武蔵野市区間、両方について伺いたいと思います。  まず、これまで都は、この調布保谷線については、知事の一般質問の答弁にもありましたように、多摩の自立性の向上というふうにいってきました。しかし、本当にそうした目的を持っているのか、大変疑問です。それについては、これまでもこの委員会で繰り返し指摘をしてまいりましたけれども、都がこの間進めてきた政策の中でもそのことが一層明らかになってきたのではないかなというふうに考えています。  改訂重点計画では、区部中心部の整備、副都心、臨海副都心の整備事業費が、前回の事業費に比べて二百億円もの増額計画になっておりました。また、都市計画局が、先日通知をいただきました十一月三十日、緊急再開発事業促進地区の指定を、国の動きに合わせて行いました。  ここでは、都心部、副都心、重点地区に五千三百九十五ヘクタールを指定しています。これらは、業務の一極集中の分散というふうにいいながら、例えば銀座の整備などを初めとして、これらの政策というのは、中心部への一層の集中を招くものになるのではないでしょうか。政策の整合性についてどのように考えておられるんですか。 ◯細渕総合計画部長 東京都におきましては、これまでも、都心一点集中型の都市構造を是正しまして、職と住のバランスのとれた都市を実現するため、多心型都市づくりに関するもろもろの施策を推進してきたところでございます。  最近では、お話にもございましたが、都心を含む区部中心部については区部中心部整備指針を、副都心につきましては副都心整備計画及び臨海副都心まちづくり計画、また、多摩の心しんにつきましては多摩の心しん育成・整備計画をそれぞれ策定し、整備を図ってきております。  今回発表しました改訂重点計画におきましても、都心一点集中型の都市構造を是正するため、多摩の心しんを初め各心しんの整備を進めるとともに、道路や公共交通等の都市基盤の整備を進め、各地域間相互の連携を強化していくこととしております。調布保谷線も、こうした道路の一つであると考えております。 ◯清水委員 例を改めて挙げませんけれども、今、現実には、多心型、それぞれ進めているというふうにいいましたけれども、それは破綻をしているというふうに認識されるわけです。その事実を認めずに、それを一層進めようとしているのか、大変疑問なわけです。  この道路は、保谷市の先は埼玉県の新座市に入っています。埼玉県の方では、二十メートルの幅で、現在、都市計画の変更なども予定をされているというふうに伺います。その道路は、埼玉県に入りますと、関越道の新座料金所のところを通過をしていくことになっています。  これまで、この道路は、多摩の中の交通を拡散するんだというふうな形でいわれてきたかもしれませんけれども、実際には、調布のところは中央道、そして埼玉県に入れば新座市で関越道などとの接続も考えられるし、そういうことがもう、これからの将来計画として明確に見えるわけですね。  中心的目的は通過交通処理の道路ではないんですか。そういう道路ではないというふうにいえるんですか。お答えいただきたいと思います。 ◯進藤施設計画部長 この調布保谷線に接続する埼玉県側の道路が関越自動車道の料金所のそばを通るということは確かでございますが、それと接続するという計画はないというふうに聞いております。  いずれにしましても、この調布保谷線の道路整備によって、地域間の連携は強化されるものというふうに考えておりますが、同時に、この線の整備は、渋滞を避けてさまざまな交通が住宅街に進入することを防ぐとともに、災害時における緊急車両の通行路とか避難路等を確保しまして、地域の安全性の向上にも資するものであるというふうに考えております。このように、調布保谷線は、地域のための道路としても重要な役割を果たすというふうに考えております。 ◯清水委員 八王子で都道の新滝山街道が、今、事業が進んでいるんですけれども、その一番最初の素案の説明会から、私、出ておりました。そのときも、もう一本、百メートル並行して滝山街道、都道が通っているんですけれども、その都道の渋滞の解消につくるんだということを、最初から説明されていたんですね。  しかし、今ではどうですか。高規格道路ということで、大変重要な、圏央道と中央道からさらに進む道路となっているわけです。やはりこの道路自身が通過道路──今は関越道との接続はないといわれましたね。将来的にもそういうことではないというふうにいわれたわけですけれども、しかし、その他の交通を処理するという点は十分考えられるということでは、やはり本当に多摩地域の車を処理するのかという点は疑問です。  三鷹市内の都施行の都市計画道路の整備率は四割だというふうに伺いました。現在、多摩地域、三鷹も含めて、南北道路には道路構造や道路環境が劣悪なものが大変多いわけです。  四車線の道路を、この道路を十年先、平成二十二年ですか、約一千億円の事業費というふうに一般質問でも答えられました。十年先に一千億円かけて完成するといっているんですけれども、停車帯の設置とか、交差点の改良とか、歩道の設置とか拡幅とか、これから進められますけれども鉄道との立体交差など、これらは既に建設省や東京都の道路政策に掲げられているわけです。  こういうことを事業化することによって、どれだけの新たな交通容量が生まれるかということも明らかにされていないと思うんですね。将来の交通需要と過不足を示すこともしていないと思うんです。こういうことが先にやられる政策ではないんでしょうか。お考えを伺いたいと思います。 ◯進藤施設計画部長 都市計画道路が適切にその機能を発揮するためには、四車線道路から区画街路まで、役割に応じた道路をバランスよく配置しまして、適切にネットワークを構成するように整備していく必要があると思います。したがって、四車線の道路も必要であるというふうに考えます。  なお、今、三鷹市内ではとおっしゃられましたけれども、本来の交通量を確保しますやり方としまして、交差点のすいすいプランにおきまして、三鷹市役所前交差点など七カ所の交差点で改良事業を計画しているということで、そちらの方の改良にも取り組んでいるところでございます。
    ◯清水委員 一般質問のときに、保谷市の地域の分断について藤岡議員が質問いたしました。その知事の答えが、横断歩道、歩道橋などを設置するから地域分断は生じないというふうにいわれました。しかし、藤岡議員が質問した分断の意味が本当にわかって答えられたのか、大変疑問です。  現在、一つの生活空間としてコミュニティが形成されている地域の立ち退きというものが、先ほどからいわれておりますけれども、あるんですね。三鷹市の議会の答弁では、三十六メートルになった場合に、三百七十棟の立ち退き予定だというふうにいわれたそうです。この道路の建設後、沿道両側二十メートルから三十メートルを含める約百メートルは、幹線道路沿道有効利用、高度利用で、一種低層住宅専用地域から中高層の業務用地域に用途地域が変更されるのは明確で、良好な住宅地がなくなっていくのは、もう道路が通過すれば明らかになるわけです。  特に高齢者は、歩道が減り、そして自由に歩けなくなる、地域住民が積み上げてきた地域社会の分断であり、文化の破壊だ、こういうことを藤岡議員がいったわけですね。これでも分断がされないというのでしょうか。地域コミュニティは分断されるというふうに私は考えますが、お考えを伺いたいと思います。 ◯進藤施設計画部長 調布保谷線の幅員は三十六メートルでございますが、このうちの両側の十メートルずつにつきましては、環境施設帯というふうになってございまして、植栽や歩道等が整備されて快適な歩行空間が確保されるということになっております。  歩行者の方々が横断する部分につきましては、中央分離帯二メートルを含む十六メートルの区間でございまして、そこには、事業の段階で横断施設を適切に設置することとしておりまして、調布保谷線を挟む両側の地域の交流は十分図れるものというふうに考えております。  それと、道路ができると自動的に土地利用が絡むではないかという骨子のことを理事いわれましたけれども、土地利用の変化に関しましては、その地域の特性とか、その町並みの熟度とか状況とかによりまして、それぞれ将来考えていくというふうに考えております。自動的に変わるものではないというふうに思います。 ◯清水委員 しかし、地域の分断、コミュニティの分断という意味を全く理解をされていないというふうに思います。  私がいっているのは、植栽や歩道橋が設置されるとか、空間が確保されるとか、それは一体どういう状態で確保されたのかといえば、そこから立ち退かれる方が出て確保された空間ですよ。だから、それ自体がコミュニティの分断というふうにいわざるを得ないわけですね。  部長さんは、ああいう地図を、それからここに出している地図を出されていますけれども、あれはもう、地図の上に線を引いた地図になっているわけですけれども、本当に道路の沿線の現況というものがどういうふうになっているのか、ご存じですか──と聞いているわけではありません。  (図示説明)つたない私の絵ですが、保谷市は、住宅の地域を道路のないところを通っていくというのは、藤岡議員がいいました。ここは、住宅街から農地から住宅を通っていくわけです。そして、緑地を通って、二十五メートルを通るんですけれども、三鷹からは、大変狭い道路を通って、住宅街を通って、ここには野崎神社とか、文化、歴史のある建物があります。それから神代植物公園とか深大寺とか、大変歴史と景観のあるそういう部分をずっと通って、この道路が中央道につながっていくということで、これを見たときに、本当にこういうところを四車線の道路が貫通していっていいのかということを、部長さんはどういうふうに思われますか。 ◯進藤施設計画部長 理事ご指摘の歴史的建造物とか貴重な遺跡等につきましては、環境アセスメントの中でも対策を考えてございまして、できるだけ影響の少ないようなものにするというふうな対策を示しているところでございます。  それと、先ほど申し上げましたように、現在住宅街の中にこのような道路をつくることによりまして、それ以外の住宅街の地域に入り込んでくるさまざまな、そこに来る必要のない交通等を入り込まないようにすることとか、防災上の観点とか、避難道を確保するというような観点で、その住宅街にとっても必要な道路であるというふうに考えております。 ◯清水委員 昭和五十年に三鷹の市議会では、調布保谷線の建設計画反対の請願が採択をされております。今回、市は、原案を東京都に提出いたしましたが、市議会の議決を経ているわけではありません。昭和五十年の市議会の議決は現在も生きているということになると思うんですね。  三鷹市が、素案説明会、三鷹市では地域懇談会というふうにいわれて、何回かにわたって住民と懇談をし、説明を行ったようです。その後、市が開催結果をまとめて、住民の意見の主なものを出しています。私はそれを全部読ませていただきました。  塚という交差点のところに建っているマンションは、二十五メートルの計画で建てられたマンションで、分譲マンションで購入をされたそうです。その方が説明会に来られて、マンションの住民です、建物が半分壊される、三十六メートルがわかっていたなら買わなかった、都市計画道路を中止させる方法はないかとか、都や市のためなら協力もやむを得ないと思い参加したが、今なぜこの計画が必要なのか、都の説明では見えてこないとか、上連雀の人は現状で満足している、地域の人のためにといわないでほしいといったら拍手が出たとか、私たちは三十年以上も都市計画に拘束され、不安なままにされてきた、不況の時代にそんなに急いでつくる必要はない、三十年待ってとお願いしたら待ってくれるか、私は生涯ここに住み続ける、という声が続出していたというふうに見ました、市のまとめた中でも。  三鷹市の行った土地利用に関するアンケートでも、まちづくりを進めていく上でどのようなものが必要かという質問に対して、公園、緑地、遊歩道が第一位で二一%でした。それに対し幹線道路というのは四%でした。地元市民の意識があらわれているというふうに思います。  また、道路を考える会の人が九四年に行った、七百九十二枚配布したアンケートでは、五百四十五枚回収したそうですが、拡幅についてどう考えるかという質問に対し、反対という人が二五%、歩道をつける程度ならよいが、そんな大きな道路は要らないが四九%で、合わせると七四%になる。道路の形態については、現状のままが三五%、二車線と歩道が一九%で、約半分、三十六メートル四車線は八・六%でした。  市がとったアンケートでも、住民が回収したアンケートでも、こういうふうに住民の意識はなっているわけです。こうしたことをどのように考えているのか。住民は、四車線の道路建設を望んでいないのではないでしょうか。どのように考えますか。 ◯進藤施設計画部長 まず、市議会の議決をお話しされました。昭和五十年に三鷹市議会において採択されました請願の内容は、この道路の建設は各種公害を招き、地域の生活及び自然環境を破壊するので反対するという趣旨でございます。  このように、この請願は、環境破壊を理由に道路整備の反対を訴えられておるわけですけれども、今回の都市計画の変更では、請願の対象となっている道路計画を変更いたしまして、本線の両側に環境施設帯を設置して環境保全を図ることといたしております。  今、市議会の議決が生きているかどうかということにつきましては、私ども申し上げる立場にございませんが、今回、原案を三鷹市さんは出してこられておりまして、それには、市議会、市の都市計画審議会への報告及び議論を経まして原案を提出されてきております。  同時に、要望ということで、三鷹市の要望が出されておりますが、部分的に読むのは大変危険であるのは承知の上で申し上げますと、少なくとも調布保谷線に対する東京都の整備方針を基本的に是認し、次のような基本的な考えのもとにという、調布保谷線沿道の生活環境の保全と地域のまちづくりを総合的に推進していきますという基本的な立場を述べられているところでございます。  それと、地元の方々というお話ありましたが、その説明会から原案作成まで、地元市が中心となって懇談会を開かれておりまして、住民の方々のご意見を伺ってきております。  この計画に対しては、当然、ご指摘のように、さまざまなご意見がございますのは承知してございます。今後、都市計画及び環境影響評価の手続に入ってまいりますので、その中で意見書の受け付けの場面とか説明会などを通しまして、住民の方々のご意見を伺い、ご理解が得られるように努めてまいりたいと考えております。 ◯清水委員 環境施設帯を設置するといわれましたけれども、川崎訴訟判決では、道路から五十メートル離れていても、NO2は三分の二残る、大気汚染には効果がないというふうに示されたと思うんですね。  では、私も一部をとらせていただきますと、三鷹市の議会の答弁の中で都市整備部長が、議事録を読ませていただいたんですけれども、おおむね一日当たり排出量の数%の効果を発揮すると、環境施設帯の効果について、効果が期待できないというふうに答弁されているのを読みました。  東京都は、アセスを実施して環境保全を図れるといわれますが、アセスは、二酸化窒素などの削減計画が一〇〇%達成できることを前提にしています。しかし、この計画が破綻しているのは明らかだと思うんですね。十メートルくらいの環境施設帯の設置が環境配慮になるとも到底いえないというふうに今ではいわれているのじゃないでしょうか。その点についてどう考えますか。 ◯進藤施設計画部長 今、訴訟のお話が出ましたけれども、訴訟は係争中でありまして、まだ結論は出ていないというふうに考えております。  この調布保谷線の整備に関しましては、環境施設帯を設置しまして、その計画に基づいて適切に環境影響評価を実施して環境保全を図っていくということとしてございます。  これとともに、東京都といたしましては、引き続き環境基本計画や自動車公害防止計画に基づきます各種施策を実施しまして、大気汚染物質の削減や騒音の低減などに努めていく考えでございます。 ◯清水委員 それならば、武蔵野市の二十五メートルの道路幅員で整備をしている区間というのは環境が守れないということになるんではないですか。こうした区間についてはどのように考えておられるわけですか。 ◯進藤施設計画部長 道路整備というのは、非常に長い時間を要するものでございまして、これまでも東京都は、そのときそのときの社会情勢や財政状況等に応じまして、最善を尽くして道路整備に頑張ってきたところでございます。  今回の部分の事業化に当たりましては、環境対策に着目をいたしまして、沿道環境の保全を目的として道路幅員を三十六メートルに変更しようというものでございます。  ご指摘の幅員二十五メートルで既に整備している区間につきましては、調布保谷線全体の整備状況とか、その区間の沿道の土地利用とかまちづくりの動向とか、多摩地域全体の都市計画道路の整備状況などを勘案するとともに、その地域の住民の方々のご意見も踏まえながら、将来拡幅を検討していくというふうに考えてございます。 ◯清水委員 車がふえたから道路が足りなくなって、つくる、また車がふえるというのは、もうわかり切った悪循環で、イタチごっこでした。結果は、道路が負けたわけですね。  多摩地域の自動車保有台数は、一九七五年から一九九三年に約二・八倍に増加しましたが、道路は、延長一・一倍、面積は一・四倍にすぎません。調布保谷線十四キロ、都市容量と環境容量に見合った自動車の管理とか規制とかに取り組まない限り、根本的な解決はないということはもうわかっていると思うんですね。悪循環が解決すると考えているのか、大変疑問です。東京を道路だらけにしなければ、渋滞の解消というのは解決しなくなってしまうのではないかと思います。  しかも、財源には限りがあるといっているわけですから、どちらも行うといっているのは──しかし中心は道路建設になっています。選択の時代といいながらも、選択もしていないというふうに思います。  改訂重点計画の交通需要、TDMの事業費では、仕組みづくりで、計画はこれからだということを政策報道室から伺いました。しかし、先日、TDMのモデル実験が行われました。私も、JRの蒲田駅のシャトルバスに、他の党の議員と通勤時間に乗ってまいりました。八王子を六時半に出なければ通勤時間の蒲田には間に合わないんですけれども、そのモデル実験にシャトルバスに乗ってまいりました。そういうものをやりながら、来年から重点計画が、仕組みづくりだから事業費が一銭もない、事業費が計上されていないというのは、とても矛盾だというふうに思うんですね。  確かに実験の結果はまだこれからかもしれません。しかし、自動車の効率的利用とか、公共交通機関の利用とか、経路の変更とか、交通量抑制に効果のある取り組みだってなされているわけですよ。それらを始めていくこともできるというふうに思うんですね。  それをも行わずに、幹線道路の整備だけ、最初に申し上げたかと思うんですが、三千億円も事業費だけはつけられているわけですね。自動車を前提にした考え方でなくて、自動車を減らしていくことを真剣に追求すべきだというふうに思うんです。  交通政策や計画の段階で環境アセスメントを行うなど、また代替案を検討して、別の交通手段によってどれだけ自動車の需要を抑制することが可能なのか明らかにする、その上で、どういった道路が必要なのかを広く明らかにする、そういう方向に今切りかえることが、東京都が考えなければいけないことではないでしょうか。  そういう点で局長のお考えをお伺いしたいと思います。 ◯成戸都市計画局長 先ほど来ご答弁申し上げておりますけれども、東京の都市計画道路網は、都心の方から放射方向に伸びる路線に比べまして、区部でいうと環状方向、多摩でいいますと南北方向の、骨格となる道路、これの整備がおくれておりまして、ネットワークの形成が図られていない。東京、一千二百万都民が活動しております。また、東京圏では三千万人を超える人々の活動を支えていくためには、まだまだ不十分な状況にあるというふうに私どもは認識しておりまして、東京都自動車公害防止計画でも、道路ネットワークの整備というものが重点施策として位置づけられているわけであります。  このために、円滑な都市交通の実現に加えまして、環境問題を含め、今議論になっております調布保谷線など、道路ネットワークを形成する上で緊急性、必要性の高い路線について重点的に整備を進めていきたいというふうに考えております。  こうした供給面と申しますか、道路整備とあわせまして、今お尋ねのありました公共交通網の整備あるいは交通需要マネジメント、こういった需要面の管理と申しますか、そういう施策についても必要な施策であるというふうに私ども考えておりますので、あわせて取り組んでまいりたいというふうに思います。 ◯清水委員 二つの付議予定案件は、都市計画審議会に付議すべきでないという意見を申し上げて、質問を終わります。 ◯藤田委員 一般質問の中でも水循環マスタープランについて発言をさせていただきましたけれども、少し細かいことでお尋ねをしたいと思います。  東京にある水を有効に活用していく観点から考えて、地下水は非常に貴重な自己水源であるというふうに思っているわけですけれども、地下水の位置づけについてを伺いたいと思います。 ◯細渕総合計画部長 地下水については、身近な水源の一つというふうに考えております。地下水は、過剰な揚水をいたしますと、地盤沈下を招く原因となるため、その利用については今後十分な配慮が必要ではないかというふうには考えてございますが、水循環マスタープラン、今回の「中間のまとめ」におきましては、今後、地下水の涵養を一層促進し、地盤沈下の防止を図りながら、地下水を適正に利用し、管理するという考え方に立ちまして、地下水管理のガイドラインの策定を検討することといたしたものでございます。 ◯藤田委員 地下水を涵養する目的で自然の水循環を回復していくことは、先ほどもお話がありましたように、水量が減少している中小河川の清流を取り戻すことにも寄与するわけですけれども、現在、野川の流域を中心に水循環再生事業が進められていますけれども、今後はどのようになっていくのかをお示しいただきたいと思います。 ◯細渕総合計画部長 野川についてでございますが、流域における都市化の進展等に伴いまして、近年、平常時の流量が減少しておりまして、清流の復活が強く望まれている河川の一つでございます。  都はこれまでも、雨水浸透施設の設置を推進し、その流量の回復に取り組んできたところでございます。  今回の「中間のまとめ」におきましては、今後、雨水浸透施設の設置に加え、樹林地や緑地の保全、まちづくりの中での公園や水路の整備、湧水や、地下構造物への漏えい地下水の活用など、多様な施策の連携によりまして、雨水浸透の一層の促進を図り、野川など河川流域の水循環の再生に努めていきたいと考えております。 ◯藤田委員 野川だけではなくて、玉川上水を通じても野火止用水へ下水再生水を通水しているわけですけれども、その先もさらに、毛細血管のように、農業用水の中にもかんがい用水の水源として下水再生水が必要であるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯細渕総合計画部長 玉川上水についてでございますが、玉川上水は、かつて多くの分水路が設けられておりまして、生活用水やかんがい用水を供給する水路として利用されておりましたが、水道の普及や農地の減少などに伴いまして、水がかれたり、あるいは埋め立てられたというような状況もございます。水の潤いを生かした良好な水辺空間を形成していくためには、こうしたかつての用水路を復活していくということも重要な課題であると考えております。  このため、これまでも、野火止用水あるいは玉川上水、千川上水について、下水再生水を導水し、清流の復活を図ってきたところでございますが、今後、下水再生水に加え、野川でも申し上げましたとおり、湧水や、地下構造物への浸出水などの水も活用し、身近な水辺空間の創出に取り組んでまいりたいと考えております。 ◯藤田委員 そして、一般質問の中でも、自然の水循環に関しては、森林、農地、緑地の保全や浸透施設の整備を進めて、雨水が浸透し地下水や湧水になるなど、循環経路を保全、再生していくことが重要である、これらを、人為的な水循環を構築する施策とともに、望ましい水循環を形成するための重点施策として推進するというふうにいわれたわけです。  先ほど来いろいろな苦言が呈されておりましたけれども、利水と治水、そして環境というこの三点が、今まですべてばらばらでありました。今お聞きしたように、地下水の問題あり、そして二つ目にはいわゆる中小河川の問題あり、そして下水道の問題あり、そしてさらには緑の問題、農地の問題というように、いろいろな場面で水がかかわっているにもかかわらず、それぞれの局でいわゆる縦割りの行政の中で水が語られてきた。それこそ、木を一本切るとアサリがとれなくなる、こういう状況が本当に水の循環だと私は思っているんです。  要は、今まで、例えば荒川の一番源泉に行ったときに、木を切る、そしてそれが土砂崩れのような形になってきている、そしてさらに行くと、覆われた、都市化をしたところになる、水がどんどんだめになる、そして最終は、荒川の出口のところで、今までやっていたアサリがとれなくなるという、本当にこういう話が、一番上の森林と漁業、林業と漁業とがつながっているということが大きな問題となっているわけですね。  そうすると、やはりここでは、水はいろいろなところにかかわっているけれども、でも、これをまとめるところがなかったということで、私は、今回、この水循環マスタープランの取りまとめ、マスタープランができたということは、まず第一には評価をしたいというふうに思っているんです。  もちろん多くの問題、あると思います。私も、まず第一に、一番最初に循環だといっているにもかかわらず、なぜダムなんだと。これについては大変苦言を呈したいと思います。そして、なおかつ、水需要の中でも、もちろん国全体の話でありますから、東京都が六百九十から六百五十万トンにしたということも、大変な決意でもって語られたと思いますけれども、水需要は実際にはどうだといえば、この一二ページの表にもありますように、五百万トンの域を出ていないというようなことからすれば、本当に循環をさせようと思っているのに、ダムがまず第一というのは、これはないんじゃないかなというふうに思わざるを得ないわけです。  ですから、片方で都市化をどんどん進めながら、すべてそれを川に流してしまうような合流の下水処理についても問題でありましょうし、そして、それを地域の中に浸透させていくにも、なかなかはかどらない、緑はどんどん切られる、こういう中での水の循環をどうやっていこうかということは大変難しいことでありますけれども、やはりもっと、先ほどお話にもありましたけれども、東京はどうしたい──分権と自治と参加ということを私たちは強くいつもいいますけれども、その観点に立って、こういう大きな水行政、本当に大きなところではぜひ考えていただきたいというふうに思っています。  最後ですけれども、一つだけお尋ねしたいんですが、この水循環マスタープランを条例化へ向けてというようなことになっているようでありますけれども、今、このプランを策定するに当たって把握した現状、その資料とかデータというのはきちっと残していかないといけないと思うんですけれども、どんな形で残していくのか。例えば、先ほどお話がありましたように、数値目標はどういうふうにしていくのかというようなことは、条例と、その後にどういうことを考えているのかというのを、ちょっとお尋ねしたいわけです。  それから、水収支というものについても、今までは大体十年ぐらいの把握だったわけですけれども、今、世の中、大変動くのが早いわけですので、五年ごとに把握すべきだというふうに思いますけれども、その点についてもお尋ねをしたいと思います。  それから、水というところに、いわゆる水源の水質保全ということがあるわけですけれども、今、ダイオキシンの問題、それから環境ホルモンの問題、それから有害化学物質など、和歌山の事件にもありますように、身近なところでこういうものが手に入ってしまう。そして、それをどういうふうに処分をしたらいいのかということも考えたときには、ごみの回収というようなことまで含めて、この水のマスタープランの中にもう少し多く書き込んでいただきたいと思いますし、例えば、ちょっと残った薬品とか、ペンキや溶剤なんていうのもすぐに下水に流してしまうような、そういうような状況もあるわけですので、この辺の部分の書き込みをもう少し膨らませていただけるとありがたいと思います。  ご答弁をお願いいたしまして、質問を終わります。 ◯細渕総合計画部長 まず、データをどうするかということでございますけれども、これまでも関係各局におきまして相当の調査等を実施いたしまして、データもございます。今回、一定のデータもここにつけさせていただいているところでございますけれども、最終の報告に向けては、さらにデータだけをまた違った角度で整理をするということも一つの課題かなというふうに現在考えております。  それから、水収支の関係でございます。五年ごとにというお話がございましたけれども、水循環マスタープランの策定に当たりましては、土地の被覆率など土地利用の状況を踏まえて水収支の状況を把握し、東京の水循環の現状と課題を分析、整理したものでございまして、このマスタープランにつきましては、国の制度や計画の見直しを含みます社会経済情勢の変化を踏まえまして、必要に応じて見直しをしていくというふうにしてございまして、水循環の実態の把握についても、こうした見直しに合わせまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  また、ダイオキシン、環境ホルモンの問題等、廃棄物との関連の問題ももう少し記述せよということにつきましては、本日はご意見として承らせていただきたいと存じます。 ◯藤田委員 今のお話で、例えば環境基本計画とその下にある環境白書ですとか、そういうような関係で、このマスタープランの実行計画のようなものはどういうふうに出すかということで、先ほどの資料、データのことをちょっとお尋ねしたんですけれども、そういうものはどうやってつくっていくかということです。 ◯細渕総合計画部長 水の循環マスタープランにつきましては、先ほど来申し上げてございますとおり、いわゆる総合的な基本方針という性格を持ってございまして、恐縮でございますが、この説明資料の四ページをごらんいただきたいと存じますが、この方針を踏まえまして、今後、水資源でありますとか、あるいは総合治水でありますとか、流域別の下水道の整備計画でありますとか、環境保全計画、こういう体系に今回整理をいたしてございまして、それぞれのこの基本方針が事業計画の段階におりるまで、一貫性を持って、かつ総合的、体系的に、かつ効率的に推進されるような仕組みとして整理をしたものでございまして、それぞれのレベルにおける関連データ等については、それぞれ適切に整備、管理をしていきたいというふうに考えております。 ◯池田委員 最初に、報告で出された水循環問題について質問をさせていただきたいと思います。  時間の経過がありますので、私は、水源問題、そして水需要の予測との関係、貴重な水源をどう生かしていくか、身近な地下水をどう活用するのか、この辺をポイントにして質問したいと思います。  先ほど部長さんも答弁の中でいっておられましたし、この中間のまとめに当たってということで書かれているものを見ますと、今、東京都が、進む都市化の中で、水源の不安定、それから被覆率の低下、さらに深刻な都市化があって、その中で水の問題では多くの問題を抱えている、そういうことを解決するためには、都市づくりと連動した総合的な対策を講じていくことが重要だというふうにいわれているわけです。  この都市づくりがまず先行して、そして、その都市づくり、いわばこの間進められてきた急速な人口集中だとか一極集中の中で求められる水源を確保していくんだという形の中で、やはり同じ考えの立場に立っているんじゃないかということを私は指摘しておかなければならないと思うんです。  ご存じのように、東京都は、これは五十七年の十月ですけれども、長期計画が策定されたときに、その指標に基づいて、例えば人口の増大だとか経済状況だとか、それから都市化の状況を見て、七百四十万トンということを需給計画の基本に据えました。それから、第二次東京都長期計画、それに続いて第三次というふうなことになってきているわけですが、平成二年の第三次長期計画の中では、平成二十二年には六百九十万トン、こういうことを考えておられるという状況なんですね。同じペースでずっとこの間、東京の水源対策がやられてきた。  その土台になる国の方の状況はどうか。国は四全総だとか、基本的な、国土庁、建設省による国づくりがこの間進められてくる。そして、水の問題についていえば、全国総合水資源計画、これが決められました。これは全国ベースの水需要ですけれども、二〇〇〇年までに、全国で水の需要というのは一千五十六億トン、年間必要だという予測値を示しました。  しかし、いまだに予測値、特に都市用水の予測値は四百三十億トン、こういうふうに想定されたものに、現実はどうかというと、年間三百三十億トンだということを国は明らかにしています。いってみれば、予測値と実績値というのは大きく相違している、こういうことだと思います。  東京の場合は、この全国計画に基づいて第四次フルプランというものがつくられて、水源開発計画が位置づけられてきたというふうに思うんですけれども、東京都の水源開発での水需要予測と水源開発の計画、そして現状はどうかということをちょっと説明してください。 ◯細渕総合計画部長 今お話のございました国が策定します第四次フルプランにつきましては、昭和六十一年に策定されたわけでございますが、東京都といたしましては、当時における、それまでの水の使用実績でありますとか、人口の増加や経済の成長等を当時の事情において見込んで、将来の東京の水需要を日量六百九十万立方メートルと推定したものでございます。  この計画については、奈良俣ダム、浦山ダム、滝沢ダム、八ッ場ダム等を整備する計画が位置づけられたところでございます。 ◯池田委員 今、水源どのくらいありますか、現在。 ◯細渕総合計画部長 現在の水需要の予測…… ◯池田委員 じゃなくて、水源の確保、現在の。──いいですよ。事前に資料も差し上げて通告をしておったから、わかっているというふうに思ったんですが、時間の関係で、私の方からいいます。  六百九十万トンということで想定して、現在、東京都はフルプランの中では、現況六百十三万トン、これを確保しているということです。  私は、国でも、先ほど申し上げたように、水需要の予測値と実際の水使用量の状態というのは、かなりの格差がある。東京都の場合も、もうご存じのように、この間、六百十三万トンの水の権利を持っている。しかし、これを超えたということはほとんどないんですね。一日使用水量の実績を見ますと、平成九年で大体、最大で五百五十万、六百万に届かないですよね。そして、六百万超えたのが平成二年、これも、年間でいうと、六百万を超えたのはわずか三日間ということを見てみても、東京の水需要予測が、実際の水使用実績から見て、非常に大きかった、過大だったということが私はいえるというふうに思うんです。  今、そういうことを基本にした水源の物の考え方ということをやはり見直していく必要がある。先ほどもちょっと出てましたけれども、まず、この循環の中間まとめでも、やはりまず水源が出てくるというふうな話になっていましたけれども、私、やはりその辺が問題だというふうに思うんです。  ダムによる水源開発というのは、ご存じのように、長期にわたる期間や、環境への影響、そして水没する住民の生活再建問題など、大きな社会問題になってきました。そして、特に水源開発の事業費が、これは、一トンの水源開発をやるのに大体二百五十億から三百億というふうな事業費がかかる。莫大な事業費が公共事業としてゼネコン向けに投入されてくる、されてきた、こういうことの多くの人たちからの批判がされてきたのも、ご存じのとおりだと思うんです。  今、こういうことに対するさまざまな層からの批判が出てくる。ちょっとご紹介したいと思って持ってきたんですが、「アメリカはなぜダム開発をやめたのか」これは、公共事業チェック機構を実現する議員の会というところがまとめた本です。中身を紹介すると時間がかかりますから、帯封だけいいますと、「公共事業に血税の無駄づかいはもうゆるされない 世界が注目する米国の行財政改革の緊急レポート」という本が出されているんですね。こういうふうに、今、ダム建設中心の、ダムを建設することを一辺倒とした水源開発というのは、大きな転機を迎えている、こういうふうに私は思っているんですが、どうですか。 ◯細渕総合計画部長 先ほどちょっと答弁漏れがございました点について先に申し上げます。  最近十年における最大の配水量は、最も大きいものが平成四年で六百十七万立方メートル、十年間の一日の平均配水量は約五百万立方メートルでございますが、この六年、七年、八年と渇水もございまして、八年には夏も冬もあったわけでございまして、こういったときには給水制限を余儀なくされるわけでございまして、こういったことが実績としてはは減少につながっている面もございます。  それから、過大であったのかというご趣旨のお話がございました。確かに、フルプラン当時としては、先ほど申し上げましたような状況を踏まえて見積もりをしたところでございますが、その後のいわゆるバブル経済以降の経済の低成長、低迷と申しますか、そういったことが水の需要にも大きく影響してきたというのは事実ではないかというふうに考えてございます。  しかしながら、あくまでも東京都の都民の飲料水をきちんと確保していくという基本的な考え方からいたしますと、やはり安定した水を確実に確保していくということが大事なことでございまして、これは、ダムの開発によるということがやはり基本であろうというふうに考えております。  加えて申し上げますと、お話にもございましたけれども、ダムの建設には水源地域の人たちの問題、再建対策とか、いろいろございまして、大変長時間かかります。十数年から、あるいは数十年というふうな月日を要するものもございまして、安定した水需要を確保するという観点に立ちますと、なかなか長期の展望を確実に見込んでいくということが難しいというような問題もございますし、先ほど申し上げましたとおり、おおむね二年に一回程度の渇水がございまして、一たん渇水になりますと、大変都民の方々がご苦労いただくわけでございますので、こういった面での安全というものも十分考えていかなければならないというふうに考えております。また、現在は、群馬県、埼玉県等の水源に依存をしているわけでございますけれども、限られた貴重なこの水を、関係の自治体でそれぞれ配分して、国の調整等のもとに配分していくというような性格のものでもございますので、その確保というものについては、この数字に出た以外にもいろいろな要素が絡み合っているものでございます。  いずれにいたしましても、六十一年の当時の予測というものは、先ほど申し上げましたような状況における一つの推計でございまして、その当時においては適正なものであったというふうに認識をしてございます。  なお、現在におきましても、日量で申し上げまして六百十三万立方メートルの水源が確保されているわけでございますけれども、このうちの約二割に当たる百十九万立方メートルが不安定水源と申しまして、一たん河川の流況が悪くなりますと、他に先駆けて取水制限を受ける不安定な水源でございまして、そういったことから第四次フルプランの改定が今後行われるわけでございますけれども、やはり適正な水予測に基づきながら必要なダム等の水源施設の計画をきちっと計画に位置づけていただくように、国に対しても対応していく必要があるのかな、あわせて関係近隣水源地域等とも十分なコミュニケーションを確保していく必要があるのかなというふうに考えております。 ◯池田委員 今、いろいろと水予測と現況の水使用量の乖離等の問題について、いいわけといっては言葉が悪いかわかりませんけれども、お話がありました。そして、ダムの必要性は強調されていたわけですけれども、例えば、渇水の場合に、東京の場合には小河内のダムがあるわけですよ。多摩川系からとれるわけですよ。  今一番問題になっているのは、利根川系の、その取水制限の問題で、また、もう一方神奈川の方の水の問題もあるわけですね。不安定な二〇%という水量があるというお話なんです。しかし、実際に異常渇水のときに小河内の水を使ったというのはそうたくさんないんですよ、現実に。で、先ほど申し上げたように、六百十三万トンを超えるようなそういう一日の最大配水量、これはもう平成二年でわずか三日間ですよ。大体、一日平均でいえば、先ほど来いっているように、四百六十から五百にならないですよね。五百ちょっと出る程度。そういうことから考えてみれば、私がいっていることは、現実の問題として認めなければならないということを申し上げておきたいというふうに思うんです。  先ほど私の方から申し上げた、ダムの建設一辺倒の水源対策というのはだめなんだよというのは、やはり実際に全国的にいろいろな声として出ているわけです。現に、国では、幾つかのダム建設事業、これが水需要の見込みの変化、そしてもう一つは、取水対策上の代替案の判明などの理由で中止になっているでしょう。その辺をちょっと紹介してください。 ◯細渕総合計画部長 建設省におきましては、昨年度初めてダム事業の総点検を行いまして、相当長期にわたり進捗が図られなかったダムなどについて、中止もしくは休止することにいたしております。
     中止するダムは、岩手県の日野沢ダムなど六ダムでございまして、事業費を計上せずに見直しをするとした、いわゆる休止するダムは、大分県の矢田ダムなど十二ダムがございます。そのような動きはございます。 ◯池田委員 そうなんですよね。一九九七年に中止、休止が決まったダムというのは、全国でそういうふうな状況になってきている。時間の関係で、これをさらに広げようというふうに考えておりませんけれども、私は問題は、過大な水需要予測を見直して、そして現在ある既存の水資源の活用、これをどう推進していくかということこそ水循環マスタープランの基本的な視点であるべきだというふうに考えるんですけれども、どうですか。 ◯小林委員長 簡潔にいってください。 ◯細渕総合計画部長 水資源につきましては、いろいろな用途がございまして、飲料水ということになりますと、やはりダム開発によって、長期的にも安定して、良質な水を確保していくということが大事なことであろうかと存じますが…… ◯池田委員 そんな質問じゃないんだよ。基本的な姿勢としては何なのかというふうに私、いっているわけですから。 ◯細渕総合計画部長 今回の「中間のまとめ」におきましても、地下水でございますとか、雨水を浸透させるとか、多様な水源を有効に活用していこうという基本的な考え方は、全くそういう考え方でございます。 ◯池田委員 しかし、地下水の活用問題、水源として活用する、こういう位置づけが、先ほどの答弁でも、聞いていて非常に弱い。大切な身近な水源として、地下水利用の一層の具体的な手だてを打つべきなんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、どうですか。 ◯細渕総合計画部長 先ほども申し上げましたとおり、地下水については、今後、有効に活用して、河川の再生、河川流況の悪い川へ使うなど、十分有効利用を進めてまいりたいというふうに基本的には考えてございます。  しかしながら、地下水につきましては、地盤沈下との関連等もあるわけでございますので、そういったものについては、先ほど申し上げましたとおり、ガイドラインをつくって、適正な利用というものを今後一層進めていこう、こういう考え方でございます。 ◯池田委員 私は問題は、この地下水問題についていうと、高度経済期の当時から、地下水の過剰なくみ上げ、そして地盤沈下だとか地下水の汚染、こういうふうなものが発生してきた。特に開発優先の都市づくり、こういうことで、雨水の地下浸透が激減させられた。また水脈の分断だとかですね。  そして一方では、樹林地だとか農地、こういう緑地面積が大幅に減少させられてきた。私、資料をいただいたんですけれども、東京の緑地面積の推移ということでいただきました。この資料を見ますと、平成四年では、約八百三十平方キロ、これは、昭和五十七年の八百七十平方キロより約四十平方キロも減ってしまっている状況なんですね。  そういう開発優先のやり方、先ほども出ていました、三多摩の方で緑がばっさりと削られていくというような状況。特に多摩地域では三十六平方キロ、これも減っているわけですよ。ちなみに、私、豊島区ですけれども、豊島区の全体の面積というのは約十三平方キロです。  そういうことを見ても、やはり、いかに開発優先の都市づくりというものが進められてきて、そして、今申し上げたような状態、こういう状況をつくり出してきている。このところを総括して、改めていかない限り──私は、いろいろマスタープランということで水循環という話がある、確かに節水型都市づくりという考え方で進めていかなければいけないわけですけれども、基本がそういう点で据えつけられていないというふうに思わざるを得ないんです。  今、東京が進めているまちづくりというのは、依然として大型開発、そして業務機能中心の都市計画が、ずっと実際上進められている。先ほども議論があったように、都心への一極集中、これを是正して業務機能を分散する受け皿としての六つの副都心、これが指針と整備計画が決められた。ところが実際には、これは、オフィスビルや業務機能を全体として各副都心にずっと広げていくものなんです。そして、この十一月の末に、再開発促進地域、これをまたまた指定する。そういうのが全然変わっていないんですね。そうすると、そういう都市づくりに見合って水をどう提供するか。だから水源開発だというふうなことにやはりなるんじゃないんでしょうか。  私は、この「中間のまとめ」、そして最終のまとめに入ってくるわけですけれども、このマスタープランというのは、実際に水道だとか水事業の業務をやる水道局だとか下水道局、これもマスタープランつくってますよ。例えば、下水道では第二世代下水道マスタープラン、それから水道は東京水道新世紀構想―STEP21というのをつくっています。  そうすると、こういうそれぞれのマスタープランの上位計画になるわけでしょう、今、「中間のまとめ」から最終まとめにしようとするものは。そうじゃないですか。  そうすると、そういう考え方のもとでやられていくからこそ、水道局にしても下水道局にしても、その路線をやっていかなければいけないということになる。例えば、これは指摘だけしておきたいと思うんですけれども、例の広域循環の計画、そして系統図というのが四五ページに示されていますよね。そうすると、これは、まさに今申し上げたような副都心、特に再開発促進地域、こういうところをずっと配水幹線で結んでいく、そして広域的な循環系統をつくっていこう、こういうふうなものが位置づけられているわけですよ。  これはまさに莫大な事業費がかかる。幾らかかるかということで聞いても、なかなか答えられないだろうというふうに思うんですけれども、やはり大変な事業費がかかる。それは、結局は都民負担になっていくわけですね。ここでは、適正な費用負担だとか料金というようなことも一応語られておりますけれども、結局は都民の方の大きな負担になっていくということにならざるを得ないというふうに思うんです。  私はそういう意味で、今東京都がやろうとしている水循環のマスタープラン、基本的に、先ほどからいいますように、今までの開発優先のそういう都市づくり、とりわけ首都圏整備構想に基づいて、それに具体的な計画が積み重ねられてきて、そして東京がつくられてくる、そういう中での深刻な今の事態の反省の上に立った、先ほどいいました基本的な視点がやはり前面に出てこなければならないというふうに思うんです。  これは「中間のまとめ」ですから、最終のまとめが出たときにも、いろいろまた議論になるだろうというふうに思いますけれども、そういう視点での取りまとめをぜひ私は検討してもらいたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。 ◯細渕総合計画部長 一つ、まず、開発優先というお話がございましたが、東京は、これまでの都市の発展の計画の中では、それぞれの時代において、社会情勢等を十分配慮しながら開発と保全のバランスをとってきたというふうに私は認識しております。  それから、特に下水の関連で広域循環のお話がございましたので、この点については、今回の重点施策として取り上げてございますので、この考え方についてだけ申し上げさせていただきたいと存じます。  持続的発展が可能な循環型社会の形成を図っていくという観点から、多様な水源を確保するとともに、用途に応じたむだのない水利用システムを構築するということによって有効活用していくことが大事であるというふうに考えておりまして、このために下水再生水を利用した広域循環の一層の拡大を図ることは大変重要な課題であるというふうに考えております。  都市づくり、それから多大な費用というようなお話もございましたけれども、これら水の有効利用を積極的に進めつつ、区部中心部整備指針などによる都市づくりの施策との整合も図りながら事業費等の問題も考えていくわけでございますので、計画的に施策の展開が円滑に図られるよう努めていくことが大事なことではないかというふうに考えております。 ◯池田委員 あえて部長がそういう話をするから、一言このまとめについていっておかなければいかぬというふうに思うんですが、やはり、今の東京の都市づくりの基本姿勢の中で、そして都心中心の一極集中が、先ほど来いうように、副都心の整備指針だとか計画、具体的な整備計画に基づいてやられても、これが広がっているというのが現状なんです。そういうものの水の受け皿として水源開発がどうしても必要なんだということから出発していくわけです。  そうじゃなくて、本当に水循環を考える場合には、節水型の都市づくりということで、そういう立場も、今までの都市計画、また都市づくり、そういうものを総括しながら、その中で反省の上に立った視点というのが必要なんじゃないかということを私は強調しているわけです。  そして、ダム一辺倒の水源開発というものの問題点も指摘しました。そして、身近な貴重な水源として地下水の涵養の問題、こういうことも含めてやはり考えていかなければいけないということもいいました。ぜひ、そういう点では、改めて、部長の答弁がああいうふうにありましたから、指摘しておきたいというふうに思います。  もう一点、都市計画の主要案件ではなかったんですが、例の港の高層住居誘導地区、このことについて若干お聞かせいただきたいと思うんです。  この港の芝浦四丁目の交通局跡地、これを中心としたところに対しては、広域避難所を兼ね備えた住居開発を求める、こういう請願が、地元の港区議会で採択されています。平成八年です。さらに、港区の芝浦アイランド地区整備基本計画に関する要望書というものが知事あてに出されています。これを簡単に説明してください。 ◯杉浦開発計画部長 芝浦四丁目のご指摘の地区でございますが、平成八年四月に、地元港区議会から知事あてに、当地区を避難場所を兼ねた住宅中心の開発を要望するという趣旨の要望が出てございます。  私どもといたしましては、当地区は、住宅市街地総合整備支援事業を、今後、従来の計画を見直していこうという段階でございますので、計画変更の検討に際しましては、要望の趣旨も踏まえ、配慮していきたいと考えておるところでございます。 ◯池田委員 都有地がほとんどを占めているというような土地ですね。その中では、公営の公共住宅を積極的につくってほしいという声もあるというふうに聞いています。そういう区議会での議論もある。  そこで、この高層住居誘導地区という施策が設けられた目的というのは、どういう目的でしょうか。 ◯勝田地域計画部長 高層住居誘導地区でございますが、昨年、平成九年でございますが、六月の都市計画法及び建築基準法の一部改正によりまして、用途地域や高度地区といったいわゆる地域地区の一つとして創設された制度でございまして、高層住宅の建設を誘導することにより職住近接の都市構造を実現することを目的として設けられたものでございます。  都では、おおむね環状六号線及び荒川放水路等の内側で高層住宅の誘導を図る区域を指定の対象としていきたいと考えておりまして、若干内容をご説明させていただきますと、全体の床面積の三分の二以上を住宅とする建築物につきまして対象といたします。そして、容積の緩和をするわけでございますが、すべてを住宅とする建築物の場合が最大となりまして、指定容積率が四〇〇%の地区で適用になりますので、その一・五倍に相当いたします六〇〇%まで緩和するというものでございます。  このように住宅を多く建てる場合には容積率などの制限を緩和するというものでございまして、住宅建設に対してインセンティブを与え、高層住宅の誘導を図っていこうとするものでございます。 ◯池田委員 この建設省の高層住居誘導地区の指定、この創設は、新総合土地政策推進要綱、こういうものに基づいてやられているわけですね。ちょっとその辺確認したいというふうに思います。 ◯勝田地域計画部長 ご指摘のとおり、高層住居誘導地区の制度につきましては、新総合土地政策推進要綱によりまして位置づけられております。土地政策の目標を、所有から利用へという理念に基づきまして、ただいまご説明申し上げたような制度の活用を図っていくという趣旨で設けられたものでございます。 ◯池田委員 その推進要綱の中には、今いわれたように、所有から利用へというふうなことがありますし、それから、必要に応じて、地区などの活用は建築規模の弾力化を推進するとか、民間活動の活性化を通じて民間事業者による都心での良質な住宅供給事業を促進するというような意味の要綱の位置づけもありますよね。その辺はどうなんでしょうか。 ◯勝田地域計画部長 都心居住の推進ということにつきまして、さまざまなバリエーションが講じられております。一、二申し上げますと、街並み誘導型の地区計画、あるいは都心居住型総合設計制度、あるいは都心共同住宅供給事業、その他たくさんの制度の活用が可能ということになっておりまして、そうした活用によりまして、通勤時間の短縮、コミュニティの維持、インフラ運営の効率性等々、さまざまな課題に対応するということで、大変柔軟で幅広な制度という位置づけになってございます。 ◯池田委員 いろいろな制度を生かしていくということを考えて、この誘導の地区指定をやられた。ああいう運河に囲まれた地域です。そして、昔、都の交通局の自動車の車両工場があって、今、ほかの製糖の関係の工場があるとか、都住が一棟建っているとか、そういう状況もあるわけですが、地元の皆さんにしてみれば、先ほど紹介しましたけれども、防災拠点を兼ねた、そして住宅ということの要望があるわけです。  ところが、この高層住居誘導地区というのは、今、三棟の計画が立っているようでありますけれども、五十階ですか、というようなことは、かなりの高層だというようなことが出されているわけですね。やはり地元の皆さんの声というのは、先ほど来いっているような立場からの、自分のところの地域の特性を生かしたものにしてほしいということをいわれているわけです。  ですから、そういう意味で、私は、今、東京都が、住宅局や、それから供給公社ですか、それから整備公団だとかというところでいろいろ協議をされているというふうに聞いております。そういう基本的な公有地、都有地を中心として考えられる、これをちゃんと位置づけて、そして住民の声にこたえる、そういう計画を練り上げていってほしいということをいって、この問題の質問を終わりたいと思います。 ◯小林委員長 ほかに質問ないですか。──本件に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯小林委員長 異議なしと認め、報告に対する質疑は終了いたしました。  以上で都市計画局関係を終わります。  この際、議事の都合により五分間休憩いたします。    午後六時二十三分休憩      ━━━━━━━━━━    午後六時三十分開議 ◯小林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  審査を続行いたします。  これより清掃局関係に入ります。  理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。 ◯横川総務部長 お手元に配布させていただいております江東区潮見一丁目の土地にかかわる資料についてご説明させていただきます。  本資料の取り扱いにつきましては、事務事業質疑の関係資料として、さきに理事会に提出いたしましたところ、委員会において報告をするよう決定をいただいたものでございます。  十一月十九日の当委員会で局長から答弁させていただいたように、清掃局におきましては、潮見一丁目の土地の問題にかかわる事実については、基本的に非公開とされている事項は、その非公開の原則を守らなければなりませんので、非公開という原則を守り、ただ、私どもの努力の範囲で、他局との調整等を踏まえ、できるだけの範囲で調査した結果を申し上げることとしております。  本日提出いたしました江東区潮見一丁目の土地についての資料は、今回、新たに作成したものであります。資料には、既に当委員会での質疑の中で答弁をさせていただいたものも含めまして、現在当局で把握している事実を整理して記載しております。  それでは、ページごとに資料を説明させていただきます。  一ページをごらん願います。  1、平成三年の土地交換の経緯においては、平成元年十二月に、江戸川区江戸川二丁目の土地について、財務局より、公有地の拡大の推進に関する法律に基づく買い取り照会を受けて以降、平成三年に、江東区潮見一丁目と江戸川区江戸川二丁目の土地交換契約をするに至った経緯について記載いたしております。  二ページをお開き願います。  2、問題発生及び訴訟に至るまでの経緯においては、土地交換の相手方より、都と交換した潮見一丁目の土地から環境基準を上回る汚染物質が検出された、都は潮見の土地の土壌処理、土地の買い戻し、交換等の措置を講じてもらいたいなどの話があり、それに対する都の対応及び訴訟に至るまでの経緯を記載しております。  三ページをお開き願います。  3、提訴後の経緯においては、平成九年十二月、潮見一丁目の土地に関して、三井松島産業株式会社及び日本ビルプロヂェクト株式会社より、妨害排除請求事件訴訟が東京地方裁判所に提訴されました。それ以降、和解が成立し、本年六月に第二回都議会定例会において、知事専決処分として報告するまでの経緯について記載しております。  また、4、土地移転等の状況においては、潮見、江戸川の土地の移転、利用状況等を記載しております。  四ページをお開きください。  この資料は、清掃局において、相手方に提示した八十五億円の計算根拠としての土地価格の評価を概算したもので、平成九年六月一日の時点での江戸川区江戸川二丁目の土地の評価の試算表でございます。  試算に当たりましては、路線価をもとに、土地の条件により加算、減価を行っております。  なお、今後の買収計画等、都の事務事業の円滑な執行に支障を来すおそれがある部分等については、黒く塗りつぶしておりますので、ご了承のほどお願いいたします。  以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。 ◯小林委員長 報告は終わりました。  ただいまの報告に対して質問等がございましたら、発言願います。 ◯土屋委員 何点かについて質問させていただきますので、端的にお答えをいただきたいと思います。  この江東区潮見一丁目土地問題についての経過と二丁目の土地の評価表が、新たに資料として提出されたわけなんですけれども、そもそもこの問題は、平成二年当時の天の声というのがあるらしいんですけれども、何をもって天の声とするのかわからないんですけれども、要は、江戸川二丁目の土地を無理やり取得させられたということに問題があると思うんですね。  ちょっとおさらいで今までの経過を話しますと、二丁目の土地を利用しての清掃工場の建てかえを断念したのに、なぜ取得が必要だったかということが大きな問題だと思うんですね。平成三年八月に新しく提示された利用目的というのは三つあって、地域リサイクルセンターだとかストックヤードだとか回収業者支援の施設などが挙げられているんですけれども、現在は、この目的に沿った利用のされ方をつまりされていないわけなんですね。  つまり、さっきも議論がありましたけれども、循環型社会の形成ということが今いわれているんですけれども、この言葉を利用して、もっともらしい理屈をつけて土地を取得したということとしか思えないと私は思うんですね。  第一、この土地、いわゆる二ヘクタールは、東京土地建物という会社が昭和六十年の十月に売買契約の仮登記をしているんですね。で、二年後の昭和六十二年の七月に、その登記を抹消しているんですね。つまり、マンションを建設する予定でこの会社は仮登記をしたわけなんですけれども、実際、清掃工場がそばにあるということで、マンション用地としては不適格だという結論になったんですね。  つまり、事業向けでないという判断をしたこの土地を日本ビルプロが手に入れて、東京都に持ち込んだわけですね。ですから、資産価値のない土地を買って、東京都に交換を持ち込んだ、取得を持ち込んだということなんですが、ともかく平成四年に江戸川区長の了解が得られなかった時点で、取得を本来は拒否すべきだったと思うんですね。  天の声といういい方は、まあ一つのいい方かもしれないんですけれども、言葉をかえていえば、どこかの組織か、もしくはどなたか、政治家かだれかわからないんですけれども、何らかの介入というか圧力があったとしか私は思えないと思うんですね。  加えて、先日の報道によると、潮見一丁目の土地の評価額が周辺地価より低目に設定されたということもいわれているわけですね。私は、一方の江戸川二丁目の土地も周辺価格より高目に設定されたのではないかという疑念というか疑いを持っているわけなんです。  これまでも各委員からたびたび要求されていますけれども、これらの疑念を晴らすためにも、平成三年七月に財務局長に送付した東京都財産価格審議会諮問議案、つまり東京都財産価格審議会の評定を受けるための資料をやはり公開をすべきじゃないかと思うんですね。審議会との関係で諮問議案が公開できないのなら、諮問議案作成のための資料なら公開できるんじゃないでしょうか。その点についてお答えをいただきたいと思います。 ◯横川総務部長 清掃局が作成しました財価審に評定を受けるための資料は、審議会議案そのものでございまして、これは、答申書、会議録等と同様に非公開となっております。 ◯土屋委員 公開されない限り、この疑惑というか疑念は残り続けることになると思うんですね。仮に過去の議案が公開できなくても、今後はやはり公開をするという原則を、この際はっきりここで確立しておく必要もあると思うんですね。  次に、なぜ訴訟にしたのかについてお伺いをしたいと思います。  私の手元の資料によると、平成九年九月十六日に八十五億円の金額を正式に提示した後に、翌十七日には三井松島産業株式会社は提示額を了承して、日本ビルプロヂェクト株式会社は松島側が責任を持って説得するといっていたはずですけれども、どうして説得できなかったんでしょうか。 ◯横川総務部長 八十五億円の提示に対しまして、三井松島産業は了承したわけでございますが、日本ビルプロヂェクト株式会社の方は納得せずに、また、二社の間の調整も不調となりまして、訴訟になったわけでございます。 ◯土屋委員 ここに資料があるんですけれども、その同じ資料によると、同じ年の十二月五日に三井松島産業株式会社が来庁して、両者合意では提訴は困難であるが、当社が責任を持ち、都には迷惑をかけないので、提訴に踏み切らしてほしいと話したことになっているんですね。  ビルプロの要求額は、松島が要はのみ込むことになっているわけですから、提訴する必要はなかったんじゃないでしょうか。 ◯横川総務部長 提示金額に不満のあります日本ビルプロヂェクトとは別に、三井松島産業としましても、金融機関との関係で、早期に解決できなければ、都に対してより強い手段を選択する必要があり、ビルプロとの合意が早期に得られない状況であったために、訴訟に踏み切ったと、そういうふうに私どもは考えております。 ◯土屋委員 清掃局の資料では、十二月十日には、訴訟になる旨を関係局に伝えるとなっているんですね。私の手元の資料では、前回の委員会でも出しましたけれども、この日の五局調整会議では、金銭解決を確認して、公平性を確保するためには、裁判所の勧告に従って和解するという状況が必要であり、訴訟を早い段階での和解で決着させるとなっているんですね。しかも、和解内容も確認したということになっていますけれども、これは間違いありませんか。 ◯横川総務部長 裁判は十二月の十九日に提訴されたわけでございますが、裁判になった場合の対応としまして、都がとるべき選択肢の中で、いろいろあるわけでございますが、和解の道も想定しまして、早期に決着する方法としての和解も検討したわけでございます。  和解内容を確認しましたのは、和解ができるとした場合の金額の上限と、その算出根拠を再度確認したものでございます。 ◯土屋委員 よくとれば、確かに、行政側ですから、万が一和解が成立したときのことも考えて、そういうことも私は想定はする必要があるかと思うんですね。  ところが、これは内部文書だと思うんですけれども、その和解内容なんていうのは、かなり微に入り細に入り書いてあるわけですね。例えば、交換金額が十九億八千億円で、地価が幾らで、それが六十億二千万円ですから、合わせて八十五億だとか、細かい計算まで全部入っているわけですね。  ですから、前提に実はもう八十五億だという結論があって交渉に臨んでいたんじゃないですか。もう一度お答えください。 ◯横川総務部長 和解につきましては、裁判の経過によるものでございまして、最初から決められていたものではございません。 ◯土屋委員 全然説得力がないんですね。なぜかというと、ここで和解内容ということが書いてあるんですけれども、そうでないことは書いてないんですね。ですから、結論が、今ある結論に導かれて、もうここで想定しているんですよ。もし、行政としていろんなパターンが考えられるとしたなら、こうではない道もここに書いてなければいけないんじゃないですか。それについてお答えください。 ◯横川総務部長 当然、訴訟に入れば最後の結審までもいろいろ考えておりますが、それについては、訴訟ということであれば、結審、それから裁判上の和解、それから裁判外の和解と、いろいろな方法がある。ただ、結審については、それは最終的には行くところまで行くということなんで、和解ということを考えたわけでございます。
    ◯土屋委員 これは、そういういいわけを聞いて、ああ、そうですかと納得する人はほとんどいないと思うんですね。大体、三井松島産業がビルプロから訴訟委任状をとって、三井松島と東京都が折り合って──まあ折り合っているわけですからね、両者の弁護士が裁判長に八十五億でお願いしますといえば、裁判長が八十五億の和解勧告とするのは当たり前なんですよね。  三井松島にとっては、裁判所の権威を使ってビルプロのことを説得することもできますし、東京都も、議会のいわゆる議決を経なくていいわけですから、この両者の利害が一致したから、いわゆる裁判、和解という道を選んだんじゃないですか。そのための図式を──だれがつくったんですか、これは、平成九年十二月十日のこの文書ですけれども、これはだれがつくったかも、あわせてお答えをいただきたい。 ◯横川総務部長 その資料につきましては、和解を検討した担当者のメモでございます。  なお、今のご質問につきましては、裁判以前に、都は相手方に八十五億円という金額を提示しております。この提示金額に対しまして、相手方の一社が了解しなかったために訴訟になったわけでございます。  裁判が進む中で、相手方が早期の決着を望み、裁判長の和解勧告が出され、都としても受諾できる金額である、また、相手方も勧告に応じたために、和解が成立したものでございます。 ◯土屋委員 よくわからないけれども、おかしいと思うんですね。実はこの文書の中に、都議会等の関係というのが書いてあるんですけれども、知事の専決処分1)と書いてあるんですね。ここに、知事の専決処分について、こうこうこうですと。都が応訴した事件等についての和解は、知事が専決処分でできると書いてあるんですね。  ですから、仮にこれは担当部局のどなたかがつくったとしたら、この人は本当にいわゆるこの訴訟の先行きがきっちり見えた人だと思うんですね。ここに書いてあることが実は結論じゃないですか。ですから、もう結論を最初から皆さんが示し合わせをしておいて、これに導くような、いわゆる議会に一片の報告で済ますことのできるような道を模索したんじゃないですか。もう一度お答えいただきたい。 ◯横川総務部長 そういうことはございません。 ◯土屋委員 まあ、そういわれて、そういうことがありますとは答えられないと思うんですけれども、ここにいる人や、それから一般の都民は大方、部長の説明では私は納得できないと思うんですね。つまり、両者の利害が一致したというのは、ともかく情報を開示しないで、クローズにしておいて、うまくこの土地転がしに加担した責任を転嫁したい、うやむやにしていきたいというところで両者の利害が僕は一致したと思うんですね。  ですから、八十五億もの都民の税金を使うのに、議会には一片の報告だけというこのあり方、つまりこれは議会軽視だと思うんですね。これは深刻な反省を含めて、一度きちっと、どこに責任があるのかということも含めて、再度審議する必要がありますよ。  部長にちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、この八十五億の土地取引、まあ賠償を出したわけですけれども、これはだれに責任があると思いますか。 ◯横川総務部長 先ほどからいっておりますように、これは裁判による和解でございます。そういう意味では、責任の云々は私は考えておりません。 ◯土屋委員 全然納得できない。そんなことがあるわけないじゃないですか。普通の会社で、例えば八千五百万赤字、穴あけただけで、個人の責任が問われますよ。民間会社だって、訴訟をやって、損害を与えてしまえば、当然それに対して賠償金を払うというのは、日常茶飯事で行われているでしょう。そのときに、だれも責任をとらないで──これは税金ですよ。民間企業だったら、その収益の中からいわゆる損害賠償金を払うんだけれども、それでも責任が問われるという当たり前のことが、都庁では行われないということでいいんですか、総務部長。 ◯横川総務部長 裁判の過程では、相手方は百十六億円を主張をしていたわけでございます。早期に決着することを相手方が望み、八十五億円での和解が成立した、そういう意味では、私どもは、先方の主張よりも少ない金額で勝っております。 ◯土屋委員 今、値上げのことが随分議論されていますよね。今の部長の答弁を聞いたら、普通の都民の人はがっかりすると思うんですね。福祉予算だとか文教予算がどんどん削られていく中で、いや、少ない金額で妥結しましたと。少ない金額は幾らかというと、八十五億じゃないですか。  ですから、とにかくそこに対して──じゃ、責任は明確にだれということがいえないということだったら、我々が何度も請求というか、お願いをしている、最低限、諮問議案作成のための資料というものを出すべきですよ。あれも出せない、これも出せない、責任もとれないということでは納得できないと思いませんか。もう一度お答えください。 ◯横川総務部長 非公開になっておりますので、出せません。 ◯土屋委員 そうなると──まあ私はこれは犯罪だと思うんですね。いわゆる不動産業者全体が悪いわけでもないけれども、これはもう利用価値のない土地を、うまいことやって等価交換という形の、それも評価額がかなり問題があるんだけれども、等価交換という制度を利用して、ここに瑕疵があった、瑕疵があるから八十五億で買い取れと。かなりの利益を上げているのは事実なんですから、やはり今後、こうした問題が起きたときには、こういう文書はすべて公開をする。  大体、犯罪が起きたときは、非公開になっていますからと。その非公開は何か法律でガードされているんですか。ちょっとお答えください。 ◯横川総務部長 私どもは犯罪に加担しているわけではございません。この情報の公開については、規定の中で非公開になっているから出せない、そういうふうにいっているわけでございます。 ◯土屋委員 つまり、八十五億の重みというのを考えていただきたいんですよ。ですから、法律でガードされているんなら法律を変えなければいけない、規則でガードされているんなら規則を変えなければいけないんだけれども、ただ、決まりで非公開になっていますということでしたら、ぜひ出してください、我々が、議会が望んでいるんですから。三権分立ですから、議会と行政というのは、ある意味で緊張関係があった方がいいと思うんだけれども、我々の議会の要求として、よその委員の先生方も同じだと思うんですけれども、この資料は出すべきだというお願いを最後にして、私の質問を終わります。 ◯川井委員 資料を前回要求をさせていただきました。それは、私が得たメモ用紙から幾つかお話をさせていただいて、こういう事実があるから、そうであるならば、必ず局のどこかにそのメモがあるはずだ、ついてはその努力をしてください、清掃局がまじめに汗する中、痛くない腹を探られてもしようがないでしょう、出すものは全部出して、そして都民に理解を求めることが一番いいことではないだろうか、そういう意味合いで前回資料を求めました。  今回、こうした出していただいた資料、それなりに努力の跡が見られる。しかしながら、残念なことに、時期的にまさに江戸川の土地交換、それと平成元年から三年にかけて、そして八年から十年にかけて、その間のことの本当に一部だけ出していただいたようにお見受けをします。特に、私どもが、こういう資料がないうちに、議論の中で、質疑の中で明らかになった、そういうところはすべて出していただいております。  例えていうならば、当初、この和解金額の八十五億、これはどういう形の中で算出したんですか、だれが決めたんですかということに対して、総務部長は、何度聞いても、これは裁判官が出したんだ、裁判官が出したので、私どもはその計算根拠もわからなければ、あるいは私たちが推しはかるものではなかった、こういうことを再三お答えになりました。  私は質疑の中で、本来、和解というのは、双方の事前の話し合いがあって、その中でお互い数字を持ち合って、そしてお互い合意点が出たときに、初めて裁判官にお話をして和解という形でその数字を出してもらうんですよ、そこまでお話ししたんだけれども、当時、総務部長は、いや、そういうことはありません、こういうご答弁でございました。  それで、私が前回、メモを取り出して、それはおかしいですよ、こういうメモがありますよという形でお話をした。それはまさに、その和解を得る、あるいは裁判にかける、訴訟をする、その以前に八十五億という数字がひとり歩きをしていたじゃないですかと。そして、九月十六日、あるいは、ここには七月と書いてありますけれども、これは前回私が七月といい違えたので、七月二十九日とこっちもなっているんだろうけれども、八月の二十九日に、ある都議に説明して八十五億で解決を図ることの了解を得る、こういうことが書いてありますよと。  了解を得るということはどういうことなんですか、その方を代理人として扱ったんですか。まずそこのところからお答えください。 ◯横川総務部長 七月二十九日に関係局に協議して了解を得たわけで、それ以後はありません。 ◯川井委員 前回私がそのような質問をして、初めてここのところにこういう形で、事前に、訴訟にかける前に八十五億が既に松島、そしてビルプロに提示されていたということを、前回やっとお認めになった。それまで二回の委員会の質疑の中では、何度ここを聞いても、そういうことはありませんということでした。前回初めて、この訴訟になる前に既に八十五億がひとり歩きをしていた。なおかつ、松島に、あるいはビルプロに提示する前に、二十九日に、ある都議会議員に了解を得ていた、こういうメモさえ出てきた。それで初めてこのことを認めて、今回出した資料にその日にちを入れてくれた。ですから、そういう意味では、質疑の中でやむなく明らかになったもの、それはこの資料に入れてきた。しかしながら、まだまだ私はあるんだろうなと思っておりますが、この資料の中でちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。  平成二年の二月二十八日、登記簿によると、東京中央木材市場より日本ビルプロヂェクトに所有権が移転した、こうありますね。登記簿によるとということになると、あるいは登記簿以外の所有者がいたのかな、こうなるわけですね。  そこで、ここで公拡法で申請したと思ったら、公拡法、別にとりたてて申請する必要ないんですね。これはあくまで、国土利用計画法の申請をすれば、ある平米数以上、これについては公拡法が適用される、そういうふうになってくるわけですけれども、ここで、国土計画法の申請をした業者、これは、お聞きすると何かプライバシーだなんて、こういうことになるらしいんで、聞き方を変えましょうかね。  この当時の所有者、この国土計画法をお出しになった時分の所有者というのは、ここに書いてある登記簿で中央木材からビルプロ、これ以外の方が持っていたことになるんですか。 ◯横川総務部長 前回の委員会でも説明しておりますが、登記簿上記載されている所有者は、東京中央木材市場株式会社でございます。  今回行いました関係者からの調査の結果、実際の所有者は東和土地建物株式会社であったんではないかと、そういうふうに推察されます。 ◯川井委員 私は、今回の問題は、まず、この江戸川の土地を東京都が必要として買った、ここの部分と──これが入り口だと思っております。出口のところで八十五億で和解をした、ここが出口になっておるわけです。これは土屋委員も述べているわけですけれども、それをもう少し細かくちょっと聞いてみたいと思っているんですね。  というのは、この土地の交換ということで専決だと、こういう話なわけでそれがされているわけですけれども、実は、これよく読んでみますと、地方自治法第九十六条、「普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。」こうあります。その中で、実は財産の交換、これも書かれてございます。一からいうと、条例を設ける、または改廃する場合。予算を定める場合。決算を認定すること。四、五と書いてありますけれども、六の中で、「条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。」実は、財産の交換というのは、あえて普通地方公共団体が議会に議決を得なければならない事件として書いてあるわけです。  その中で、ただし条例で定める場合を除くと書いてあるんですね。そこのところをちょっと見てみますと、こういう問題が出てきました。  ここは第六号のところですけれども、「第六号は、財産の管理及び処分に関する法第二百三十七条二項の規定を受けて」と、こう書いてあるんですね、「財産を交換すること等を議決事項として掲げたものである。条例で定める場合を除いたのは、条例により財産の交換等についての一般的取扱基準を定めた場合」、なおかつ、この後の説明で、当該地方公共団体が公用もしくは公共用に供するために必要としたときと、こうあるんですね。  そうしますと、今回の土地がまず本当に必要であったかどうかという問題が一つ、それと、条例により財産の交換等について一般的な取扱基準を定めた場合において、この部分二つをクリアしなければならないわけですね。  そこでまずお伺いをしたいんですが、東京都においてこの一般的取扱基準を定めた部分というのはどこにありますか。 ◯横川総務部長 地方自治法第九十六条では、今、川井理事がおっしゃったように、条例で定める場合を除くほか、財産を交換することは、議会の議決が必要であると定められております。  これは、私どもの理屈だけじゃなくて、逐条地方自治法によりますと、条例による一般的な取扱基準を定めた場合には、改めて個々の行為について個別議決を要しないとの趣旨でございます。  東京都では、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例を定めまして、その第二条第一項で、価額差額が四分の一を超えない場合は財産の交換ができる、そういうふうに定められております。 ◯川井委員 ちょっと待ってくださいよ。今の答弁、ちょっとおかしいですよ。一般的な取扱基準を定めた場合においてはということですよ。その一般的な基準を定めた場合というのが、今読んだところですか。説明にならぬじゃないですか。今読んだところ、私読みましょうか。「価額の差額が、その高価なものの四分の一をこえるとき」これで説明になりますか。 ◯横川総務部長 財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例、これは三十九年三月三十一日にできた条例でございますが、ここの第二条に、「普通財産は、次の各号の一に該当する場合は、都以外の者の所有する同一種類の財産その他必要とする財産と交換することができる。ただし、価額の差額が、その高価なものの四分の一をこえるときは、この限りでない。」、そういうふうに規定されております。 ◯川井委員 もう一回いってもらえますか。 ◯横川総務部長 財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例、これは昭和三十九年三月三十一日に公布されておりますが、その第二条に、「普通財産は、次の各号の一に該当する場合は、都以外の者の所有する同一種類の財産その他必要とする財産と交換することができる。ただし、価額の差額が、その高価なものの四分の一をこえるときは、この限りでない」「一 都において公用または公共用に供するため、都以外の者の所有する財産を必要とするとき。」それから二は、「国または地方公共団体その他公共団体において、公用または公共用に供するため、都の普通財産を必要とするとき。」そういうような規定でございます。 ◯川井委員 当時の交換でたしか二十億ぐらいの差額がございましたですね。この二十億の収入は、どういう取り扱いにされましたか。いわゆる売買収入としてあるのか、その他にしてあるのか。 ◯横川総務部長 平成三年度の一般会計財産売り払い収入、不動産売り払い収入、節が途中売り払い収入でございますが、ここに、納付目的としては土地交換差金という形で、十九億八千五百三十万四千九百九十二円の収入になっております。 ◯川井委員 実はここら辺が非常にたくみなんですけれども、今、私が読み上げたように、条例により財産の交換等について一般的な取扱基準を定めた場合においてはと、こういうふうにあるわけですけれども、こちらの方に、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例という形の中で示してあるわけですけれども、この中で、二十億という部分について、今いった形が先ほどいった四分の一ということになるのか。その部分なんでしょう。だから、さっき四分の一と説明した部分は間違いでしょう。ここで初めて四分の一というのが出てこないと説明つかなくなるよ。 ◯横川総務部長 本件の場合、潮見の土地が約百五十億円、江戸川の土地が約百三十億円でございます。価額の差額、約二十億円でございますが、潮見の価額の四分の一、約三十七億五千万円でございますが、それを超えないために、この条例に基づき土地交換を行えるものでございます。  したがって、本件の土地交換契約は、そういうことで議会の議決対象とならない、そういうような形で処理したものでございます。 ◯川井委員 今いったような形でクリアしたという思いを持っていらっしゃるんだと思います。  それともう一つ、ただし、これが、その例として挙げている部分が、この財産の交換をする場所あるいは土地、これが当該地方公共団体が必要でなければならないという一項があるわけですね。  そこで、先ほど土屋委員もお聞きしましたけれども、私も前々回聞いておるんですけれども、十二月の時期で、この公拡法で出てきた土地に対して、清掃局は、江戸川の清掃工場建てかえ用地として買い取り希望を出した。しかし、東京都としては、各局調整したけれども、買い取り協議は行わない、買わない。そして、その形で結論を出しているわけです。  ところが、それから二カ月たたないうちに、ビルプロがこれを買ってほしい、土地の代金は土地でいい。私は、土地で払っても、現金で払っても、いずれにしろこれは都民の財産だと思っておりますから。とにかく今回は、持ってきた先が違う。そうすると、すぐ動き出すんですね。わずか二カ月前に断った土地を、二カ月後にはもう動き出す。清掃局長が江戸川区長に会っております。それで、ここに江戸川清掃工場建てかえ用地として建てかえたいんだけれどもというお願いに行っているんだけれども、断られているんです。  この断られたところで、この土地の必要性は消えているんですよ。そのことについてはどうですか。消えているんじゃないですか、この時点で。江戸川の区長に断られた段階ですよ、江戸川の区長に断られたその段階で、必要性は消えたんじゃないですか。その後のことをいわなくていいんですよ。そのときのことをいってくださいよ。江戸川区長に断られた段階で、必要なことは消えたんじゃないんですか。 ◯横川総務部長 工場用地としての利用は断念しましたが、約二万平米とまとまった土地であることと、工場の前面用地であるので利用価値が高いことから、取得を希望しております。 ◯川井委員 これは、私、前にも話しているけれども、二万平米あっても、その中央が六化クロムで汚染されているんですよ。それで安定処理をしてコンクリートで固めてあって、土地の利用効率からいったら、二万平米が半分にも使えないところですよ。それがなぜ必要なんですか。  しかも、本来目的としていた清掃工場の建てかえ用地としては断られたんです。私は、一般都民であれば、まさしくこの段階で、東京都が必要な理由がなくなったと判断すると思います。そう思わざるを得ない。  それで今度は、その土地がリサイクルセンターとストックヤード、こういうことで必要なんだと、目的を変えました。ところが、ここで、五月の十五日に清掃局長が江戸川区にまた行っているんですね。土地利用については、今後、区と協議するから、この土地を買うことを、区長、了解してほしい、こういっているんですね。これは、あなた方が出した資料ですからね。こういっているんですよ。  ここでお聞きをしたいんですけれども、その後、交換を決定するまでに、何度江戸川区と協議を重ねましたか。日にちもわかったら教えてください。 ◯横川総務部長 回数等については不明でございます。 ◯川井委員 不明ですって、そんないいかげんなことでどうするんですか。この土地が必要になるかどうかのぎりぎりの境なんですよ。協議してなければ、これ、必要のない土地を買ったということになりますよ。必要のない形のものを買ったならば、当然これ、議決必要になりますよ。これは、まず清掃工場の建てかえ場所で断られた、ここで必要な理由を失ったんですよ。その後、区長にまた会い、今後協議するから何とか了解してくれ──了解を得ると書いてあるんだからね、了解してくれと。交換を決定するまで協議してないなんていうことになれば、おかしいじゃないですか。協議してないんですね。 ◯横川総務部長 平成二年四月に、江戸川清掃工場建てかえ用地として利用を打診しましたところ、区議会に現地での建てかえで了承を得ていること、それから当該の地域一帯は住宅を主体とした地区計画を予定していることから、同意できない旨の回答を得て、工場建設建てかえ用地としては白紙に戻したわけでございます。  しかし、同年五月には、工場建てかえ計画を含まない清掃事業施設用地として利用することで了解を得ているわけでございまして、当然その間には何度も足を運んでおります。 ◯川井委員 ここに書いてあるのは、あなた方が書いてくれたんですよ、これ。五月の十五日に、清掃局長が区長を訪ねている。この土地利用については区と協議するからということで区長の了解を得ると書いてあるんですよ、ここに、五月の十五日に。  こう書いてあるんだから、この後、土地交換を清掃局長が決定──十一月二十七日と書いてあるんだけれども、決定するまでに、何回協議をしましたかと聞いているんですよ。いつやりましたかと聞いているんです。  そうしないと、この土地の目的買いにならない。目的がなくなってしまう、目的を失うんですよ。そうすると、必要な土地じゃないものを買わされた、あるいは買った、あるいは、ある力で買わされた、こういうことにいわざるを得ないじゃないですか。 ◯横川総務部長 四月二十三日から五月十五日にかけまして、当然、区と調整したはずでございますが、回数等は不明でございます。 ◯川井委員 もう一回いってください。 ◯横川総務部長 四月二十三日から五月十五日の間に、当然、区と調整したはずでございますが、回数等は不明でございます。 ◯川井委員 今、四月の二十三日から五月の十五日には協議したはずだと。私が聞いているのは、その後なんですよ、五月の十五日以降。区と協議をして区長に了解を得るというのは五月の十五日なんですよ。それから以降、協議をしましたか、何回しましたか、いつやりましたか、そして何の目的でやることで了解を得たんですかということを聞いているんです。にもかかわらず、四月の二十三日から五月の十五日までと、全く意味のない答弁ですよ。やってないなら、やってないといってくださいよ。 ◯横川総務部長 まことに申しわけないんですが、記録が残っていないので、具体的な経緯がわからない次第でございます。 ◯川井委員 これは恐らくやってないんだろう、こう思います。これがやってないとするならば、まさにこの土地は利用目的のない土地、それを買ったとするならば、大変な責任が生じてくるかと思います。また、ある力で買わされたならば、そのことも、もしあるならば大変なことだ、こう思います。  ここで、利用目的がない土地は、必要とする土地ではないですね。そうなってきますと、この土地は、議決が必要じゃない土地にはならぬですよ。どうしますか。 ◯横川総務部長 前回の委員会でもご説明をしたわけでございますが、清掃工場建てかえ用地として断念いたしました後、地域リサイクルセンター、紙、瓶等の資源ごみのストックヤード、資源回収業者に対する行政援助のための施設用地として考えております。  なお、工場建設時には、資材置き場、工事用車両の駐車場、現場事務所用地、小岩清掃事務所職員詰所として利用したわけでございます。 ◯川井委員 この土地が、百三十億の土地です、リサイクルセンター、ストックヤード、これに百三十億をかけるだけ、今でなく当時であっても、私は都民は理解しないと思います。  これが、清掃工場の建てかえ用地、なおかつ二万平米あるんだから、その一部にストックヤードあるいはリサイクルセンターということならば、都民も理解するだろうけれども、二万平米ある。そうであるならば、私のさっきいった、二万平米あるけれども中央地帯で六価クロムが出る、それを安定化してコンクリートで固めた、利用効率がほとんどない土地だ、だからリサイクルセンターとストックヤード程度しかできないんだ、そういう思いでこの目的を決めたんですか。 ◯横川総務部長 再三先ほどから出ております処理済みのクロム鉱滓の封じ込め層でございますが、これは二千五百平米でございまして、そこにつきましては、区道に接した部分でございまして、約百九十メートルの部分に六十八メートル、それが縦でございます。それから横が百十八メートルに約二十九メートル、そういうようなところでございまして、川井理事ご指摘のようにこの土地の真ん中ではございませんで、区道に接した一部でございます。 ◯川井委員 私が真ん中というのは──土地というのは、接道があって生きてくるんです。そのまさに命である接道部分の真ん中なんです。命である接道部分の真ん中が二千五百平米も物が建てられない。そんな状況にあるならば、この土地の利用効率は半分以下でしょうと私はいっているんですよ。  そんな土地をなぜ買ったというのも不思議ですけれども、今、聞いている部分は、答弁が少しおかしいんだけれども、この二万平米ある土地をそういう土地だという判断で、この目的にしたんですかということを聞いています。 ◯横川総務部長 ちょっと私の言葉が足りないものですから。この土地は、一方だけの道路ではございませんで、この江戸川の土地は四方を道路に囲まれておりまして、そういう土地でございます。 ◯川井委員 主たる道──先ほど答弁の中に、清掃工場の隣接地であるまとまった土地だから重要だと、こういいました。じゃ、六価クロムの出る、道路に接道している部分は、隣接したその工場と反対側の道路に隣接したところに出たんですか。私は主たる道路をいってますよ。しかも、答弁の中に、今までの清掃工場に隣接しているから生きるんだ。向かい合わせているんですよ。そこの場所が六価クロムに汚染されているんじゃないですか。我々わかっていて聞いているんだから、あんまりいいかげんな答弁しちゃ困るよ。 ◯横川総務部長 別に私はいいかげんな答弁をしているわけではなくて、事実を事実として述べたわけでございますが、この処理済みのクロム鉱滓の封じ込め層につきましては、封じ込めております。そういう意味では、ふたのかけ方、それから建て方の使い方によっては利用できる、そういうふうに考えております。 ◯川井委員 部長とやりとりしていると、何時間かかっても、ここから進まないのでね。ただ私は、今のやりとりで委員の方々がどう判断されたかわかりませんけれども、恐らくは問題があるなと。そうなると、果たして本当に議決を必要としない物件であったんだろうか。ぎりぎりのところで、これをかいくぐっている、そんな思いがしてなりません。  前に進めます。平成八年十二月に、日本ビルプロヂェクト、三井松島産業が港湾局に、都と交換した土地から云々、何とかしてもらいたい。そこでちょっと前に返りますけれども、平成二年、三年当時、ビルプロと交渉をしていたのは清掃局ではないんですか。港湾局なんですか。 ◯横川総務部長 清掃局でございます。 ◯川井委員 私は、窓口が清掃局ならば、当然、清掃局に持ってくるのが当たり前、あるいは普通ではなかろうかな、こう思うんですね。清掃局に持ってこないで港湾局に持ってきたというのは、魔訶不思議なことなんですね、これ。どういうふうに考えますか。 ◯横川総務部長 確かに、港湾局に持っていったというのは、私も理解できません。そういう意味で、この下に、「港湾局は、契約の直接の当事者でないとして、今後の調整は清掃局と行ってほしいと伝え、夕刻、港湾局開発調整課長から清掃局経理課長が説明を受ける」そういうような形になっております。恐らく先方の方では、これが埋立地であるから港湾局、そういうふうに考えたのかもわかりませんが、その辺の真意は、私の方では推しはかれないと……。 ◯川井委員 今、最後にいった部分が重要なことでありまして、恐らくはそうなんだろう。これは埋立地だから港湾局だな、そんなことを知っているのは役人と議員しかいませんよ。一般の不動産屋が、埋め立てだから港湾局、そんな判断で港湾局に持っていくこと自体がおかしい。  まあ、それはそれにしまして、次に行きます。  三月の十七日に三井松島が、金融機関から融資を停止されている、六月三十日までに土地の買い上げを何とか解決をしてほしい、こういってきた。それに答えて、三月二十五日に清掃局長名で、土地の買い上げを含め、現在鋭意検討中であり、六月末日決着を目途に最大限努力をするという回答をしています。  現実にはこのとおりなっていないわけなんですけれども、この間に、三井松島の方からの働きかけはなかったんですか。 ◯横川総務部長 ございません。 ◯川井委員 この間にということは、六月の末までに、局長名で、土地の買い上げを含め六月末決着目途で最大限努力するといってから後のことを聞いているんだけれども、まあ、いいです。  時間もないので先へ急ぎます。実は、両者は、百十六億八千万円と、加えて工事遅延に関する損害金の負担を求める文書を持参しましたね。 ◯横川総務部長 ここに記載のとおり、そういうことでございます。 ◯川井委員 そこで、この八十五億を事前に提示していた部分にかかわることにおいては、前回やっておりますので……。
     これも清掃局からいただいた文書なんですけれども、こういう文書があります。私は、知り合いの弁護士さんにこれを見てもらったの。何を見てもらったかというと、訴訟の経緯、こう書いてくれているんです。これは清掃局の皆さんが書いてくれました。  都は、第一回の口頭弁論が開かれたとき、どういう主張をされたか。土地は既に都の所有でなく、妨害を除去するべき地位にないと主張しておられます。松島の方は、まさに東京都にその責任があるんだということで、その百十六億八千万円と損害賠償、損害金負担を求めているわけですね。  これが、裁判長から──しかも、その前に、八十五億でどうですかという提示を東京都が相手にしました。八十五億でどうでしょうか。向こうは、とんでもないということで訴訟にかかっているんです。だから、八十五億ではのめませんよ、八十五億ではとんでもない数字で、我々は百十六億八千万プラス、なおかつそのほかに賠償責任、損害賠償を要求したいんだ、こういう思いでいます。  そこで裁判長から、実際に有害物質が埋まっている、このことを東京都も真剣に考える、そして和解の方向に、こういっておられるんですね。違いますか。 ◯横川総務部長 それにつきましては、前回の委員会で資料ナンバー2で、裁判長から、実際に有害物質が埋まっているとなると、都の方でも真剣に考えなくてはいけない問題、そういうような発言がございます。 ◯川井委員 これを読むと、完全に三井松島、ビルプロの勝訴だ、東京都は敗訴ですよ、こういう感想を述べてくれました。それから考えるならば、落ちつく場所は、当然、八十五億じゃ嫌だといったんだから、そして百十六億以上のものを求めていたんだから、八十五億から幾ら上乗せになって決まるんだろうか、これが、これを読んだときの常識的な判断ですよ、これはあくまで東京都敗訴です、こういう感想を述べられました。私は、一人じゃいけないなと思って、もう一人聞いたんですけれども、まさに同じような表現。  それが、さあ、八十五億でいいですよ、こうなるわけですね。となると、この裁判は何だったんだ、この訴訟に持ち込んだ三井松島の、あるいはビルプロの心はどこにあったのか、こういうふうにいわざるを得ないですね。  そうすると、この裁判は、裁判が必要だった。金額が必要だったんじゃない、裁判が必要だった。裁判による和解が必要だった、そういうことになりませんか。 ◯横川総務部長 今、川井理事が読み上げた部分は第一回公判の内容で、その後、都及び相手方とも種々の主張をしているわけでございます。互いの主張を述べ合う訴訟の経緯の中で和解となっております。 ◯川井委員 そうおっしゃるなら、ここへ載せてくれればよかったね。それだけいってくれるならばね。東京都はどういう主張をした、相手方はどういう主張をした、ここに載せるべきですよ。そこまで答弁するならば、私は載せるべきだと思います。  私は、この問題、今いったように、既に八十五億ありきで、なおかつ裁判が必要だったという形の中の裁判が行われたのであるならば、これは大変な問題であろう。それはあくまで議決、議会のチェック機能を奪うがための方途であったならば、これは断じて許すことができない。  また、これはあくまで知事の専決事項であります。知事がそういう方途を選んだならば、私は、知事の責任は大であろうかと思います。なぜならば、専決事項で決するがゆえに、議会のチェック機能そのものを、責任を一緒に知事は負わなければならない。それだけ大きな問題なんです。万が一、これが作為的にやられたことならば、大問題なんです。知事はみずから責任をとらなければならないと思うんです。  私は、そんなことはないだろうと思いながら、あえて心配するのは、こういうことに万が一、行政の立場のある方や、ここにメモで何人かの都議会議員、国会議員の方の名前が出ている、こういう方々が、ただ単に経緯を聞いただけでなく、この文書の一カ所にある、了解を得たというようなところまで入っていたならば、私は、大変大きな問題だ。だからこそ、私は名前をいうとかいうことではなくて、行政の皆様にも、また議員側にも、自分の心の中にきちっとした尺度を持ってもらいたい、そういう思いであえてやっております。  また、専決の問題については、これから議会で、昭和三十九年につくったままだ、そういうものについては、やはりこれから各会派の協力を得て議論をして──当初は恐らく、そんなに大きな額ということが想定されていなかっただろう、なおかつ、議決を要する土地についても、一般売買で二万平米で二億円なんていう土地は今どきありません。そういうことを考えると、これについても、今後、こういうような問題が起きないように、あるいは、こういうような利用の仕方がされないように、きちっと考えていかなければならないなという思いであります。  今回のこのことで、あるいは清掃局の方々には、ある意味で嫌な思いをさせた質疑が多くあったかと思います。しかし、これはやはり、我々の責任のもとに都民にきちっとした説明がつかなければならない、なおかつ、清掃局全体で本当に額から汗してまじめに働いている方々のためにも、きちっとした説明がつかなければならない、そういう思いで今回の質疑をやらせていただいております。万が一、私が話したことにおいて心に痛みを感ずる方がいるならば、その痛みを早く治し、なおかつ、今後、そのような痛みを感じないような努力をしていっていただくことを心からお願いをし、私のすべての質問を終わりにさせていただきます。 ◯山本委員 私の方からも何点か伺いたいというふうに思います。  先ほどからもお話がありますけれども、潮見と江戸川の土地の交換、そして、最後の出口のところでの八十五億の和解、これはもう、町でいろんなところへ顔を出すと、あれは一体どういう話なんだと、いろんな人からいわれます。こういう説明がされている、あんた、そんなもの許していていいのか、こういう話になります。考えてみれば、五十八億円、今度のこの定例会に出されている公共料金値上げの総額です。それよりはるかに大きい金額が、普通に考えたらむだに使われた、こういうことを明らかにするのは、議会の大事な仕事だと思うんですね。  知事は、隠し事のない都政、本会議でも随分いいました。ところが、前回の質疑のときに総務部長が、それは秘密ですなんていう言葉が出てきて、私もうびっくりしたんですが、本当に積極的に事実を公開をする、そういう立場に立っていないと思うんですね。そこのところをはっきりしてもらいたい、きちんと変えてもらいたいという気持ちで質疑をしたいというふうに思います。  それで、まず、この資料なんですが、一番最後のページに、評価表(概算)と書いてあって、さっきの説明、基本的非公開のものは非公開の原則を守り、できる限りの範囲で出しますというお話が一番最初にありました。それで、今まで何回質疑をやっても、この評価表については、これは財価審の関係で出せないんだ、出せないんだといってきたんでしょう。じゃ、これは何なんですか。この出された資料はどういう性格の資料なのか、まずそれを教えてください。 ◯横川総務部長 この評価表につきましては、相手方に価格を提示するための金額の根拠としまして、平成三年の土地交換契約が解除された場合を想定して、平成九年、次の江戸川の土地価格について清掃局で概算したものでございます。  したがって、内容の公開に当たっては、財価審提出議案は要綱により全面非開示となっていますが、評価表については、加算率や減価率等の今後の事務事業の執行に支障を来すおそれのある部分、それはマスキングをいたしまして、それ以外は提出させていただいているわけでございます。 ◯山本委員 これは、そうすると、財価審そのものの資料じゃないんだ、もし交換をしてくれといわれた場合にどうなっているのかというためだと。そうしたら、そのときに当然、潮見の土地の分についても同じ作業をしているんじゃないですか。どうですか。 ◯横川総務部長 この評価表は、平成三年の土地交換契約が瑕疵担保責任に基づき解除された場合を想定して、平成九年、次の江戸川の土地価格について清掃局で概算したものでございます。したがって、平成九年の潮見の土地の評価表は作成しておりません。  また、平成三年の両土地の評価は、議案として作成しておりまして、評価表としては作成しておりません。 ◯山本委員 随分都合いい話ですね。というのは、この評価表を、皆さんのところで江戸川の方を出すわけでしょう。当然のように、これは潮見の土地との関係での比較をしないと、仕事にならないんですよ。もう一回、再交換してくれというふうにいわれた場合にどうしようかということでしょう。そうすると、当然、潮見の方の土地をあなた方が評価しないと──この江戸川の土地、この金額、そして潮見の方の土地は一体幾らなんだろうか、両方見て判断するんじゃないですか。そういう作業をしてないなんて、そういうでたらめなことだったら大変ですよ。 ◯横川総務部長 この評価表につきましては、相手方に瑕疵担保責任に基づく解除権を行使された、そういうふうに仮定した場合でございます。  そうしますと、平成三年の交換契約がなかったことになりまして、都は相手方に江戸川の土地を返して、相手側は都に潮見の土地を返す、そういうことになるわけでございます。そういう意味で、江戸川の土地だけの評価で買い取りをすることになったわけでございます。 ◯山本委員 それはおかしいんじゃないですか。だって、実際に瑕疵担保責任に基づいて契約を解除された、そう仮定した場合だというふうに、今おっしゃいましたよね。今度、潮見の土地の方の問題について、それは全く関係ない話じゃないでしょう。両方の価値についてきちんとした評価をしないと、その差額の差金の問題、ただ単に二十億返せばいいという話にならないじゃないですか。それ以上の損害賠償が出てきたらどうするんですか。潮見の土地の方が実はこんなに下がってしまったんだ、その分も返してくれというような話になったらどうするんですか。  そういうことが起きるから、どう考えたって、潮見の土地の分についてだって、あなた方は必要な評価をしなければ、判断ができないんじゃないですか。違いますか。 ◯横川総務部長 先ほどもいいましたように、これは法律的には、瑕疵担保責任に基づく解除権を行使されたときでございまして、平成三年の交換契約がなかったことになる。そういうことになりますと、都は、相手方に江戸川の土地を返し、相手方は都に潮見の土地を返すことになるわけでございます。  しかし、前回、私は説明でも行いましたが、江戸川の土地については、現在、返却できる状況にないために、現在の地価を評定して金銭で支払う、そういうことになっておるわけでございます。法律的には間違えておりません。 ◯山本委員 そうすると、じゃ、あなた方は、この部分について幾ら金銭で返さなければいけないかというそれだけを出したと。そうすると、これについては、いろいろ黒く消してあるけれども、財価審に出す資料ではないということですね。  この黒く塗りつぶしてあるのをちょっと拡大してみたんですけれども、こうやって大きくしましたよ。そうすると、例えば、この中でその他の減価という項目があるんですよ。側道加算だとか広大地減価だとか、いろんな項目があるけれども、その他の減価とは何かと見てみると、ここへ注2がついていて、敷地の一部(地下)に六価クロムが埋設されていることによる利用制限があるんだと。減価率は書いてない。そして*1として、本件地は、容積率が三〇〇%未満のため昭和五十九年一月十日付中央用対発第二六号「土地の立体利用阻害率算定に係る運用申し合わせ」(通知)の別紙に基づいて土地の地下利用率を三〇%として、その率を阻害率とした、ここは書いてあるんだけれども、この*2、これは一体何が書いてあるのか、全くわからないでしょう。  あなた方は今後のためだというけれども、そういうのはいろんな規則があるはずでしょう。これをわざわざ出さない。そうすると、我々は、これを見たって、さっき土屋委員からもお話があったけれども、何にもわからないんですよ。  そういう意味で、この評価表の問題も含めて、財価審に出した資料、この丸ごとの公開をどうしてもしていただかなければならないということを強く求めておきたいというふうに思うんですね。  それで、次に、一連の経過の問題で既に何点かお話がありました。四月二十三日に江戸川の区長に会って、清掃工場を建てるということについては了承を得られなかった、こういう話になった。それが、五月十五日に交換取得をすることに江戸川区長に報告に行きましたというふうに、あなた方の文書に書いてあります。  これは、この十八日間の間に一体何があったのかということなんですよ。当時の清掃局長が江戸川区長に会って、それで議論があったんでしょう。その結果については、清掃局長はだれに報告をしたんでしょうか。 ◯横川総務部長 恐らくこれは清掃局長の範囲でいろいろと考えていると、そういうふうに私は思っております。 ◯山本委員 じゃ、清掃局長が一人で考えて、一人で悩んで、そして五月の十五日には、やはり江戸川の土地は必要だから取得をするんだという結論を、当時の清掃局長一人の責任で出したということですね。そう理解していいですね。 ◯横川総務部長 東京都は組織で動いております。そういう意味では、清掃局長一人が云々と、そういうことではございません。組織を挙げていろいろと検討しております。 ◯山本委員 だれにも相談しなかったと。稟議というルールだってありますよ。いろんな方法があるはずです。しかし、だれとも相談してないんでしょう。報告もしてないんでしょう。だったら、そういうことになるじゃありませんか。清掃局長が自分で、決裁権限の中で決裁をしたというふうに理解するのが普通になるじゃありませんか。違いますか。 ◯横川総務部長 あえてお答えするのもはばかれるような形になりましたけれども、清掃局長がだれに相談したかといいますと、私どもの方は、上の方へ相談したかな、そういうふうに考えたわけでございます。  清掃局長は、江戸川へ行って区長さんからいろいろな意見をもらってきましたら、それはまさか自分の腹の中へ置いて考えているわけじゃございません。当然、組織を挙げて、こういうことがあった、そういうことで下の方へ流していると私は考えております。 ◯山本委員 今、推理のようなご発言がありましたけれども、当然、局長が動いていけば、その結果を担当の副知事なりそういうところに報告をするのが普通だろうなと私は思います。  ですから、この二十三日から十五日までの間の十八日間の間に、どこかのレベルで議論をしているはずなんですよ。このときの副知事と清掃局長のお名前を教えてください。 ◯横川総務部長 突然の質問で、今考えておりましたんですが、恐らく局長は原局長ではないかと、そういうふうに考えております。それから、清掃局担当の副知事は眞仁田副知事だったと、そういうふうに考えております。 ◯山本委員 これは後で確認をしておきたいと思います。  そうすると、とにかく副知事に相談をして、そこで何かを決めた。そしてそれが、先ほど来問題になっている、二万平米もある土地にストックヤードつくるだとか、そういう使い方をするということをそこの場で決裁をしたというふうに考えるのが妥当なんだろうなと思うんですよ。でも、その決裁というか、その判断というのが、極めて納得のいかないものだろうということを、私はあえて申し上げておきたいと思います。  それから、先ほどお話のありました、五月の十五日の段階で江戸川区長を訪問をして、ここで利用計画の問題について話し合いをしていますよね。これは多分一九九三年の予特に清掃局が出された資料の第百十四号なんですが、これにこう書いてあるんですよ。平成二年五月十五日、清掃局長が江戸川区長を訪問し、隣地(交換受け地)を清掃局用地として取得手続に入ること、2)具体的な利用計画策定に当たっては、区と協議すること、以上二点について報告を行い、区長の了承を得た、本当にずばり、五月の十五日以降に区と協議をするということを、そういう了承を得たということを確認しておきたいというふうに思います。  それで、この問題で見ていくと、結局、あなた方いろいろいうんだけれども、この委員会の場での質問に対して、やはりきちんと納得のいく答えを一つもしてないと思うんですよ。出てきた資料を見ると、まだまだ不十分。そして、いろんなところに、四月の二十三日から五月の十五日の間に何にもなかったのに、大きな方向転換が行われているということを考えれば、この間に何かがあったはずなんです。そういうところもはっきり出してもらわなければいけない、こういうふうに思いますね。  ところで、ビルプロの本社というのはどこにあるかご存じですか。 ◯横川総務部長 日本ビルプロヂェクト株式会社は、東京都港区六本木六丁目八番十七号にございます。 ◯山本委員 本社ビルそのものは渋谷区の神宮前の五丁目にあるんですよ。この本社ビル、建てたときには、長銀の子会社である日本リースと一緒になってつくった。いつこれを手に入れたかということも随分問題になって、一九八六年の第一回定例会の際に、我が党の木村議員がこの疑惑の指摘をやりました。  このときも実は、土地の交換という手法で都有地の一部をビルプロは手に入れているんですよ。そういう意味で考えますと、議会でも疑惑を指摘をされたことのある、そういう業者との土地交換だったんだということなんですよ。そういう問題について認識していらっしゃいますか。 ◯横川総務部長 存じておりません。ただ、私どもは、正当な手続に基づいて、法律的な行為を行っております。 ◯山本委員 正当な手続だというふうにいわれるけれども、この議論を通じて、それがなかなか正当だとみんなが納得できないから、こうやって議論が続くんです。  実は「財界展望」という雑誌に記事が載りました。ビルプロの問題の記事です。そして、あの潮見の土地をこのビルプロは買ってすぐに不動産業者にこういうことをいったというんですね。東京都から払い下げになった土地を売却してほしいという依頼がビルプロの中川常務からあったんです、相手はどこでもいいから、とにかく売ってほしい、ただし値段は百二十億でということだった、売れれば金になるので私も奔走しましたよ、その結果八十億ならすぐにでも買うというところが何社かありましたね、ただ結局、ビルプロは百二十億じゃないとだめだというんで、この話はなくなったというんですね。  でも、考えてみると、この土地というのは、東京都との交換によって得た土地ですよね。以前も一回、私、指摘しましたけれども、交換契約書の九条には、土地の権利の譲渡、これについては必ず東京都の承認を得なければだめなんだということがある、この話をしました。そうしたら皆さんは、それについて、いや、仮登記を済ませるまでの間のことをいっているのであって、所有権が移った後はそういう話はないんだ、こういういい方をした。しかし、弁護士に聞いてみると、どう考えてもこれは所有権について述べている、こういう議論を以前やりました。  実は、それとの関係で、先ほど読み上げた、清掃局自身が予特に出された資料の中にこういうのがあるんですよ。都は、土地交換契約を締結するとともに、日本ビルプロヂェクト株式会社は、江東区潮見一丁目の当該地の開発に際して江東区と十分協議する旨の念書を都知事あてに提出をしたと。その日付が平成三年八月二十八日にそういう念書を提出をしたと、清掃局が出された資料の中に書いてあるんです。この資料について知ってますか。 ◯横川総務部長 念書はございます。 ◯山本委員 その念書がある。そこに、今、どういうことが書かれているのか、私、それを見せていただきたい。提出をしていただきたいと要求をしたいというふうに思います。  実際に、この潮見の土地のその後の使われ方の問題を見て考えてみても、江東区との間の協議がどうなったのか、それ、問題になるんですよ。それをそのままにしておいて、それで思ったとおり、そこにはマンションが建てられそうもない、転がせそうもないという時点になって、時間が経過をして、そしてとりあえず三井松島に売った。これは、バブルの崩壊後の一連の流れの中でそういうことになった。そして今度は、それをネタにして八十五億東京都からせしめたというのが、その実態なんじゃないかというふうに私は思うんですね。その文書があるということになれば、この念書について出していただきたい、これをまず要求しておきます。  それから、最初の交換から今回の引き取りの問題まで見て、本当に疑惑ばっかりなんです。八十五億と裁判の関係も先ほど議論がありました。  八十五億について、向こうは、最初のときに八十五億で、裁判になる前に手を打っていれば、訴訟費用の負担をしなくて済むわけだから、八十五億丸々手に入ったはずなんですよ。ところが、訴訟費用は双方負担にするということで──先ほど、勝っている裁判だと。確かにそのとおりです。ビルプロ側が勝っていると考えられるそういう裁判経過の中で、そして最終的に東京都は、これは答弁の中でもいわれましたよね、このままでは東京都負けるかもしれない。それで手を打ったから、裁判にもし負けた場合のことを考えたら八十五億は安いものだということを、東京都側はおっしゃったんですよ。  しかし、考えてみると、最初、八十五億、こういう話が出て、向こうにも提示をして、安過ぎるから嫌だといってけ飛ばしておいて、それを今度、裁判という手続が終わってみたら、そこから裁判費用を引いたその金額で納得をして終わっている。これはもう、各委員いわれたとおり、裁判というのは、オブラートというか、この問題について議会の目から隠すためのものだったんだ、そのことはもうはっきりしてくると思うんですよ。  こういうことを見ていきますと、結局、都議会に報告をしない、入り口でも出口でも。そして、その間についていろいろ説明されるけれども、かつて出されたこういう資料だとかいろんなものがあるんだけれども、積極的に皆さんの方からは出てこないんです。これが私は問題だというふうに思うんですよ。  ですから、財価審に関する資料の問題を含めて、今回出された資料だけでは不十分です。そして、かつて出された資料などについて、我々がいろいろ探し回って出てくる。また、いろんなところからみんなが資料を入手して、この場で追及をすると、その後から、それはございますとか、それはこうですといって資料が出てくるというやり方ではなくて、皆さんの側から、疑惑持たれているんですから、それをきちんと解明をするために、積極的に資料を出していただきたいということを最後に要求をして、私の質問を終わります。 ◯小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本件に関する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯小林委員長 異議なしと認め、報告に対する質疑は終了いたしました。  以上で清掃局関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後八時五分散会   都市・環境委員会速記録第二十二号中正誤 ページ 段 行    誤     正 一八  三 八   特殊滑走  特殊架装 二二  三 末一二 利用者   事業者...